派遣社員

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派遣社員(はけんしゃいん)とは、派遣会社(派遣元)と労働契約を結んだ上で、派遣労働者を求めている別の会社(派遣先)に送られ、派遣先の指揮や命令に従って働く労働者のことである[1]

概要[編集]

正社員と派遣社員の違い[編集]

正社員の場合は雇用するのも、指揮や命令を行なうのも、給料を支払うのも全て労働者が実際に働く会社である[2]。それに対して派遣社員の場合は労働者が指揮や命令を受けて実際に働く会社と、雇用され給料を支払われる会社が全く別である[2]

派遣労働のタイプ[編集]

  • 登録型派遣 - 派遣労働のおよそ8割を占める。働きたい人があらかじめ派遣会社に希望する仕事の内容や自分にどんな能力があるかなどを登録しておき、条件にあてはまる仕事がある時だけ、派遣先に送られて働く仕組みである。主な職種は一般事務。派遣会社との労働契約は仕事が発生するたびに結ぶので、仕事がない間は給料は支払われない[2][3]
  • 常用型派遣 - 派遣会社と労働者が常に労働契約を結び、特定の派遣先に派遣されて働く仕組みである。労働契約が途切れない分、登録型派遣に比べて収入は安定しやすい。ただし常用型派遣はソフトウェア開発や通訳などの専門的な業務に限られているため、この仕組みを利用して働ける派遣社員はきわめて一部に限られている[3]
  • 紹介予定派遣 - 将来、派遣先の社員になることを予定して働く仕組みである。派遣期間が終了したときに、労働者本人と派遣先の両方が望めば、労働者は派遣先と直接の労働契約を結ぶことができる[3]

制限と義務[編集]

派遣労働は働ける期間に制限が無い業務と、制限がある業務に分けられる[3]。また働ける期間は最長で3年間である。制限がある理由として派遣社員が正社員に比べて人件費が安く、正社員を雇わずに企業が派遣社員を使い続ける恐れがあり、そうなれば長期間安定して働き続けられる労働者が減少し、不安定な位置の労働者が増加する恐れがあるためである[3]

  • 制限がある業務 - 一般事務や営業職[3]
  • 制限が無い業務 - 広告デザインやアナウンサー[3]

派遣労働者の雇用を安定させるため、派遣先は派遣労働者に対して直接雇用するように申し込む義務がある[3]。26の専門業種の場合、働ける期間に制限が無いとはいえ、派遣先が労働者を募集するときに素手に3年以上働いている派遣社員がいたら、その人に直接雇用の申し込みをしないといけない。一方、制限がある業種の場合、派遣先が3年間の期間制限を超えて派遣社員を受け入れていたら、その人に対し、直接雇用の申し込みをすることになっている[4]

メリットなど[編集]

派遣労働のメリットとして、仕事の内容を選べること、勤務地や勤務時間などを選んで働けること、残業休日出勤などを命じられるケースが少ないことなどが挙げられる[5]。デメリットとして、働ける期間に限りがあったり、派遣期間終了後に続けて働ける保障が無かったり、収入面における不安定さがある。特に登録型派遣は仕事がない期間は給料が支払われないため、収入が安定しにくい。また労働者に指揮命令をする会社と給料を支払う会社が別という派遣のシステム自体が様々な問題を引き起こしやすい。例えば、給料の不払いや労働災害などの問題が起こったとき、どちらの会社が責任を負うべきかはっきりせず有耶無耶にされて労働者が必要な補償を受けられないケースがある[5]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 『知っておきたい! 働く時のルールと権利』籏智優子著。2010年4月。P17
  2. a b c 『知っておきたい! 働く時のルールと権利』籏智優子著。2010年4月。P18
  3. a b c d e f g h 『知っておきたい! 働く時のルールと権利』籏智優子著。2010年4月。P19
  4. 『知っておきたい! 働く時のルールと権利』籏智優子著。2010年4月。P20
  5. a b 『知っておきたい! 働く時のルールと権利』籏智優子著。2010年4月。P25

参考文献[編集]

外部リンク[編集]