日商簿記検定

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日商簿記検定(にっしょうぼきけんてい)とは、簿記会計に関する技能、知識を認定する資格試験の一つ。

概要[編集]

日本商工会議所(日商)が主催し、全国各地の商工会議所にて実施されている。正式名称は日本商工会議所及び各地商工会議所主催 簿記検定試験。

簿記・会計に関する資格試験は他にもいくつか存在するものの、その中でも特に知名度が高いのがこの日商簿記検定である。そのため単に簿記検定と言った場合は殆どが日商簿記検定のことを指す。

1954年(昭和29年)より実施されており、1997年(平成9年)度以降は年3回(1級は年2回)実施されるようになっている。試験は6月、11月、2月に全国一斉に実施される。

国家資格ではないものの社会的評価はなかなか高く、情報処理の基本情報技術者試験や不動産の宅地建物取引士(宅建)試験と並ぶ人気資格となっており、民間検定としては実用英語技能検定(英検)や国際コミュニケーション英語能力テスト(TOEIC)などの英語検定と並び権威の高い試験となっている。

階級[編集]

1級、2級、3級、4級の4階級がある。経理部門や一般事務職などへの就職・転職の際に高く評価されるのは2級以上である。

1級[編集]

民間検定としては最難関の簿記の試験である。大学レベルの会計の知識を持っているレベルとされているが、実際には経済学部に通う大学生でも1級に合格するのは難しいと言われている。

受験者層は既に2級に合格できる実力を有している者や、公認会計士や税理士などの難関国家資格を目指す者が受験者層の大部分を占めており、その中での合格率が僅か10%前後であるため、難易度はかなり高いと言えるであろう。

1級に合格すると、特典として税理士国家試験の受験資格を得ることができる(厳密に言えば、学歴による制限が撤廃される。)。

商業高校生が1級に合格するのは偉業であり、地方なら地元の新聞に名前が載るほどである。また、文系の最難関国立大学の一つとして知られる一橋大学の推薦入試の出願条件を満たすことができる(ただし商学部のみ)。

民間資格としては最高峰の簿記の資格であるが、一般事務職向けというより、どちらかと言えば税理士や公認会計士などへの登竜門という印象が強い。

1級で出題されるのは商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4科目。試験時間は商業簿記と会計学がセットで90分、工業簿記と原価計算がセットで90分、合計180分(3時間)である。
合格基準は「総合得点が(100点満点中)70点以上であること」と「4科目(25点)全てで10点以上獲得していること」である。つまり、総合得点が70点以上であっても、1科目でも9点以下の科目があった場合は足切りで不合格となるため、バランス良く勉強する必要がある。

2級[編集]

経理のプロを名乗るのに必要な簿記や財務諸表に関する知識、技能を十分に身に付けているレベル、とされる。

2級に合格すると一般の事務職への就職・転職の際に有利に働くことが多い。1級は税理士や公認会計士などへの登竜門のイメージが強いため、一般事務職レベルなら2級が最もコストパフォーマンスが良い[注 1]

また、公務員採用試験でも2級以上の合格者が加点対象となる場合がある。

商業高校では日商簿記2級の合格を目標とする者が多いが、実際には高校卒業までに日商簿記2級に合格できる生徒はあまり多くない。一部の大学では入学試験(主に推薦、AO)の際に日商簿記2級以上の合格者を優遇することもある。

合格率は大体20〜30%程度であることが多いが、ブレ幅が激しく、難しい回だと15%を下回ることや、逆に簡単な回だと40%を超えることもある。

近年は出題範囲が改定され、かつては1級の内容だった連結会計などが出題されるようになり、難化傾向にある(特に商業簿記)。

試験時間120分(2時間)。100点満点中70点以上で合格。配点の内訳は商業簿記が60点、工業簿記が40点。工業簿記には基礎レベルの原価計算も含まれる。

3級[編集]

経理にかかわる者として最低限必要な簿記・会計の知識、技能を身に付けているレベル、とされる。

合格すれば一応履歴書に書くことは可能であり、未経験者であればこれでも評価対象になり得る。しかし経理のプロとして高い評価を得たいのであれば、やはり2級以上が欲しいところ。

合格率は40〜50%であり、資格試験の中では比較的簡単な部類に入る。が、合格率が30%を下回る難しい回もごく稀に存在する。
また、日商簿記検定は社会人向けの検定試験であるため、同じ3級でも、他の学生向けの検定試験(英検など)の3級と比べると難易度は高めの部類に入る。

試験時間120分(2時間)。100点満点中70点以上で合格。出題範囲は商業簿記のみ(工業簿記はない。)。

4級[編集]

経理関係者向けではなく、あくまでアマチュア向けの一般教養レベルの試験。

現在は初級として実施されている。

関連項目[編集]

関連外部リンク[編集]

[編集]

  1. 国家試験で同様に2級で充分なコストパフォーマンスが得られる試験としては自動車整備士国家試験が知られる。