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展転社

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
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李秀英名誉毀損裁判から転送)
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株式会社展転社(てんでんしゃ)は、東京都千代田区神田神保町に本社を置く出版社。

1982年に相澤宏明が有限会社展転社を設立[1]。1997年に株式会社化[2]。保守派・民族派の出版で知られる[3]南京大虐殺の存在を疑問視する書籍を多数刊行している[4]

第2代社長は藤本隆之、第3代社長は荒岩宏奨

李秀英名誉毀損訴訟[編集]

1998年に展転社は松村俊夫自由主義史観研究会会員)の『「南京虐殺」への大疑問』を刊行した。松村は南京大虐殺の際に日本兵による強姦未遂に遭い、抵抗したために銃剣で顔や体を37ヶ所も切りつけられて重傷を負った李秀英について[5][6]、「李秀英は実際に被害を受けた者ではない別人である」「仕立て上げられたニセモノ」であると主張した[5]。1999年に李は東京地裁に松村と展転社に対し慰謝料1,200万円と謝罪広告の掲載を求める名誉毀損訴訟を提訴した。藤岡信勝はこの裁判について1999年11月8日付『産経新聞』の「正論」で「この裁判は法廷の場で南京虐殺の存否を初めて本格的に争う絶好の機会となるであろう」と述べた[5]。2002年に東京地裁は松村らに150万円(慰謝料120万円、弁護士費用30万円)の支払いを命じた。松村らは控訴し、李も慰謝料の額や謝罪広告の部分について控訴した。2003年に東京高裁は双方の控訴を棄却し、一審の判決を維持した。2005年に最高裁は被告の上告を棄却し、二審の判決を確定した[5]

髙池勝彦が李秀英名誉毀損訴訟と夏淑琴名誉毀損訴訟の両裁判で被告側弁護団長を務めた。稲田朋美は両裁判の被告側弁護団の一員だった[7]。両裁判に関する本として、瑞慶山茂編、宇都宮軍縮研究室編集協力『法廷で裁かれる日本の戦争責任――日本とアジア・和解と恒久平和のために』(高文研、2014年)がある。李秀英名誉毀損訴訟に関する本として、本多勝一、渡辺春己、星徹『李秀英名誉毀損裁判から未来へ――南京大虐殺歴史改竄派の敗北』(教育史料出版会、2003年)、渡邊春己『反対尋問と事実認定2――歴史をめぐる事件の記録と解説』(花伝社、発売:共栄書房、2022年)がある。

夏淑琴名誉毀損訴訟[編集]

1998年に展転社は東中野修道(亜細亜大学教授)の『「南京虐殺」の徹底検証』、松村俊夫の『「南京虐殺」への大疑問』を刊行した。両書は南京大虐殺で家族7人が殺害され、自身も重傷を負った夏淑琴について、「(本当の被害者とは)別人と判断される」「夏淑琴の体験談も…後から人為的につくられている」などと主張した[8]。2000年に夏は南京市玄武区法院(地裁にあたる)に松村、東中野、展転社に対する名誉毀損訴訟を提訴した。2004年に裁判が開かれたが、被告は応訴せず、2006年に玄武区法院は160万元(約2,240万円)の損害賠償、出版差し止め、中日両国の主要紙上への謝罪広告の掲載を命じる判決を言い渡した[8][9]

この間、2005年に東中野は東京地裁に債務不存在確認訴訟を提起したが、2006年に夏が日本の法廷に出廷すると訴訟を取り下げた。夏は債務不存在確認訴訟の被告となるとともに、反訴として東京地裁に東中野と展転社に対する名誉毀損訴訟を提訴した。2007年に東京地裁は東中野と展転社に400万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した[10][11]。2008年に東京高裁は1審判決を支持、2009年に最高裁は被告らの上告を棄却し、判決が確定した。判決後に455万7,300円の賠償金が支払われた[11]

2012年に夏は玄武区法院が損害賠償を命じた判決に基づき、松村と展転社に対し賠償金の強制執行を求める訴訟を東京地裁に提訴したが、2015年に東京地裁は日中間の判決に相互保証はないとして原告側の訴えを棄却した[12][4]。この間、2012年に展転社を支援するため、阿羅健一を会長とする「「南京裁判」展転社を支援する会」が発足した[13]

この裁判に関する本として、本多勝一、星徹、渡辺春己『南京大虐殺と「百人斬り競争」の全貌』(金曜日、2009年)がある。

出典[編集]

  1. 法華経世界への誘ひ 展転社
  2. 調べたい企業が見つかる法人企業データベース - YELLOW PAGE(イエローページ)
  3. 中村信一郎「元展転社社長 藤本 隆之氏 追悼文」維新政党・新風、 2022年9月25日
  4. 以下の位置に戻る: a b 【from Editor】南京取り立て裁判の怪 産経新聞、2012年10月23日
  5. 以下の位置に戻る: a b c d 李秀英さん名誉毀損訴訟 中国人戦争被害者の要求を実現するネットワーク
  6. 「「李秀英さん、名誉毀損裁判」勝利判決」ノーモア南京の会ニュース12号01年南京集会報告 ノーモア南京の会・東京
  7. 穂積剛「だから言わんこっちゃない」みどり共同法律事務所、2013年1月
  8. 以下の位置に戻る: a b 中国南京法院/著者らに賠償命令/南京大虐殺 被害者ニセ扱い訴訟 しんぶん赤旗、2006年8月24日
  9. 南京の裁判所で原告勝訴の判決 大虐殺生存者が日本の著作者を訴える 中華人民共和国駐札幌総領事館、2006年8月24日
  10. 米倉勉「南京事件・夏淑琴氏名誉毀損訴訟 東京地裁における勝訴判決について」自由法曹団通信1258号、2007年12月21日
  11. 以下の位置に戻る: a b 南京大虐殺の生存者・夏さん、日本の右翼から慰謝料獲得 人民網日本語版、2009年4月17日
  12. 「日中間の判決、相互保証なし」東京地裁、強制執行認めず 産経新聞、2015年3月21日
  13. 「南京裁判」展転社を支援する会会報第1号PDF

外部リンク[編集]