「第2回エンペディア大賞」が2月いっぱい開催中です。2024年に作成された記事の中から、お気に入りの記事に投票しましょう!
差動装置
差動装置(さどうそうち)とは、二つ以上の軸について、車輪の回転差を吸収したり、または単一の動力から動力を配分したりする装置で、旋回をスムーズにする機構のことある。英語ではデファレンシャルギア(differential gear)といい、日本でもデフギヤや単にデフと呼ばれることもある。自動車においてよく使用される機構である。
概要[編集]
デファレンシャルギアは近年の自動車においてはほぼ必ず使用される装置であり、エンジンからの動力を駆動輪の左右のドライブシャフトに伝達する際に必ず介在するようになっている。四輪駆動車の場合は前後のほか、前輪と後輪の間にもデファレンシャルが存在し、このデファレンシャルギアはセンターデフと呼ばれるものである。
自動車はコーナリング時において内側より外側の車輪の方が進む距離が大きく、タイヤの回転数が速く、どうしても左右の車輪で回転差が生じてしまう。デファレンシャルギアはこの回転差を吸収しつつ、エンジンからの動力を左右の車輪に振り分けるという重要な役割を持っている。仮にデファレンシャルギアがない場合、アウト側の速い回転速度に引っ張られてイン側の車輪がスリップ、またはイン側の遅い回転速度に引っ張られてアウト側の車輪がスリップするなど危険な状態に陥りやすく、スムーズな旋回は不可能である。また四輪駆動車の場合はセンターデフで前後輪の回転差を吸収しているが、本格的なクロスカントリー車などはセンターデフが無い車種もある。この場合、乾燥路などのグリップの良い路面で旋回すると前後輪の間に回転差が発生し、タイトブレーキコーナー現象というコーナリング時にブレーキがかかったような挙動が発生してしまう。
これらの前後の回転差を吸収し、滑らかな動作をさせるための機構がデファレンシャルギアである。デファレンシャルギアは左右輪のどちらかに抵抗がかかった場合、抵抗の少ないほうの車輪に動力が伝わるようになっている。しかし、脱輪やスリップなどで一方の車輪が空転した場合はこの作用が仇となり、もう片方の車輪が路面に接していても動力が伝わらず、その状態から脱出することが非常に難しくなる。そのため、一部の自動車には差動を制限するためのリミテッド・スリップ・デフやデフロックと呼ばれる機構が備わっている。
関連項目[編集]
- 指南車 - 原理が差動装置とほぼ同様の技術を使用している。
- リミテッド・スリップ・デフ
- デフロック