五字熟語

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五字熟語(ごじじゅくご)とは、日本語において漢字5文字で表記される語句である。

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そもそも熟語とは[編集]

日本語では複数の漢字が結合した語彙の中に熟語というカテゴリーが存在する。その定義は必ずしも一定でないが、おおむねことわざの一種として用いられる語と、単なる複合語として用いられる語の2種類に大別することができる。前者は漢籍(中国の古典)にちなむ語が多く二字熟語を例にとると、「杞憂」(出典:『列子』)や「矛盾」(出典:『韓非子』)などが挙げられ、故事成語などと総称される。こちらを便宜上「真の熟語」や「狭義の熟語」などと称することもある。後者は、「牛肉」(「牛」+「肉」)、「新人」(「新」+「人」)のように複数の漢字の複合によって構成される語であり無数に存在する。

2字以下の熟語の場合、漢籍に出典があるにもかかわらず、ことわざとしての意味が薄れた「学習」(出典:『論語』)、「完璧」(出典:『史記』)のような前者と後者との中間的な語も多くみられるが、3字以上の熟語の場合は、そもそも漢籍に由来する語に限りがあるため、「ことわざとしての意味の有無」が強く意識される。

この意識は四字熟語において顕著である。例えば漢字検定では、「厚顔無恥」(出典:『文選』)や「馬耳東風」(出典:『答王十二寒夜独酌有懐』)のように典拠のある慣用句のみを四字熟語と定義し、「臨時列車」や「学習意欲」のような一般の語を「4字の熟語」と区別している。

このような意識が生まれる理由は、先に挙げた「新人」を例にとれば、「新人賞」、「新人王」、「新人監督」、「新人職員」……などと無数に複合語を作ることができ、あえて熟語というカテゴライズする必要がないからである。実際、「焼却炉」、「虚無感」といった使用頻度の高い語ですら、単なる複合語であるため国語辞典に収録されていないことが多い。

五字熟語の例[編集]

単に漢字5文字から構成される語であれば「火災報知器」、「自動販売機」、「定期乗車券」、「裁判員制度」、「開発途上国」、「身元保証人」……などと数限りなく挙げることができる。このような語の中で国語辞典に収録されているものはごく一部にすぎず、研究もあまり進んでいない。

一方、漢籍に典拠を持つ、真の意味での五字熟語は、「温良恭倹譲」(出典:『論語』)、「杯酒釈兵権」(出典:『太祖実録』)など使用頻度が高いとは言えない語がわずかに挙げられるに過ぎない。

本当に真の五字熟語は少ないのか[編集]

実は五字の故事成語の数自体は別に少ないわけではない。例えば「苛政猛于虎」(出典:『礼記』)、「日近長安遠」(出典:『晋書』)、「更上一層樓」(出典:『登鸛雀樓』)、「疾風知勁草」(出典:『後漢書』)などは現代の日本でもよく引用される。ただし通常これらは、それぞれ「苛政は虎よりも猛し」、「日近くして長安遠し」、「更に上る一層の楼」、「疾風に勁草を知る」と訓読された形で目にすることが多く、五字熟語とは認識されにくいのである。

読書」、「可憐」のような短い熟語ならば、わざわざ「書を読む」、「憐れむべし」と訓読せずとも意味を把握することができるが、文字が増えるにつれ訓読しないと日本語として理解することが困難になるからである。4字以下の故事成語でも「不得已」(出典:『論語』)、「灯火可親」(出典:『韓愈』)、「先従隗始」(出典:『戦国策』)などは、それぞれ「やむをえず」、「灯火親しむべし」、「まず隗より始めよ」と訓読されるのが一般的であり熟語と認識されることは少ない

参考文献[編集]

  • 加納喜光 『辞書が教えない三字熟語』 講談社、1999年2月。ISBN 978-4062640947
  • 高島俊男 『ちょっとヘンだぞ四字熟語 お言葉ですが… 10』 文藝春秋、2009年3月。ISBN 978-4-16-759811-2