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横滑り防止装置
横滑り防止装置(よこすべりぼうしそうち)とは、自動車における車両制御技術の一種であり、走行中の急激な挙動の変化を抑え込み、姿勢を安定させるシステムである。一般的には横滑り防止装置のほか、ESC(Electronic Stability Control)が使われるものの、自動車メーカーによってさまざまな名称が与えられている(後述)。本項では特段の事情がない限り、ESCの略称を使用する。
概要[編集]
ステアリングの角度を検出する舵角センサにヨー角の変化速度を検出するヨーレートセンサなどを組み合わせ、舵角に比べて検出されたヨー角の差が大きい時にシステムが介入して安定させるようになっている。例えば、コーナー内側に大きく切れ込んでしまうようなオーバーステア時には外側前輪にのみブレーキをかけ、内側に向かおうとするモーメントを打ち消すようにして安定させるものである。逆にハンドルを切っても曲がっていかないアンダーステアの場合、内側後輪にのみブレーキをかけ、外側に向かおうとするモーメントを打ち消すようにして車両を安定させる。
技術的にはABSの延長線上にあるものであり、車輪の回転検知や四輪独立ブレーキ制御などの技術により実現されている部分も大きく、さらにTCSと合わせることで自動車安全技術の基礎となっている。なお、ぬかるみなどにはまった際はESCをOFFにすることが望ましく、ESC装着車にはESCの一時停止(解除)ボタンが設けられていることが多い。ほとんどが長押しで作動状態を切り替えられるほか、エンジン再始動で自動的にESCは有効化される。
ESCが介入できる状況には限度があり、ESCがあるからと言ってタイヤのグリップを超えたコーナーリングができるものではない。また、ブレーキ系に異常があっても当然効果を発揮することは無い上、悪路走破性が上がったりスピンしなくなったりするようなこともなく、夢のような万能システムでは決してない。その一方、未装着車に比べて事故が軽減できるというデータもあり[1]、日本においては登録自動車は2012年以降に発売される車種(すでに販売している車種については2014年から)に、軽自動車は2014年以降に発売される車種に対してESCの装着が義務化された。また、バスやトラックなどの事業用車両についても2014年から装着が義務化されている。
名称[編集]
ESCの名称は各メーカーによって様々であり、日本車メーカーにおける主な名称は以下のとおりである。
- ASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)- 三菱
- DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)- マツダ
- ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)- スズキ[注 1]
- VDC(ビークル・ダイナミクス・コントロール)- スバル・日産
- VSA(ビークル・スタビリティ・アシスト)- ホンダ
- VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)- トヨタ・ダイハツ[注 2]
なお、スバル・BRZなど、共同開発車やOEM車の場合は両メーカーの表記[注 3]を併記する例もみられる[注 4]。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ https://grips.repo.nii.ac.jp/record/1007/files/DP09-07.pdf 自動車横滑り防止装置の費用便益分析