中国臣下の特別三権
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中国臣下の特別三権(ちゅうごくしんかのとくべつさんけん)とは、中国の皇帝が功臣や時の権力者に自発的に与えたり、あるいは迫られて与えられたりした特権である。この特権を与えられた臣下は皇帝から特別待遇を与えられたとして権威が上昇し、臣下の中でも最高実力者と見られるようになる。
概要[編集]
- 入朝不趨(にゅうちょうふすう) - 中国の臣下は朝廷に参内する際、小走りに走る必要がある。臣下はあくまで「皇帝の召使」であるためで、大きな顔で悠々と歩いてはならない。これを「趨」という。つまり不趨とは小走りに走る必要は無く、朝廷に参内しても殿中をゆっくり闊歩できる権利ということである。
- 剣履上殿(けんりじょうでん) - 臣下が朝廷に参内して殿中に上がる際、靴を脱いで剣を外す必要がある。しかし、この特権を与えられた臣下は殿中を土足のまま、剣を帯びて殿中に上がることができる権利を有した。
- 謁賛不名(えっせんふめい) - 朝廷に参内する際、呼び出し役の宦官は皇帝に対して謁見する臣下の姓名を「呼び捨て」にする形で大声で叫ぶのが通例である。しかしこの特権が与えられた臣下は敬称で叫ばれるようになる。例えばこの権利を与えられた前漢の大功臣だった蕭何は「相国閣下!」と敬称で呼ばれた。
この三権を与えられた第1号は、前漢の初代皇帝・劉邦(高祖)が臣下の蕭何に与えたものだという。その後、中国の歴史の中では功臣、そして時の権力者に与えられるのが通例となった。ただ、この権利を与えることは臣下の権威を大いに高めることにつながり、後年に中国の王朝が実力者に簒奪されるようになると、そのステップにおける段階の1つとしての手続きのようなものとなった。著名人物では蕭何のほかに、梁冀や董卓などがこの権利を与えられている。