夢皇女
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夢皇女 (ユメノヒメミコ、生没年不詳)は、飛鳥時代の少女。欽明天皇の皇女。母は堅塩媛。磐隈皇女 (イワクマノヒメミコ)ともいわれる。巫女となったが、強姦されて解任された。
生涯[編集]
斎宮となる[編集]
欽明天皇とその愛妾である堅塩媛とのあいだの皇女である夢皇女は、推古天皇の妹にあたる。皇女である彼女は神聖な存在であった。そして、ヤマト王権にとって最も重要な神、伊勢大神(アマテラス)を祀る巫女となった。これはのちの斎宮と同じ役割である。
夢皇女は伊勢には行かず、都近くの専用の御所にいたと考えられる。処女神であるアマテラスに仕える巫女もまた、処女である必要があった。そのため、夢皇女はもちろん、その侍女たちもみな処女であったと思われる。
汚された巫女[編集]
こうした美しい処女の集まる御所を、若い男性たちがどのような目で見ていたかは明らかである。576年、『日本書紀』によれば、夢皇女は強姦された。犯人は茨木皇子。高い身分の男性であり、当然、側近たちとともに御所に乗り込み、侍女たちも手当たり次第に犯したのだと考えられる。
まだ、幼い少女だった夢皇女は、こうして汚辱と絶望のうちに巫女を解任された。後任の巫女、菟道皇女も凌辱のすえ、妊娠している。これらは当時の王権の不安定さを表すものだろう。はるか後年、平安時代の斎宮、済子女王も武士に犯されるなど、古代の巫女は常に凌辱の危険と隣合わせだった。