名誉博士

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

名誉博士(めいよはくし)とは、大学より授与される名誉学術称号のひとつである。各国の国内法ないし各大学が規則により定める。

概要[編集]

博士 (Doctor) の学位は、最上位の学位として位置づけられている。大学院の博士課程または博士後期課程を修了または単位取得退学し、博士論文を提出し学位審査で合格すると取得できる(課程博士もしくはコースドクターと称する)。論文審査により高度な研究能力があると認定された者にも授与されることがある(論文博士)。

名誉博士は学校教育法上の博士の学位とは異なっており、大学の自治に基いて大学が独自に定めた名誉称号である。多くの場合、「名誉博士称号授与規則」が定められている。

名誉博士の事例[編集]

東京工業大学[編集]

東京工業大学名誉博士称号授与規則(平成16年4月1日制定)があり、名誉博士の称号は,学術文化の発展に多大の業績を挙げた者で,次の各号の一に該当する者に授与するとされている[1]

  • 一 大学の教育研究に寄与した功績が顕著であると認めた者。
  • 二 大学に外国人教師として勤務し,かつ,教育研究上の功績が特に顕著であると認めた者。
  • 三 外国人であって,広く国際学術交流に関して貢献し,その功績が顕著であると認めた者。

2009年9月18日、シュツッツガルト大学(ドイツ)名誉教授である物理学者マンフレッド・ハインリッヒ・マーティン・ピルクーンに東京工業大学名誉博士を授与した[2]

桜美林⼤学[編集]

桜美林⼤学では、学園の内外を問わず学術、⽂化等の向上に対して功績があると認めた者に対し、桜美林⼤学名誉博⼠の称号を授与し、これまでに29名に名誉博士を授与している[3]

名誉博士に学問名がつくことがある。青山学院大学はオックスフォード大学名誉総長のクリス・パッテン卿に名誉博士(国際政治学)の称号を2018年10月25日授与した[4]

中央大学[編集]

中央大学は、文化の創造・発展、社会・人類の福祉に多大の貢献をした者に対し、名誉博士を贈呈している。これまでに18件の贈呈がある。

No 贈呈年月日 氏名 国籍 贈呈時の職名 備考
1 2014.05.08 ディルク・エーラース ドイツ連邦共和国 ヴェストフェーリッシェ・ヴィルヘルム大学法学博士,ドイツ国法学者協会元理事長
2 2014.03.24 ラフマット・ゴーベル インドネシア共和国 パナソニック・ゴーベルグループ会長,インドネシア日本友好協会理事長
3 2009.11.07 ロナルド・P・ドーア イギリス ロンドン大学名誉教授
4 2005.10.22 ロバート・A・マンデル カナダ コロンビア大学教授,ノーベル経済学賞受賞
5 2005.10.15 杉本 八郎 日本 京都大学大学院薬学研究科客員教授,中央大学理工学部・理工学研究科客員教授
6 2003.11.14 鈴木 敏文 日本 セブン-イレブン・ジャパン代表取締役会長兼CEO,イトーヨーカ堂代表取締役会長兼CEO
7 2003.11.13 堂野 達也 日本 元日本弁護士連合会会長,元学校法人中央大学理事長,中央大学学員会名誉会長
8 2000.10.12 モーリス・グリドー=モンターニュ フランス共和国 駐日フランス大使
9 1998.10.08 クリスチャン・ルイット フランス共和国 エクスマルセイユ法・経・科学大学学長
10 1997.12.09 ワシリー・レオンチェフ アメリカ合衆国 ニューヨーク大学教授,ノーベル経済学賞受賞者
11 1995.05.14 コフィ・アナン ガーナ共和国 第7代国連事務総長
12 1995.01.20 金溶植 大韓民国 韓国外務部長官、高麗大学校理事長、中央大学韓国同窓会会長
13 1992.01.30 李載灐 大韓民国 韓日親善協会会長、韓国元国会議長、中央大学韓国元同窓会会長
14 1990.01.04 フェルナン・ブーラン フランス共和国 エクスマルセイユ法・経・科学大学名誉法学部長 名誉法学博士
15 1985.11.12 ルイ・ファヴォルー フランス共和国 エクスマルセイユ法・経・科学大学名誉学長 名誉法学博士
16 1985.11.12 ジャック・ペラン フランス共和国 パリ高等商科大学学長 名誉商学博士
17 1985.11.12 ノンヤオ・チャイセリ タイ王国 タマサート大学学長 名誉商学博士
18 1964.04.28 ディヴィド・エフ・ケイヴァース アメリカ合衆国 ハーバード大学教授 名誉法学博士

秋篠宮[編集]

メコンオオナマズなどの研究に貢献したとして、タイのマハーサーラカーム大学から名誉博士号が秋篠宮に贈られることになった[5]

名誉博士の逮捕[編集]

ゴーン会長に「名誉博士号」を授与した大学には九州大学早稲田大学法政大学がある。2003年に九州大学、2004年に法政大学、2005年に早稲田大学が名誉博士号を授与した。逮捕を受け、その扱いを「検討中」とする大学が出ていると報道された[6]。早稲田大学は剥奪や取り消しの規則がないことを理由に「現在のところ何らかの対応は考えていない」としている。

参考文献[編集]