事件番号
事件番号(じけんばんごう)は各裁判所が受け付けた事件の種類を識別するために事件に一意に付与する符号である。
概要[編集]
裁判所の事件は、「裁判所名(裁判所名+支部名)、元号、事件記録符号、受付番号」の「事件番号」により特定される。
具体例で説明する。 東京地方裁判所の令和元年の通常民事事件(事件記録符号はワ)で、1234番目のとき、「東京地方裁判所 令和元年(ワ)第1234号」となる。元号はその事件を受け付けた年の元号とする。大阪家庭裁判所堺支部での平成30年の家事調停通常事件は、「大阪家庭裁判所堺支部 平成30年(家イ)第2345号」となる。
知的財産高等裁判所が平成31年に受け付けた777番目の控訴事件は「知的財産高等裁判所 平成31年(ネ)第777号」となる。 行政事件は、民事事件に準じて「行」「カタカナ」が「いろは」順につく。家事事件は「家」「カタカナ」(家事事件)、「少」「カタカナ」(少年事件)が、「いろは」順につく。同じ事件番号の事件は存在しない。
事件記録符号[編集]
事件記録符号は、民事と刑事、裁判所、事件の種類により符号化される。
民事訴訟事件[編集]
民事事件記録符号規程により付される[1]
- 簡易裁判所
- イ 和解事件
- ロ 督促事件
- ハ 通常訴訟事件
- 手ハ 手形訴訟事件及び小切手訴訟事件
- ハツ 飛躍上告受理事件
- ニ 再審事件
- へ 公示催告事件
- ト 保全命令事件
- 借 借地非訟事件
- ノ 民事一般調停事件
- ユ 宅地建物調停事件
- メ 商事調停事件
- 交 交通調停事件
- 公 公害等調停事件
- ア 過料事件
- キ 共助事件
- サ 民事雑事件
- 地方裁判所
- ワ 通常訴訟事件
- 手ワ 手形訴訟事件及び小切手訴訟事件
- フオ 飛躍上告受理事件
- カ 再審事件
- ヨ 保全命令事件
- タ 人事訴訟事件
- レ 控訴事件
- レツ 上告受理事件
- ソ 抗告事件
- ソラ 抗告受理事件
- チ 民事非訟事件
- ヒ 商事非訟事件
- 借チ 借地非訟事件
- シ 罹災都市借地借家臨時処理事件及び接収不動産に関する借地借家臨時処理事件
- セ 農事調停事件
- ス 鉱害調停事件
- リ 事情届に基づいて執行裁判所が実施する配当等手続事件
- ヌ 不動産、船舶、航空機、自動車及び建設機械に対する強制執行事件
- ル 債権及びその他の財産権に対する強制執行事件
- ケ 不動産、船舶、航空機、自動車及び建設機械を目的とする担保権の実行としての競売等事件
- ナ 債権及びその他の財産権を目的とする担保権の実行及び行使事件
- ヲ 執行雑事件
- 企 企業担保権実行事件
- フ 破産事件
- コ 和議事件
- ミ 会社更生事件
- 船 船舶所有者等責任制限事件
- 油 油濁損害賠償責任制限事件
- ホ 過料事件
- エ 共助事件
- モ 民事雑事件
- 人 人身保護事件
- 人モ 人身保護雑事件
- 高等裁判所
- ネ 控訴事件
- ネオ 上告受理事件
- ラ 抗告事件
- ラク 抗告受理事件
- ム 再審事件
- ツ 上告事件
- ツチ 特別上告受理事件
- ウ 民事雑事件
- 人ナ 人身保護事件
- 人ウ 人身保護雑事件
- 最高裁判所
- オ 上告事件
- テ 特別上告事件
- ク 抗告事件
- ヤ 再審事件
- マ 民事雑事件
刑事訴訟事件[編集]
刑事事件記録符号規程により付される[2]
- 簡易裁判所
- い 略式事件
- ろ 公判請求事件
- は 証人尋問請求事件
- に 証拠保全請求事件
- ほ 再審請求事件
- へ 共助事件
- と 刑事補償請求事件
- ち 訴訟費用免除申立事件
- り 交通事件即決裁判手続請求事件
- ぬ 費用補償請求事件
- る 雑事件
- 地方裁判所
- わ 公判請求事件
- か 証人尋間請求事件
- よ 証拠保全請求事件
- た 再審請求事件
- れ 共助事件
- そ 刑事補償請求事件
- つ 起訴強制事件
- ね 訴訟費用免除申立事件
- な 費用補償請求事件
- む 雑事件
- 高等裁判所
- う 控訴事件
- の 第一審事件
- お 再審請求事件
- く 抗告事件
- や 費用補償請求事件
- ま 刑事補償請求事件
- け 決定に対する異議申立事件
- ふ 訴訟費用免除申立事件
- て 雑事件
- 最高裁判所
- あ 上告事件
- さ 非常上告事件
- き 再審請求事件
- ゆ 上告受理申立事件
- め 移送許可申立事件
- み 判決訂正申立事件
- し 特別抗告事件
- ひ 費用補償請求事件
- も 刑事補償請求事件
- せ 訴訟費用免除申立事件
- す 雑事件
行政事件[編集]
行政事件記録符号規程による[3]
- 簡易裁判所
- 行ア 共助事件
- 行イ 雑事件
- 地方裁判所
- 行ウ 訴訟事件
- 行エ 飛躍上告受理事件及び上告受理事件
- 行オ 再審事件
- 行カ 抗告受理事件
- 行キ 共助事件
- 行ク 雑事件
- 高等裁判所
- 行ケ 訴訟事件(第一審)
- 行コ 控訴事件
- 行サ 上告受理事件
- 行シ 特別上告受理事件
- 行ス 抗告事件
- 行セ 抗告受理事件
- 行ソ 再審事件
- 行タ 雑事件
- 最高裁判所
- 行チ 訴訟事件 第一審
- 行ツ 上告事件
- 行テ 特別上告事件
- 行ト 抗告事件
- 行ナ 再審事件
- 行ニ 雑事件
家庭事件[編集]
家庭事件記録符号規程による[4]
- 家庭裁判所
- 家 家事審判事件
- 家イ 家事調停事件
- 家ハ 家事共助事件
- 家ロ 家事雑事件
- 少 少年保護事件
- 少ハ 準少年保護事件
- 少イ 成人刑事事件
- 少ニ 少年審判等共助事件
- 小ロ 少年審判雑事件
- 少ホ 成人刑事雑事件
開示請求[編集]
「東京地方裁判所平成○○年(○○)第○○号事件の口頭弁論について報告した文書」について、その存否を明らかにしないで開示請求を拒否した事例がある。
開示請求者の主張は、事件番号は裁判所において訴訟事件の特定、識別のために事件ごとに付される番号であるから、これ自体に訴訟当事者の情報は何ら存在しない。特定の事件番号自体が訴訟当事者の個人識別情報に当たるとは考えられないことを理由とした。
訴訟記録には、一般的に、その事案により職歴など経歴に関する情報、疾病、障害など心身に関する情報、資産、収入など財産状況に関する情報、思想、信条等に関する情報、家庭状況、社会的活動状況等個人の活動に関する情報等「個人に関する情報」が記載されており、これらの情報は、当事者や関係者の氏名、住所、生年月日その他の記述等により特定の個人として識別することができ、又は識別される可能性があることから、「特定の個人を識別することができるもの」に該当すると解されるとした。裁判所の事件番号は、それ自体から直ちに個人を識別することができるものではないものの、特定の裁判所名とともに事件番号を開示することにより、訴訟記録に記載されている特定の個人を識別することができることとなることから、条例7条2号本文に該当すると判断した[5]。本件開示請求において、対象公文書の存否を応答することは、条例 10 条が規定する「非開示情報を開示したこととなるとき」に該当するから、同条に基づき存否応答拒否としたものである。[6]
リファレンス[編集]
- ↑ 昭二二最高裁判所規程八、昭二三・一・一施行、平二最高裁判所規程一、平三・一・一施行により一部改正
- ↑ 昭二四最高裁判所規程二六、昭二五・一・一施行
- ↑ 昭三八最高裁判所規程三、昭三九・一・一施行
- ↑ 昭二六最高裁判所規程八、昭二六・一〇・一施行
- ↑ 諮問第1058号答申東京都情報公開審査会
- ↑ 「東京地方裁判所平成○○年(○○)第○○号事件の口頭弁論について報告した文書」の非開示決定(存否応答拒否)に対する審査請求(諮問第1058号)東京都