加法定理 (三角関数)

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三角関数加法定理(かほうていり)とは、三角関数どうしの加法(足し算)と減法(引き算)に関する定理である。

公式[編集]

符号は全て複号同順。±と∓は上なら上、下なら下で等号が成り立つ。

cot, sec, csc に関する式は以下の通り。あまりきれいな形にはならず、エンペディア読者にこれらを使う人はあまりいないと思われるが、鉄道分岐器に使うので参考までに記載しておく。

倍角公式[編集]

加法定理から、以下の公式が簡単に導出できる。

2倍角の公式[編集]

y = x と代入し整理するだけで以下の公式が導かれる。

3倍角の公式[編集]

y = 2x とし、さらに2倍角の公式も用いて整理することにより以下の公式が導かれる。

同様に 4倍角の公式、5倍角の公式、…… なども導けるが、導出が簡単なうえに使用する場面はほとんどないため、覚える必要はほとんどない。

計算問題で sin7x や cos7x を含む数式を見ても「7倍角 ()の公式なんて知らない!無理!(>_<)」などと慌てる必要はない。倍角公式を使わない別の方法がきっとあるはずである。

半角公式[編集]

2倍角の公式より、 cos 2x を sin2 x , cos2 x , tan2 x のみで表すことができることから、 2x を x と置きなおして整理することにより以下の公式が得られる。

覚え方[編集]

sinとcosに関する2つの式については、以下の覚え方が有名である。

  • 咲いたコスモス コスモス咲いた
  • コスモスコスモス 咲かない咲かない

sinを「咲く」、cosを「コスモス」、符号が逆になる部分を「ない」で表現している。

これ以外にも覚え方はたくさんある。sinとcosを別の文字列に置き換えるものが多く、小林(cos)幸子(sin)や埼玉県(sin)越谷市(cos)が登場したり、死んだり(sin)殺したり(cos)、性的表現をふんだんに使用したりとバリエーションは尽きない模様[1]。あと、「しんこすこすしん、こすこすしんしん」という力技の覚え方もある。[2]

3倍角のsinについては、「3番三振、4番3三振」と覚えることも可能である。

証明[編集]

ここでは高校の教科書に載っている一般的な方法で証明を行う。まず余弦定理を用いて に関する式を証明し、三角関数の相互関係より他の式も導く。

単位円上の2点.png

単位円上に2点 をとる。2点間の距離の公式より、

三角形OABに余弦定理を用いると、

以上の2式を等号で結び、さらに整理すると以下の式が得られる。

ここで、 または であるが、 であるため、どちらの場合でも が成り立つ。よって、


(1)式と三角関数の関係式より、その他の加法定理の公式も導ける。(複号は同順とする)

複素数と絡めた解釈[編集]

高校数学の範囲外だが、オイラーの公式 を使うと、加法定理は容易に導き出せる。

より、実部と虚部を取れば導くことができる。

脚注[編集]

  1. これに限らず、数学は何かしらの覚え方をマスターしておくべきである。(私論)
  2. この場合、tanについても「いちひくたんたんたんたすたん」と覚えられる。

関連項目[編集]