地震予知計画

地震予知計画（じしんよちけいかく）は、 日本の年次計画の1つ。大学や関連省庁などが協力し、国家事業として地震予知に向けた観測・研究を行なうための5ヵ年を基本とする。この計画は、1964年7月の測地学審議会（学術審議会）による関係大臣への建議に基づいて、翌年の1965年から開始された。第1次計画は1965年に始まり、 第7次計画は1998年に終了。1999年4月以降は、名称が「地震予知のための新たな観測研究計画」に改められ、 新たな地震予知の観測研究計画が開始された。

地震予知計画の構成の推移

第1次地震予知（研究）計画（昭和40年～43年度）

1. 測地的方法による地殻変動調査
   1. 三角測量
   2. 水準測量
   3. 地磁気、重力測量
2. 地殻変動検出のための験潮場の整備
3. 地殻変動の連続観測
4. 地震活動の調査
5. 爆破地震による地震波速度の観測
6. 活断層の調査
7. 地磁気・地電流の調査
8. 大学の講座、部門の増設等
9. データ処理システムの確立
10. 移動観測の整備

第2次地震予知計画（昭和44年～48年度）

1. 全国にわたる基本的測地検潮及び大・中・小地震観測
   1. 全国にわたる測地
   2. 検潮による海岸昇降の検知
   3. 大・中・小地震の観測
2. 特定観測地域における観測の集約的実施
   1. 測量
   2. 地殻変動の連続観測
   3. 微小地震観測
   4. 移動観測班による観測
   5. 地殻活構造調査研究
   6. 地震波速度の調査研究
   7. 地磁気及び地電流の観測
   8. 東京及びその周辺地域における深井戸等による観測
3. 観測強化地域の観測
4. 観測集中地域の観測
5. 岩石破壊実験
6. 計画の総合的推進体制
7. 人材の養成

第3次地震予知計画（昭和49年～53年度）（昭和50年7月 一部見直し）（昭和51年12月 再度一部見直し）

1. 地震予知観測の強化及びその体制の充実
   1. 全国の基本的観測の推進
   2. 特定地域の観測の拡充強化
   3. 観測強化地域、特に東海地域における観測の拡充強化
   4. 業務観測体制の整備充実
2. 地震予知の基礎的研究の推進について
3. 地震予知関連情報の判定体制の整備

• 長期的予知のため拡充強化すべき観測

1. 測地測量
2. 微小地震観測
3. 人工地震による地震波速度の時間的変化の観測及び地殻構造の調査
4. 地殻変動連続観測
5. 検潮
6. 地下水に関する調査研究
7. 重力変化の測定

• 短期的予知のための観測の推進

1. 常時観測体制の整備
2. 機動的観測体制の整備

第4次地震予知計画（昭和54年～58年度）

1. 長期的予知に有効な観測研究の拡充強化
   1. 測地測量
   2. 地震観測
   3. 地磁気測量
   4. 移動観測班による総合精密観測
   5. 地震波速度変化の観測
   6. 長期的予知に関連する基礎調査
   7. 長期的予知ため開発を行う技術
2. 短期的予知に有効な観測研究の集中的実施
   1. 高密度短周期反復測地測量
   2. 地殻変動連続観測
   3. 地震観測
   4. 地球電磁気的観測
   5. 地下水の観測
3. 地震発生機構の解明のための研究の推進
   1. 岩石破壊実験
   2. 地殻応力の測定
   3. 人工地震による地殻構造調査
   4. テストフィールド
4. 地震予知体制の整備
   1. データの収集・処理体制の整備
   2. 常時監視体制の充実
   3. 判定組織等の強化
   4. 人材の養成、確保
   5. 国際協力の推進

第5次地震予知計画（昭和59年～63年度）

1. 長期的予知に有効な観測研究の充実
   1. 全国を対象とする観測研究
      1. 測地測量
      2. 地震観測
   2. 特定の地域において必要な観測研究
      1. 高密度短周期反復測地測量
      2. 移動観測班による精密観測
      3. 海底諸観測
   3. 基礎調査
      1. 地殻活構造調査
      2. 史料地震学的調査
2. 短期的予知に有効な観測研究の拡充強化
   1. 地殻変動連続観測
   2. 重力変化の測定
   3. 地震観測
   4. 地球電磁気的観測
   5. 地下水・地下ガスの観測
   6. 首都圏など都市地域における地震予知のための開発研究
3. 地震発生機構解明のための研究の推進
   1. 前兆現象発生の仕組み理解のための研究
   2. 前兆現象理解のバックグラウンドとなる研究
4. 地震予知体制の整備
   1. データの収集・処理体制の整備
   2. 常時監視体制の充実
   3. 予知関係組織等の強化
   4. 人材の養成・確保
   5. 国際協力の推進

第6次地震予知計画（平成元年～5年度）

1. 長期的予知に有効な観測研究の充実
   1. 定期的な測量・観測
      1. 測地測量
      2. 宇宙技術による観測
   2. 連続観測
      1. 地震観測
      2. 検潮
      3. 地磁気観測
   3. 機動型観測
      1. 陸上総合観測
      2. 海底諸観測
   4. 基礎調査
      1. 地殻活構造の調査
      2. 史料地震学的調査
2. 短期的予知に有効な観測研究の拡充強化
   1. 地殻変動連続観測
   2. 重力変化の測定
   3. 地震観測
   4. 地球電磁気的観測
   5. 地下水・地下ガスの観測
   6. 首都圏における地震予知のための観測研究
3. 地震予知の基礎研究の推進と新技術の開発
   1. 岩石破壊実験
   2. 地殻応力の測定
   3. 地殻変動構造・物性の調査・研究
   4. 内陸地震に関する基礎的研究
   5. 新技術の開発研究
4. 地震予知体制の充実
   1. データの収集・処理体制の充実
   2. 地震予知に関する各種資料の保存と活用
   3. 常時監視体制の充実
   4. 予知関係組織の充実
   5. 人材の養成と確保
   6. 国際協力の推進

第7次地震予知計画（平成6年～10年度）

1. 地震予知の基本となる観測研究の推進
   1. 広域地殻活動に関する観測研究の推進
      1. 地殻変動観測
      2. 地震観測
      3. 地磁気観測
      4. 基礎調査
   2. 観測強化地域、特定観測地域等における観測研究の推進
      1. 東海地域
      2. 南関東地域
      3. 特定観測地域等
2. 地震発生のポテンシャル評価のための特別観測研究の推進
   1. 海・陸プレート境界域のダイナミクスに関する観測研究の推進
      1. プレート構造とプレート内反応分布の解明
      2. プレート境界のすべり運動の把握と広域応力場の長期的変動の予測
   2. 内陸の地震テクトニクスに関する観測研究の推進
      1. 活断層の活動特性の解明
      2. 大規模観測実験による地震テクトニクスの解明
3. 地震予知の基礎研究の推進と新技術の開発
   1. 基礎研究の推進
      1. プレート収束域のテクトニクスの解明
      2. 地殻・マントルの物性の解明
      3. 地震発生サイクルのモデル化と前兆現象の発現機構の解明
   2. 新技術の開発
      1. 海底観測手法の高度化と多項目化
      2. 地下深部における観測手法の開発
      3. 宇宙技術利用の高度化
4. 地震予知体制の充実
   1. データの収集・処理体制の充実と相互利用の促進
   2. 地震予知に関する各種資料等の広範な活用保存
   3. 常時監視体制の充実
   4. 予知関係組織の充実
   5. 予知研究体制の整備
   6. 人材の養成と確保
   7. 火山噴火予知研究との連携
   8. 国際協力の推進
5. 第7次地震予知計画の見直しで追加された項目（平成7年4月）
   1. 地震予知観測研究体制の充実
      1. 観測研究データの流通と総合的評価システムの確立
      2. 常時監視体制の充実
      3. 地震予知に関する各種資料の広範な活用と保存
      4. 人材の養成と確保
      5. 大学における研究の充実
      6. 防災関係機関との連携の強化

地震予知のための新たな観測研究計画（第1次）（平成11年～15年度）

1. 地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進
   1. 定常的な広域地殻活動
      1. プレート運動とプレート境界域の調査
      2. プレート間カップリングの空間分布の把握
      3. プレート内部の不均質構造の解明
      4. 長期的な地震発生確率の推定
   2. 準備過程における地殻活動
      1. プレート間カップリングの時間変化の検出
      2. 地震多発地域での応力蓄積過程とゆらぎの検出
      3. 断層面の構造・物性及び活断層周辺の調査研究
      4. 構造の不均質及び地殻流体に関連する調査研究
   3. 直前過程における地殻活動
      1. 前駆現象の発現機構に関する観測研究
      2. 前駆現象検出のための試験観測
      3. 前駆現象の素過程に関する実験的・理論的研究
   4. 地震時及び地震直後の震源過程と協震動
      1. 断層面の不均質性に関する研究
      2. 震源域における強震動の予測に関する研究
2. 地殻活動モニタリングシステムの高度化のための観測研究の推進
   1. 広域地殻活動モニタリングシステム
      1. 広域地殻変動観測
      2. 広域地震観測
      3. 活断層調査・古地震調査
      4. 地球電磁気観測等
      5. 地殻構造調査
   2. 特定域地殻活動モニタリングシステム
      1. 東海及びその周辺地域
      2. その他特定の地域
3. 地殻活動シミュレーション手法と観測技術の開発
   1. 地殻活動シミュレーション手法
      1. シミュレーションモデルの開発
      2. データ基盤の整備とデータ解析・同化システムの開発
   2. 観測技術
      1. 宇宙技術利用の高度化
      2. 海底計測技術の開発と高度化
      3. 地殻深部における計測技術の開発と高度化
4. 本計画推進のための体制の整備
   1. 地震に関する各種資料の広範な活用と保存
   2. 人材の養成と確保
   3. 火山噴火予知研究との連携
   4. 国際協力の推進

地震予知のための新たな観測研究計画（第2次）（平成16年～20年度）

1. 地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進
   1. 日本列島及び周辺域の長期広域地殻活動
      1. 日本列島及び周辺域のプレート運動
      2. 列島規模のプレート内の構造と変形
   2. 地震発生に至る準備・直前過程における地殻活動
      1. プレート境界域における歪・応力集中機構
      2. 内陸地震発生域の不均質構造と歪・応力集中機構
      3. 地震発生直前の物理・化学過程
      4. 地震発生サイクル
   3. 地震破壊過程と強震動
      1. 断層面上の不均質性
      2. 地震波動伝播と強震動予測
   4. 地震発生の素過程
      1. 摩擦・破壊現象の物理・化学的素過程
      2. 地殻・上部マントルの物質・物性と摩擦・破壊構成則パラメータ
2. 地殻活動の予測シミュレーションとモニタリングのための観測研究の推進
   1. 地殻活動予測シミュレーションモデルの構築
      1. 日本列島域
      2. 特定の地域
      3. 予測シミュレーションモデルの高度化
   2. 地殻活動モニタリングシステムの高度化
      1. 日本列島域
      2. 東海地域
      3. 東南海・南海地域
      4. その他特定の地域
   3. 地殻活動情報総合データベースの開発
      1. 日本列島地殻活動情報データベースの構築
      2. 地殻活動データ解析システムの開発
3. 新たな観測・実験技術の開発
   1. 海底諸観測技術の開発と高度化
   2. ボアホールによる地下深部計測技術の開発と高度化
   3. 地下構造と状態変化をモニターするための技術の開発と高度化
   4. 宇宙技術等の利用の高度化
4. 計画推進のための体制の整備
   1. 計画を一層効果的に推進する体制の整備
   2. 地震調査研究推進本部との役割分担
   3. 情報交換等の場としての地震予知連絡会の充実
   4. 人材の養成と確保
   5. 火山噴火予知研究等との連携
   6. 国際協力の推進
   7. 研究成果の社会への効果的伝達