伊東将志
伊東 将志(いとう まさし、1974年1月22日 - )尾鷲商工会議所職員。三重県尾鷲市生まれ。
略歴・人物[編集]
夢古道おわせ[編集]
三重県尾鷲市生まれ。高校卒業後は尾鷲商工会議所に入所。当初は中小企業の支援部門に属していた[1]。2004年に紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に登録されたことから、三重県は熊野古道センターというビジターセンターを整備することになった。地元ではこのセンターの隣に物販・飲食施設を作ることになり、伊東はこのプロジェクトを担当した。当時自治体出資の第三セクターはイメージが悪かったため、伊東は商工会議所主導で出資を集めることとし、2006年、株式会社熊野古道おわせを立ち上げた[2]。物販・飲食施設は2007年4月に「夢古道おわせ」の名称で開業、伊東は商工会議所から出向して立ち上げに携わった[3]。伊東は当初、平日50人、休日でも100人程度の客数を見込んでいた。しかし主婦グループがおふくろの味を提供するランチバイキングが好評で、昼時は60席が満席、来客数は平日でも100人を超える人気を博した[4]。
夢古道の湯[編集]
2008年4月に「夢古道おわせ」に温泉施設「夢古道の湯」を開業させた。尾鷲市が2006年4月に完成させた取水施設「アクアステーション」が供給する海洋深層水を活用するもので、この水を電気分解し、男湯・女湯にそれぞれ酸性湯の露天風呂とアルカリ性湯の露天風呂を備えるようにした[5]。伊東は開業前の2007年9月に新潟県長岡市の温浴施設で10日間住み込みで働き、施設運営のノウハウを学んだ[1]。こちらも評判はよく、5月には開業1カ月で入館者1万人を達成した[6]。そこへ尾鷲ひのきの間伐材の活用策はないかという相談が持ち込まれてきた。尾鷲ひのきの美しい年輪や強い芳香に注目した伊東は6月、尾鷲ひのきの丸太を夢古道の湯の湯船に浮かべる企画を行った[7]。話を聞いた他県の温泉施設からの要望を受け、この入浴木を販売したところ、9月には販売数が千本を突破した[8]。
2011年には人工乳房製造販売会社から「人工乳房をつけて温泉に入浴しても問題はないことを周知させたい」と相談を受けた伊東は、実際に問題ないことを検証する「おっぱいリレー」を共同で企画、ピンクリボン月間にあたる10月から検証を開始した。参加した温泉施設で実際に人工乳房を風呂に浸して前後の写真を撮影、人工乳房を次の施設に送付するもので、初回は95施設が参加した[9][10]。翌年のリレーでは温浴施設だけでなく旅館も参加した[11]。リレーはコロナ禍で一時中断していたものの、2023年にも行われている[12]。
その後[編集]
2014年伊東は会議所を退所、熊野古道おわせの支配人となった。そうした中で新型コロナが蔓延、どちらの施設も一時休業を余儀なくされた。再開後は除菌に努めていたが、アルコール臭を気にした伊東は尾鷲ヒノキの消臭剤「ヒノキス」を活用した独自の除菌剤に着手した[13]。2020年、除菌剤は「HINOKIsPLUS(ヒノキスプラス)」の名称で製品化された[14]。
- 1974年三重県尾鷲市に生まれる。
- 1992年尾鷲市立尾鷲高等学校卒業。
- 1992年尾鷲市商工会議所入所。経営指導員として中小企業の支援業務にあたる。
- 2007年株式会社熊野古道おわせに出向。
- 2008年夢古道おわせ・夢古道の湯 両店の店長。「世界遺産風呂」「100のありがとう風呂」などの企画を通じ尾鷲市を全国に発信。
- 2013年尾鷲市商工会議所課長補佐 兼 夢古道おわせアドバイザー。
脚注[編集]
- ↑ a b 鈴木龍司「おはよう 「夢古道の湯」責任者 伊東将志さん(34)」『中日新聞』2008年3月13日 朝刊牟婁版20面
- ↑ 「インタビュー百人百話 株式会社熊野古道おわせ支配人 伊東 将志さん」『熊本日日新聞』2020年5月9日 夕刊7面
- ↑ 野呂真聡「キラリ くまのびと 夢古道おわせ・夢古道の湯支配人 伊東将志さん(40)」『中日新聞』2014年9月25日 朝刊くろしお版16面
- ↑ 鈴木龍司「ニュース追跡 夢古道おわせ 人気の秘密 おふくろの味」『中日新聞』2007年6月9日 朝刊三重版24面
- ↑ 「海洋深層水使った温浴施設 夢古道おわせに登場 来月11日オープン」『読売新聞』2008年3月15日 中部朝刊26面
- ↑ 「尾鷲の温浴施設 『夢古道の湯』 開館1カ月で1万人」『中日新聞』2008年3月13日 朝刊牟婁版20面
- ↑ 「尾鷲ひのきの入浴木」『三重県地域資源活用商品カタログ 三重の風土が育てた品々 みえづくし』三重県雇用経済部地域資源活用課、69ページ。
- ↑ 「入浴木の出荷 1000本突破 尾鷲ヒノキが大好評 『夢古道の湯』が販売」『中日新聞』2008年9月9日 朝刊くろしお版16面
- ↑ 小若理恵「人工乳房、温泉巡り 乳がん月間、メーカーなど企画 変化検証、入浴可PR」『朝日新聞』2011年10月1日 名古屋夕刊1面
- ↑ 「地域を支える(669)夢古道の湯・池山メディカルジャパン(温浴施設・尾鷲市、株式会社・名古屋市) 温浴施設に人工乳房の啓発活動」『厚生福祉』2011年12月20日、時事通信社、11ページ
- ↑ 宮崎正嗣「温泉に浸しても人工乳房OK? 「おっぱいリレー」全国38施設巡り確認へ 尾鷲の夢古道の湯など参加」『中日新聞』2012年9月14日 朝刊三重総合版21面
- ↑ 「人工乳房 気にせず温泉 浸して安全確認 実験リレー 花巻の5施設」『読売新聞』2023年10月5日 朝刊岩手版25面
- ↑ 未来をひらく コロナの先へ 7 「熊野古道おわせ」支配人・伊東将志さん
- ↑ 「尾鷲ヒノキで掃除用除菌水 温浴施設が発売」『読売新聞』2020年11月19日 中部朝刊25面