妙法寺 (杉並区)

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妙法寺(みょうほうじ)は、東京都杉並区堀ノ内に所在する日蓮宗の寺院である。「除厄け祖師」「お祖師様」として知られる。

沿革[編集]

  • 元和年間(1615年-1623年)、真言宗の尼寺であった。覚仙院日逕上人は日蓮宗に改宗し、老母妙仙院日圓法尼を開山とし、自らを開基第二祖とする。山号を日圓山とし、寺号を妙法寺とした。目黒碑文谷の法華寺の末寺となる。
  • 1630年(寛永7年)、法華寺は関東における不受不施派の統率者であった。受不施を唱える身延山と対決した。徳川氏一門は身延山を擁護し、不受不施は邪義とみなされ、多くの僧侶が処罰された。不受不施は、法華経の信者以外からは供養を受けず、また施しも行わない教義で、日蓮宗本来の純粋な法華信仰をたもつ宗門の規則であった。
  • 1665年(寛文5年)、幕府の朱印状書替を機会に法華寺への弾圧が厳しくなる。
  • 1698年(元禄11年)、法華寺に大禁圧が加えられた、19世日附上人のときに法華寺は取りつぶされ、再び天台宗に改宗することになった。
  • 1699年(元禄12年)3月、妙法寺は身延山久遠寺の直末となり、法華寺から除厄け日蓮大聖人の霊像を迎える。この像があらゆる災難除けに霊験あらたかと信じられたことから人々の信仰を集めた。祖師堂に安置する日蓮大聖人像は、世に「除厄け祖師」と言われる。
  • 1926年(昭和元年)、妙法寺30世、岡田日帰上人により東京立正中学校・高等学校(当初立正高等女学校)を開学する。
  • 1966年(昭和41年)、東京立正女子短期大学を設立する。

堀之内寄席[編集]

落語「堀の内」に妙法寺が登場する。毎月23日に書院2階で「堀之内寄席」を開催する。

建物[編集]

  • 仁王門(山門)
    • 東京都指定有形文化財。1787年(天明7年)の再建。二層造りのため桜門と言われる。仁王門の左右に徳川四代将軍家綱公が妙法寺の地頭所日吉山王社に寄進したとされる金剛力士像(仁王様)が安置されている。
  • 鉄門
    • 重要文化財(国指定)妙法寺の現地看板には英国人コンドル博士(鹿鳴館・上野博物館・ニコライ堂など)の設計で明治11年に完成したと書かれている。しかし柱に「明治十一年 工部省工作分局 東京赤羽」と書かれていることから、工部省が設計施工したとする説もある[1]。和洋折衷様式の鉄門である。
  • 御成の間(書院)
    • 東京都指定有形文化財(昭和40年)。江戸時代には妙法寺は将軍の休息をとる御膳所であった。『御成の間』は、将軍が妙法寺に立ち寄った折り、その御座所として使用した座敷である。1817年(文化14年)4月に11代将軍家斉の最初の御成りがあった。1819年(文政2年)に再び家斉、1839年(天保10年)と1846年(弘化3年)には12代家慶が来訪した。天井・床の間・腰障子に狩野幽玄常信による水墨による障壁画が描かれる。
  • 祖師堂
    • 東京都指定有形文化財。妙法寺で最も大きな堂が「祖師堂」である。「除厄け祖師像」が安置され、祖師像は「おそっさま」と呼ばれる。
  • 天明の水
    • 1785年(天明2年)、第十七世日研上人の時、渇水のために掘った井戸であり、妙法寺の水屋と呼ばれる。
  • 鐘楼
    • 1725年(享保4年)、第十世日弘上人の代に鋳造された。
  • 本堂(三軌堂)
    • 1819年(文政2年)に建立される。
  • 日朝堂
    • 1828年(文政11年)、第二十世日憲上人の代に創立され、身延山十一世行学院日朝上人の尊像が安置される。
  • 二十三夜堂
  • 浄行堂
  • 大玄関
  • 書院庭園
  • 子育観音
  • 宝塔
  • 千部講中石塔
  • 織部燈籠

厄除けの由来[編集]

1261年(弘長元年)、日蓮聖人が鎌倉由比ヶ浜から流罪の為、伊豆伊東に流されるとき、弟子の日朗上人は役人たちの制止にも関わらず、日蓮の乗る船に近づき供を申し出た。役人櫂で腕を打ち砕き、日朗上人は波打ち際に倒れた。日蓮は「朝日が東天に輝くとき、汝の無事を思う。日が西に沈むのを見たら日蓮は伊東で無事であることを知れ」と語った。日朗上人は由比ヶ浜で祈念を続けていたところ、光を放つ霊木が、沖から日朗上人の膝に流れ着いたため、日蓮大聖人の姿を彫刻し、日蓮の無事を祈願した。三年後に日蓮聖人が戻り、守護の信仰に喜び、自ら尊像開眼した。この像が妙法寺に安置する「除厄け日蓮大菩薩」である。

基本事項[編集]

  • 名称:日蓮宗 本山 除厄け祖師 堀之内 妙法寺
  • 創始者:妙仙院日圓法尼
  • 宗派:日蓮宗
  • 所在地:〒166-0013 東京都杉並区堀ノ内3-48-8
  • 交通:東高円寺駅 徒歩1.2km(15分) 消費カロリー55kCal、新高円寺駅 徒歩1.0km (13分) 消費カロリー44kCal
  • 行事
  • <四大行事>
    • 初詣 太歳三が日大祝祷会
    • 節分会
    • 法華千部会 5月11日被災地復興祈願、5月12日法華千部会 伊豆法難会、5月13日法華千部会 内拝
  • 10月13日、日蓮聖人の御命日の10月13日を中心に営まれる報恩感謝の法会
    • 毎月3日、諸霊供養(御題目の日)
  • 毎月13日、宗祖御縁日
  • 毎月19日、写経会
    • 2月15日、釈尊涅槃会
  • 春分の日、彼岸会

注・参考文献[編集]

  1. 当時はコンドルは工部省顧問であったので、コンドルが関与していた可能性は高い。さらに明治11年時点では、こうした作風をもつ日本人建築家はいなかったと考えられる。またコンドルはイギリスの設計事務所で装飾的な設計実務も行っていたことから、コンドルが設計に関わったとみることが妥当ではなかろうか。