日中共同声明

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日中共同声明(にっちゅうきょうどうせいめい、英Japan-China Joint Communique)は日本国と中華人民共和国との国交樹立に際して、1972年9月29日に出された日中国交正常化をうたった声明である。正式名は「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」である。

日本側は内閣総理大臣田中角栄と外務大臣大平正芳、中華人民共和国側は国務院総理周恩来、外交部長姫鵬飛が交渉に当たった。

内容は前文と本文9項目からなる。主な内容は、日中間の不正常な状態を解消し、日中国交正常化を実現すること、日本国政府は中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認すること、中華人民共和国政府は、台湾中華人民共和国の領土の不可分の一部であると表明し、日本政府は中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重すること、両国間の恒久的な平和友好関係を確立することなどに合意したことである。

交渉経緯[編集]

1972年7月の田中角栄内閣が成立した後、2ヵ月後の同年9月25日から30日までに北京を訪問した。交渉では中国側は復交3原則を提示した。

復交3原則
(1)中華人民共和国政府は中国を代表する唯一の合法政府である。
(2)台湾は中国領土の不可分の一部である。
(3)日華平和条約は無効であり破棄すべきである。

これに対して日本政府は、(1)を無条件で認めた(声明第2項)。一つの国家には一つの政府だけがあるという国際法の原則から、受け入れざるをえなかった。(2)は日本が中国の立場を「十分理解し、尊重」する(声明第3項)に留めた。(3)は明文化されていないが、結果的に日華​平和条約は失効し、20年間続いた台湾との国交を断絶するに至った。中国側の草案に見られた「戦争状態の終了」は、日本側は、日華平和条約により中国との戦争状態は終結しており、再び同じことを宣言することはできないと主張し、不正常な状態の終了の表現で中国側は受け入れた(声明第1項)。大平外務大臣は、記者会見の場で、日中国交正常化の結果、日華平和条約は存続の意義を失い終了したという説明を行った。