平均値の定理

数学の微積分学分野に於ける平均値の定理とは或る区間で微分可能な関数がその区間に平均変化率と微分係数が等しくなるようなx座標の点を持つ事を主張する定理である(言葉だけで説明するの結構難しい💦)。

概要

数式使って書くとこんな感じ。

関数$y=f(x)$が閉区間$[a,b]$で連続かつ開区間$(a,b)$で微分可能であるとする。このときこの区間内に

• ${\frac {f(b)-f(a)}{b-a}}=f'(c),(a<c<b)$

を満たすような実数cが存在する。

証明

天下り的で大味な証明なのは御愛嬌♪

${\frac {f(b)-f(a)}{b-a}}=k$

とおくと $f(b)-f(a)-k(b-a)=0$が成り立つ。ここで次のような関数

$\phi (x)=f(x)-f(a)-k(x-a)$

を考えると $\phi (a)=\phi (b)=0$ が言えるからロルの定理により $\phi '(c)=0,(a<c<b)$ なる実数cが存在する。で、この関数を微分したら $\phi '(x)=f'(x)-k$、$\phi '(c)=f'(c)-k=0$ となるから

∴ $k=f'(c)$

が成り立つ。(証明終)

書き換え

上述の定理の$a<c<b$の両辺からa引いてその後両辺÷(b-a)計算したら $0<{\frac {c-a}{b-a}}<1$ となるがこれの真ん中の辺の式をθとおけば

$c=a+\theta (b-a)$

と書ける。更に$a=x_{0},b=x_{0}+\Delta x$とおけば上記定理は

${\frac {f(x_{0}+\Delta x)-f(x_{0})}{\Delta x}}=f'(x_{0}+\theta \Delta x)$

$(0<\theta <1)$

とゆー風に書き換える事ができる。見た目がちと複雑なのが玉に瑕だがこの書き換えは色んな定理の証明に応用されるので重要ですよ☆

応用例

平均値の定理を使うと以下のように関数の増減に関する命題が証明できる。；

区間$[x_{1},x_{2}]$上で微分可能な関数$y=f(x)$があるとする。すると平均値の定理により

$f(x_{2})-f(x_{1})=f'(c)(x_{2}-x_{1})$…(1)

が成り立つ。(ただし$x_{1}<c<x_{2}$)

$x_{1}<x_{2}$のとき$f'(x)>0$ならば(1)の右辺は正であるから $f(x_{1})<f(x_{2})$が成り立つ。

逆に$f'(x)<0$のときは$f(x_{1})>f(x_{2})$となる。

故に微分係数が正(➕)のとき関数$y=f(x)$は単調増加し負(➖)のとき単調減少する事が分かる。

コーシーの平均値の定理

ここで幾何学的に説明するんはちと難しいんだが平均値の定理の拡張的な以下の定理が成り立つ事が知られている。(定理の名称はフランスの数学者オーギュスタン＝ルイ・コーシーに因む)；

2つの関数$f(x),g(x)$が区間$[a,b]$で連続かつ区間$(a,b)$で微分可能であるとする。このとき

• ${\frac {f(b)-f(a)}{g(b)-g(a)}}={\frac {f'(c)}{g'(c)}},(a<c<b)$

が成り立つ。ただし関数$g(x)$は上記の開区間で$g(a)\neq g(b)$及び$g'(x)\neq 0$とする。

証明

普通の平均値の定理と同じ感じで証明できる。 ((´；ω；`)芸が無くてごめんなさい💧)

定理の右辺をkとおいたら

$f(b)-f(a)-k\{g(b)-g(a)\}=0$

となるが、ここで

$\psi (x)=f(x)-f(a)-k\{g(x)-g(a)\}$

なる関数を考えると$\psi (a)=\psi (b)=0$が成り立つからロルの定理より$\psi '(c)=0$なるcが存在する(※$a<c<b$)。 で、上記関数ψ(x)を微分したら

$\psi '(x)=f'(x)-kg'(x)$

となるのでこれとロルの定理より

$k=f'(c)/g'(c)$

が成り立つ。(証明終)

ちなみにコーシーのこれも普通の平均値の定理と同様に以下の如く書き換えができるのでよろしく☆；

• ${\frac {f(x_{0}+\Delta x)-f(x_{0})}{g(x_{0}+\Delta x)-g(x_{0})}}={\frac {f'(x_{0}+\theta \Delta x)}{g'(x_{0}+\theta \Delta x)}},(0<\theta <1)$

関連項目

• ロルの定理:平均値の定理の特殊形とも考えられる。
• 中間値の定理:平均値の定理と名前や意味が似ているので混同しやすい。