真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました

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真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』とは、ざっぽん作のWeb小説角川スニーカー文庫からも刊行。略称は真の仲間。既巻7巻。

いわゆる勇者パーティ追放系(追放系)と呼ばれる作品の元祖である。

概要[編集]

2017年10月21日に小説投稿サイト「小説家になろう」に第1話が投稿された。2017年11月5日には小説家になろうの日刊総合ランキング1位を獲得するなど好評であり、2018年7月には角川スニーカー文庫から書籍化され重版出来となるなど売れ行きも好調のようだ。コミックウォーカーにてネット上で漫画版も連載されている。また、ドラマCD化・アニメ化決定している。

特色[編集]

追放系[編集]

タイトルから分かる通り、主人公レッド(ギデオン)は世界を救うために勇者パーティーの一員として戦っていたのに能力が足りないと言われて追い出されてしまい、のんびり暮らそうと辺境でスローライフするという内容である。タイトル後半のスローライフを送るという部分は、従来の「なろう」における流行り「スローライフ系」を押さえたオーソドックスなものである。

タイトル前半の部分「勇者のパーティーを追い出され」こそがこの作品の真の特色である。この作品の大成功により、「実力あるパーティーから追放された主人公が、これまでの人生を見つめ直し、何らかの形で幸せを手に入れる(逆に追い出した仲間は主人公がいなくなったせいで不幸な目にあう)」という構造は、後続の多くのなろう小説に取り入れられた。『パーティーから追放されたその治癒師、実は最強につき』(2018年5月)、『体力9999のSSRスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される』((2018年7月))、『聖女に散々と罵られたが、夜の彼女は意外と可愛い』(2018年10月)などがその典型である。これらは勇者パーティ追放系(追放系)と総称されている。

ただ、後続作品の多くが主人公に知られざるチート能力が付与されているのに対し、主人公レッドに一貫して何のチート能力も与えられていない点はこの作品の特徴であると言えよう。

パロディ[編集]

タイトルに「真の仲間」と付いていたり、登場人物の冒険者アルベールの口癖が「さんをつけろよ」だったり、なにかとパロディが多いのはご愛嬌である。

加護と向き合うというテーマ[編集]

作品のテーマは、神から人間の一人ひとりに生まれつき与えられた能力「加護」とその代償「加護の衝動」という運命にどのように向き合い、幸せを手にしていくかという点にフォーカスされている。これはあらすじに「生まれついての加護が支配する世界で目指せ辺境スローライフ!」と明示されている。

主人公レッドは最初のレベルのみが高いという加護『導き手』を持っているが、この加護は妹である勇者を助けて魔王との戦いへと導くというもので、「序盤未熟な勇者を助けるが、中盤になる前に外れる仲間」[1]となることを宿命づけられている。そのため、勇者パーティーから追い出されてしまったレッドが加護から離れて自分自身の本当にやりたいこと(薬屋)をやっていくというのが物語の根幹となっている。

第二章以降は、レッドの妹であるルーティに焦点が当てられる。ルーティは「勇者」の加護の衝動のせいで自分の意志とは無関係に魔王と戦わざるを得なくなり、大好きな兄と離れ離れになることに苦しんでいた。彼女が「勇者」の加護という呪縛と立ち向かう姿が描かれる。反面、メインヒロインのリットが次第に影が薄くなっており、これはリットが作品の中心テーマである加護との対決との関わりが薄いという物語構造上の問題であると思われる。

ストーリー[編集]

1章[編集]

主人公の青年レッド(本名ギデオン)は、『導き手』という生まれつきの加護のおかげで、最初からレベル31という王国近衛騎士クラスの実力を持っていた。幼くして騎士団に入ったレッドは、18歳で副団長になる。妹の勇者ルーティとともに、「人類希望の双翼」とまで呼ばれていた。

勇者ルーティは世界を脅かす魔王との戦いに旅立ち、レッドはその初期パーティとして戦っていた。ところがレベルが高いだけで何の特別な力もない加護しかないレッドはしだいに戦いで足手まといになるようになり、仲間の賢者アレスに「お前は真の仲間じゃない」と告げられ、パーティーを追い出されてしまう。

レッドは大きな挫折を味わい、戦いを離れてスローライフを送ろうと、辺境の都市国家ゾルタンで薬草屋を開く。そこに押しかけてきたのは、かつての仲間でもあった王女の英雄リットだった。リットはかつて自分を救ったレッドに好意を持っていて、彼と一緒に暮らしたいと希望する。二人は楽しく暮らし始めるが、やがて英雄になりたい冒険者アルベールの起こした騒動に二人は巻き込まれていく。

キャラクター[編集]

詳細は「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしましたの登場人物の一覧」を参照

レッド (ギデオン・ラグナソン)
主人公。「導き手」の加護をもつ。元バハムート騎士団副団長。勇者パーティーを追い出され、薬屋を開く。
リット(リーズレット・オブ・ロガーヴィア)
王女。活発な性格の美少女。とても強い。お家騒動から逃れるため、辺境のゾルタンに身を寄せ、レッドと薬屋を始める。
ルーティ・ラグナソン
「勇者」の加護を持つ少女。ものすごく強い。普段は寡黙で周囲から恐れられている。レッドの妹。兄のことを「お兄ちゃん」と呼び、兄のことが大好き。
アレス・スロア
勇者パーティーの賢者。没落公爵の息子。ルーティに好意をもち、レッドを疎んじていた。レッドを役立たずだと罵倒して追い出す。
ティセ・ガーランド
アサシンの少女。アレスに雇われてレッドの代わりに勇者パーティーに入る。のちルーティがレッドを探しに行く旅に同行し、ルーティと親友になる。

注釈[編集]

  1. Web版1話

外部リンク[編集]