漫才

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漫才とは、話芸のひとつであり、主に二人一組の、いわゆる「コンビ漫才」をいう。
三人で演じる「トリオ漫才」などもあり、「ピン芸人」が行う一人話芸は漫談とも呼ばれる。
太夫(ツッコミ)と才蔵(ボケ)がおり、ツッコミは上手から、ボケは下手から登場することが多い。
正月など、嘉事における「門附」芸のひとつであり、「口上・挨拶」と「掛け合い」と「オチ・挨拶」がワンセットになっており、ややフォーマルなものであったが、いわゆる漫才ブームによって、この形式は崩れつつある。

概要[編集]

古くは太太神楽に由来し、「太夫」がツッコミに当たる[1]。江戸日本橋四日市に、三河萬歳の才蔵希望者が集まり、それを万歳太夫が選んで雇ったという。
本来は神事であり、主に正月や婚礼などにおいて「嘉事を呼び寄せて禍事を払う」ことをいった。各種の地方芸能を取りいれて現在の形になった。ここまでが第一期(あるいは黎明期)である。
「おめでとうございます~!」「ありがとうございますぅ~!」が決まり文句であり、「慶事を盛り上げる」「賑やかし」に重点が置かれる点においては獅子舞に通じる部分がある。
いわゆる「しゃべくり漫才」は1930年(昭和5年)、吉本興行部(吉本興業の前身)所属のコンビ「横山エンタツ・花菱アチャコ」が、従来和装であった萬歳師・万才師と異なり、背広(洋装)を身に着け(とはいえネクタイの幅など、細かいところで上下関係を表したらしい)、長らく萬歳・万才の音曲の「つなぎ」扱いであった「しゃべくり」だけで高座をつとめる、画期的な「しゃべくり漫才」スタイルを創始し、人気を博した。
しゃべくり漫才はこれまでの萬歳・万才よりも多く笑いを企図したことが特徴で(「笑門来福」という本義からはまったく外れていない)、エンタツ・アチャコ以降、彼らに追随する多くのコンビが結成されたほか、ラジオ放送のコンテンツとして全国的な認知を得て、多くのスター漫才師が生まれた。ここまでが第二期といえる。
一方、従来の萬歳の鼓を楽器に替える格好で音曲を交えた話芸を披露する「ミスワカナ・玉松一郎」のような音曲漫才も派生した。
のちにTV放送が普及したため、第三期に突入したが、「ツッコミとボケ」(太夫と才蔵)というフォーマットは踏襲されている。本来はライブ・パフォーマンスであり、地方巡業などにも重きを置いているため、「地元感」が強いこともコントとの違いとして指摘される。

オチ[編集]

桂枝雀は, 落語を聞いている者の心理的プロセスを「『笑い』は緊張の緩和である」とし、これによってオチ(落ち)を4分類した. すなわち

  • 合わせ
  • 謎解き
  • ヘン
  • ドンデン

である。これに対して、桂米朝の語る8演目の落語のビデオを15名の大学生に見せ, 落ちのおかしさと印象に関する12個の質問項目に, 7段階で評定させた. 被験者全体の評定点を主成分分析した結果、

  • 合わせ
  • なるほど
  • まとも
  • 常識的
  • ドンデン返し

の5因子が得られ、 このうち“まとも”を除いた4因子は各々, 桂枝雀の分類に対応するものであったという。次に各演目の主成分得点を求めプロットした図を考察してみると, その落ち分類各々に対応する主成分が高くなっている演目と, 必ずしもそうなっていない演目とがあったという報告があった。

コントとの違い[編集]

コントは寸劇あるいは小話・戯曲であるため、小道具・舞台装置なども使われ、幕や書割、フェイドインやフェイドアウトなども使われる。前口上などはおおむね省かれ、「ここで幕引き」といったキューイングもない。その点からいうと狂言はコントに近く、

  • やるまいぞ - 「附子」が有名。
  • しさりおれ
  • さぁ笑え - 例としては「麻生」がある。

という形で「ここで終わりですよ」といったキューイングがなされる。
この点では漫才は落語に近いフォーマットに従っている。
落語では「高いところから失礼をいたします」「お運びをいただきましてありがとうございます」「毎度馬鹿馬鹿しい噺をさせていただきます」「ご機嫌を窺わせていただきます」から入って、枕が終わって本編に入ると羽織を脱ぎ、最後に「御退屈様でございました」で締めるというフォーマットがある。
「どつき漫才」という名称はあっても「どつきコント」という呼称がないのは、コントはあくまで「劇中のこと」であるのに対し、漫才は「会話のリアルで笑わせる」要素があるため、客席が気まずくならないように「シメ」で一緒に挨拶することでそこを解消するという配慮がある。いわゆる「ハリセン」(張り扇。講談の張扇とは異なる)は、「これは笑いを取るための約束事ですよ」ということを示すための抽象的な意味がある。ツッコミが持っていることが多い。
ちなみにハリセンはボール紙二枚とビニールテープ(黄色がよい)で簡単に作ることができ、ほぼ使い捨て(ヘタる)だそうで、ボール紙を縦六つ折にして柄の部分をビニテで巻くのがよいと、チャンバラトリオのカシラが説明していた。

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. 烏帽子など、正装することもある。

著名な漫才師[編集]

ピン芸人[編集]

  • 牧伸二

コンビ[編集]

  • エンタツ・アチャコ
  • エノケン・ロッパ
  • 獅子てんや・瀬戸わんや
  • コント55号

トリオ[編集]

関連項目[編集]