狩勝実験線
狩勝実験線(かりかちじっけんせん)とは、北海道にあった日本国有鉄道の実験線(テストコース)である。
概要[編集]
急勾配・カーブが連続する狩勝峠区間を全長5㎞以上の長大トンネルでぶち抜く新線へ切り替えた際に役目を終えた根室本線の新得駅と旧新内駅付近までの旧線を利用して設置された鉄道車両の実験線。新得駅構内で根室本線と合流していたが、車両の出入りは実験に使用する車両の搬入出、実験線で使用する特殊車両、機関車の整備等に伴う工場への入出場に限られていたため、乗越分岐器が使用されていた。
実験線開設当初は頻発する脱線事故の原因究明を目的として、無人の実験列車を実際に脱線させてデータ収集を行った。脱線関連の実験終了後は車両火災、振り子車両、橋梁のたわみなど多くのデータの収集に利活用されていた。
1979年に実験線は廃止され、跡地の殆どは遊歩道として整備されている。
実験線で使用されていた特殊車両[編集]
マヤ40形[編集]
1等寝台車(後のA寝台車)のマロネ40形から改造された脱線試験車。
脱線実験の際に実験列車の先頭へ連結してデータを記録・送信するための車両で、被験車だけを脱線させるために踏面勾配が緩く、フランジが深くなっている特殊な車輪を履き、下半分を削った形状の自動連結器を装備。車内には無線による遠隔操作が可能なブレーキ装置、連結器解放装置、車輪観察用カメラ、データ送信機、警告用サイレンなどを搭載していた。
ヤ80形[編集]
ワム80000形をベースに新造された競合脱線の原因解明を目的とする2軸貨車の試験車。
積荷の偏積や重心高の変更を可能とする可動式の棚、軸距の変更が可能な走行装置が特徴。
ヤ81形[編集]
ワサ1から改造された試験車。用途はヤ80と同じだが、こちらはボギー台車を履く。ボギー中心間距離は9,000mm。
ヤ82形[編集]
ワム84890から改造された試験車。用途はヤ80・81と同じで、ヤ81と同じボギー台車を履くが、こちらはボギー中心間距離が6,000mmに縮められている。