枢機卿

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枢機卿(すうききょう、Cardinal)とは、ローマ教会聖職位階においてローマ教皇に次ぐ高い地位にある役職のことである。教会運営において教皇を補佐し、教皇が死亡した際に教皇選挙に参加することもできる。枢機卿会のメンバーでもあり、教会法に則って正式に叙任された司祭でもある[1]

概要[編集]

枢機卿を選ぶ権利は教皇が有する[1]。教皇は枢機卿会議において「これをあなた方はどう思うか?」(クィド・ウォビス・ウィデトゥール?)と問いかけて、自分の選択を正式に表明する[1]。枢機卿という地位がそのまま神学的・宗教的権威の高さを意味するわけではないが、カトリック教会内で最も強大な影響力を持つ存在であることには疑問の余地は無い[1]。枢機卿という語は「ちょうつがい」を意味するラテン語の「Cardo」から来ているとされ、初期のローマ教会で教皇の顧問は教会の拠って立つ大切な「ちょうつがい」であると考えられたため、この語が使われるようになった[1]。顧問は当初はローマ周辺の教会の司教やローマの助祭司祭の中から選ばれていた。そして時がたつにつれて「Cardinal」という役職名が一般的になり、現在のようなはっきりした地位になったのは1567年以降とされている[2]

枢機卿はその起源からローマ教会の聖職者の一人と見なされ、司教枢機卿司祭枢機卿助祭枢機卿の3つの枢機卿カテゴリのどれかに属している[2]

枢機卿には様々な特権が与えられており、このため「ローマ教会のプリンス」とも言われており、「猊下」(エミネンス)と呼ばれている[2]。緋色が枢機卿の色であり、そのため緋色の長着に緋色のズケット(お椀形の帽子のこと)とビレッタ(法冠)を身に着ける[2]。各自の紋章には赤い帽子が加えられ、その両側には15ずつ赤いタッセルがつけられる[2]。枢機卿に任命されるとビグリエットと呼ばれる特別な証書による通知を受け、枢機卿会議で教皇直々に枢機卿に任命される[2]。司祭枢機卿と助祭枢機卿は各々の名義教会に任命され、司祭枢機卿の場合はローマ近郊の7つの司教管区のひとつにこれも名義的に任命される[3]

はじめは年齢制限は無かったが、1970年に当時の教皇であるパウロ6世が布告を出して、80歳になると教皇選挙での選挙権を失い教皇庁の役職も辞任することに変更された[3]。ただしこの2点以外では枢機卿の資格は失わない[3]。この年齢制限の布告に関しては教皇庁内でははじめ評判が悪く、教皇も80歳で退位するのかと質問する枢機卿までいたという[3]

枢機卿は現在の教会に奉仕するだけではなく、教皇選挙への参加を通して教会の未来を形成することもできる[3]。というのも1378年以降は枢機卿以外から教皇が選ばれるということ自体が1度も起こっていない[3]。これは教皇にとって、自分の任命する枢機卿の一人が将来の教皇に選ばれる可能性が高いということであり[3]、そのため枢機卿の選任には教皇の重い任命責任があるということになる。

脚注[編集]

  1. a b c d e 『ローマ教皇事典』三交社、2000年。290頁
  2. a b c d e f 『ローマ教皇事典』三交社、2000年。291頁
  3. a b c d e f g 『ローマ教皇事典』三交社、2000年。292頁

参考文献[編集]

  • マシュー・バンソン著、長崎恵子・長崎麻子訳『ローマ教皇事典』三交社、2000年。

外部リンク[編集]