実験ノート
実験ノート(じっけん - )とは、研究者が研究の過程(何を試みて、どのような結果を得たか)をそのつど記録して研究の過程を記録する記銘帳のこと。物理・化学などの科学分野では「実験ノート」と呼ぶことが多いが、数学分野では「研究ノート」、ソフトウェア開発の分野では「開発ノート」、「ラボノート」、生物・生態学などでは「観察ノート」と呼ぶこともある。以下では、単に「ノート」と記す。
概要[編集]
位置づけとしては「メモ ⇒ ノート ⇒ ペーパー(論文)」という、論文の前段階に位置付けられる。メモと野帳(フィールドノート)を併用することもあるが、あくまでノートの前段階である。写真などの生データは量が多いためノートには記述しないが、写真やサマリーなどはコピーなどしてノートに貼ることも多いため、やたら厚くなったりもする。
媒体と記述法[編集]
媒体は普通の大学ノート(B5。ときにA4)を用いる。罫線の幅は広いほうが使いやすいが、そこは好みである。 表紙・裏表紙には
- タイトル
- 使い始めの年月日
- 記述者のサインなど
を入れる。
中身は、最初の一葉(2ページ)と最後の一葉は明けておく。これは使用後にサマリーなどを書きこむためのものである。これはあくまで初心者向けの助言であり、何冊か溜まってくると自分なりのスタイルができあがってくるので、その後は適宜工夫されたい。
本文はそのまま使うのではなく、罫線部分の向かって左側[1]から五センチほどの場所に細い縦線を引く。項目ごとの小見出しはページの左端から書き、内容は線のところから書く。
たいていの大学ノートはページの向かって左上に「/」が印刷されているので分子側に通しページ番号を入れ[2]、日付と時刻を入れ、必要ならば場所も書く[3]。
筆記用具は「消せないもの」(油性ボールペン、万年筆、墨汁など)を使う。コピーは感熱紙だったら一度コピーを取ること。糊はスプレー式のペーパーセメント(ペーセメ。剥がせないタイプ。かつて写植貼りに使われていた)が便利だが、オフィス機器に悪影響が出ることを考えるとアラビアゴムのりが順当である。
行と行の間は一行づつ空けること。後で追記をしたくなることがあるので。
ディスカッションの記録は、ノートパッド、五mm方眼紙などを駆使する。ときにスマホなどを活用する人もいる。ディスカッション終了後にそれを適宜校正したのちノートにまとめる。
このようにして作られたノートはかつて高校・大学において重用され、ゼロックスの普及後にも写本が出回っていた[4]という。中には「このノートがあったら、僕でなくても講義ができますね(笑)」という講師の先生もいらっしゃったとか。
その他[編集]
アメリカ合衆国では、ラボノートの記載に妥当性があれば、先行の発明者と認められる先発明主義の特許法を採っていた。