大谷翔平君 夢への道しるべ

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大谷翔平君 夢への道しるべ ~日本スポーツにおける若年期海外進出の考察~とは、2012年11月10日北海道日本ハムファイターズ大谷翔平に向けた入団交渉の場で提示し、「二刀流」を育てる原点となったプレゼン資料である。報道陣やファンからの多数の問い合わせに応え、同年12月13日に日本ハム球団により公開された。

概要[編集]

高校野球で有力選手と目されていた大谷翔平は、2012年10月25日のドラフト会議開催を前に会見を開き、MLB挑戦を表明。NPB各球団が引け腰となる中、日本ハムのみが唯一ドラフト会議で大谷を指名し、交渉権を一本釣りすることとなった。 本人の夢を否定する強行指名であり非難の声も飛び交う中、大谷との入団交渉の場で日本ハムがこの資料を提示。その後も粘り強い交渉を重ね、12月9日に大谷の日本ハム入団が表明された。

資料の構成[編集]

資料では大谷の希望を「MLBトップの実力をつけたい」「トップで長く活躍したい」「パイオニアになりたい」の3つに整理し、「アメリカで野球がしたい」ことが目標ではないことも明記。

続けてNPBとMLBの仕組みの違いを記載しつつ、実際のデータとして日本人メジャーリーガーはNPBで実績を積んだ選手が長く活躍していること、また韓国野球からはKBOを経由せずに渡米した選手が多いものの長く活躍できていないことを指摘。さらに早期渡米により実績を積んでもパイオニアになれるのは日本国内のみで、アジアから見れば決して特別なことではない点も記載されている。

また世界トップクラスの選手が活躍する各種スポーツ競技を以下の3種類に分類。野球は「国内でのトップ環境を経ることなく早期に海外進出する必要性に乏しい」競技に分類している。

  1. トップ選手であっても日本に拠点を置いたほうが有利な競技(柔道や体操など)
  2. 若年層から海外に進出したほうが有利な競技(競技力が重視される卓球やテニスなど、また物理的な競技環境が必要なスノーボードなど)
    • モンゴルから早くして日本に進出すべき相撲もここに分類。
  3. 選手として確立されてから海外に進出したほうが有利な競技(野球や女子バレーボールなど)

この分類において3.から2.に移行しつつある(つまり、若年での海外進出が始まりつつある)サッカーの指導教本を引用し、身体能力では追いつかない部分を技術力や持久力、判断力などで補うことが重要だと強調。さらに実際のデータとしてJリーグで実績を積んだ選手が海外でも長く活躍していること、早期に海外進出した選手が長期活躍するかは未知数としながらも早期に帰国する選手が確実に増加している点も指摘している。

これらの点から、野球においては早期渡米よりも日本で技術を積んでからの渡米が長期活躍につながり、日本の育成環境で技術を習得したほうが世界トップでそれを発揮できるという結論を提示。大谷の希望を叶えるためにはNPBもMLBも一長一短の側面があることを示し、締めくくっている。

その後[編集]

入団会見にて「早くアメリカに行った方が長くトップで活躍できるという考えでした。新しい道を教えてもらいました」と語ったように、この資料を受けて態度を転換した大谷。ドラフト指名時点では本人含め誰ひとり発想を持たなかった投打の「二刀流」選手として、プロ野球界のパイオニアの道を歩むことになった。

日本ハムでは球団からの徹底的なサポートを受け、本人も持ち前のストイックさを発揮し5年間活躍。2018年に数々の球団からの注目を集め渡米してからはMLBトップどころか前人未踏の活躍を続け、野球規則にも「大谷ルール」としても名を残すことになった。未だ道半ばではあるが、名実ともに野球界のパイオニアといって差し支えないだろう。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]