灰色の神が通る
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『灰色の神が通る』(はいいろのかみがとおる、原題:英: The Twilight of the Grey Gods)は、アメリカ合衆国の小説家ロバート・E・ハワードによる短編歴史小説。アーカムハウスの1961年の単行本『暗黒の霊魂』に収録された[1]。没後発表作品。
『クロンターフの槍』(未訳)という作品を、2度書き直した作品の一つ。もう一つは『岬のケアン』(未訳)。西暦1014年のクロンターフの戦いを題材としている。歴史戦記にファンタジー要素が入っている。
ターロウ・オブライエンが登場する。ターロウが登場する邦訳3作品(暗黒の男、バル=サゴスの神々)の中では時系列が最も早い、
あらすじ[編集]
エリンErin(アイルランド)で、ゲール軍とデーン軍が対峙し、前代未聞の会戦の火蓋が切って落とされる。逃亡奴隷コンは、「隻眼の灰色の男」に会い、ダブリンで戦いがあることを聞かされる。コンはゲール軍に馳せ参じ、ダンラングの部隊に加わる。
敗走するデーン軍に、ゲール軍は追い打ちをかける。ムローはシグルトを討ち取るも、戦死する。ダンラングも死ぬ。ターロフはメイルモアを殺す。乱戦の中で、コンは因縁あるトルヴァルド・レーヴンを見つけ、討ち取る。ブライアン王は、ブロディ―ルを討ち取るも、致命傷を負う。
戦いの後で、コンは再び灰色の男を幻視する。ターロフは、アイルランドの権勢は移り変わり、敗れたヴァイキングの神オーディンは去るのだとごちる。
主な登場人物[編集]
ダルカシアン家のアイルランド軍、スコットランド高地人、西部のコノート、ミースなどの混成軍。
- ブライアン・ボルー王 - 73歳。
- ムロー王子 - ブライアン王の長男。ダンラングとコンの将。
- ターロフ(ブラック・ターロフ) - ダルカシアン家の勇猛な戦士。斧使い。
- ダンラング・オハーディガン - トール族。コンを麾下に加える。
- クラグレアのイーヴィン - 滅びつつある一族デ・ダナーンズ人(ダーク族)の少女。ダンラングの恋人で、ブライアン王にも謁見できる。ダンラングに戦いに行かないよう説得する。コルムラーダのもとに行き挑発する。
- コン - ゲール人奴隷の少年。売られた先で主人を殺して逃亡した。戻って来て、クロンターフの戦いでゲール軍に参戦。
- マラキ・オニール王 - ミースの王。ブライアン王に昔の恨みがあり、ブロディ―ルに裏切りを唆されている。コルムラーダの元夫。
ヴァイキングを中心とする大軍団。
- ゴルムライス妃 - スカンディナヴィア名はコルムラーダ。男を手玉に取る毒婦。マラキやブライアンの妃だった。イーヴィンを魔女と怖れている。
- メイルモア - コルムラーダの弟。レンスターのアイルランド人を率いる。ムローと確執がある。
- シトリック王 - ダブリン(ヴァイキングの拠点)の王。ゴルムライスの息子。
- ブロディール - ヴァイキング。コルムラーダでも完全に御しがたい凶暴な男。
- シグルト - オークニーの長。ブロディールの政敵。
- トルヴァルド・レーヴン - ヘヴリディーズの長。放浪中のコンを拾って奴隷とし、売り飛ばした。
- 司祭 - 戦果を占い、ブライアン王は死ぬがゲール軍が勝つと予言する。
収録[編集]
- 論創社『漆黒の霊魂』三浦玲子訳
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ↑ 論創社『漆黒の霊魂』序文 3-4ページ。