土鍋
土鍋(どなべ)とは、その名の通り土から作られる鍋である。縄文土器にルーツがある長い歴史のある調理器具であり、日本の食卓を支えている重要な調理器具である。
概要[編集]
前述のとおり、縄文土器から発展した調理器具と言われており、かつては素焼きの土鍋も存在していたという。土鍋として有名な伊賀焼であるが、かつて湖底であったとされる伊賀地方の土は土鍋に最適であるとされており、焼き上げの際の熱と有機物の働きにより耐火性に優れた土鍋になるという[1]。
1950年代にはいるとリチウムを含有するペタライトを使用した陶土が開発され、この陶土を用いて作られた土鍋は優れた耐熱性を持つという特徴を持っている。このため、土鍋の低価格化や一般普及が加速したともいわれている。しかし、2020年代になるとリチウムの需要が爆発的に上昇し、かつて需要が少なかったペタライトの需要も急上昇するうことになった。一部の鉱山では外国の企業が鉱山ごと買収し、日本の窯業メーカーに対する供給がストップされる事態となった[2]。そのため一部メーカーではペタライトの使用量を減らしたり、代替素材を探すなどの研究を加速化させている。
使用例[編集]
鍋料理として調理から提供まで使用されることが多い。カセットコンロを利用して食卓で加熱しながら食べることも一般的である。また、炊飯器がなくとも土鍋で米を炊くことも難しくなく、かつ食味も良いため土鍋で炊飯する愛好者は多い。冬場になると一人用の土鍋で作ったうどんを土鍋ごと提供する鍋焼きうどんも有難いものである。
注意事項[編集]
購入したての土鍋には極小の溝や気泡が残っていることがあり、においやカビの原因になりやすい。そのため、古くから「目止め」と呼ばれる慣らし作業が行われている。近年の土鍋では不要になることも多いが、米のとぎ汁などを入れてひと煮立ちさせることで目止めができるという。
そのほか、耐熱性に優れるといっても急激な温度変化により破損することも珍しくない。特にいきなり強火で熱したり、直前まで火にかけていた土鍋を冷水で急冷するような行為は破損の原因になるものである。