不服従のフランス
不服従のフランス(ふふくじゅうのフランス、フランス語:La France insoumise、略称:LFI、LI)は、フランスの民主社会主義政党。「屈しないフランス」[1]「服従しないフランス」[2]「不屈のフランス」[3][4]とも。
概要[編集]
ギリシャの急進左派連合やスペインのポデモスと並ぶ代表的な左派ポピュリズム政党。エコ社会主義、民主社会主義、反グローバリズムを掲げる。指導者のジャン=リュック・メランションはポスト・マルクス主義の理論家シャンタル・ムフの影響を強く受けている[5]。反グローバリズム政党で右派ポピュリズム政党の国民連合(RN。旧国民戦線)とともに支持を拡大させているが、LFIは若年層かつ高学歴、所得が低い層の支持、RNは高齢者層、中間層よりも所得が低い層の支持を集め、両党の支持層はほとんど重なっていない[1]。
欧州左翼党のオブザーバー政党。欧州議会の政党グループ(会派)としては欧州議会左翼グループに所属している。
2022年11月に日本共産党の緒方靖夫副委員長と、LFIのメランション代表が会談を行い、両党の関係を確立することで合意した。メランションは「われわれは、マルクス主義の立場ではないが、自主独立と非同盟で一致がある」と発言した[2]。
歴史[編集]
2016年2月10日、翌年の大統領選挙と国民議会選挙に向けて、欧州議会議員で左翼党元共同党首のジャン=リュック・メランションが新たな運動として「不服従のフランス」(LFI)を立ち上げた。2017年1月23日に選挙のため法的に政党化したが、運動であるため他の政党の党員もLFIに参加することができる。メランションが所属する左翼党やアンサンブル!の党員がLFIに参加し、フランス共産党などがLFIの運動・選挙を支援している。
2017年の大統領選挙でメランションはエマニュエル・マクロン、マリーヌ・ルペン、フランソワ・フィヨンに次ぐ4位となった。2017年の国民議会選挙では17議席を獲得した。その内の8名は左翼党所属。
2019年の欧州議会選挙ではデンマークの赤緑連合、スペインのポデモス、フィンランドの左翼同盟、ポルトガルの左翼ブロック、スウェーデンの左翼党と政党連合「Now the People」を構築し、Now the Peopleは17議席を獲得、LFIはその内の5議席を獲得した。
2022年の大統領選挙でメランションはマクロン、ルペンに次ぐ3位となった。2022年の国民議会選挙では社会党、共産党、ヨーロッパ・エコロジー=緑の党、アンサンブル!、ジェネラスィヨンスなどと政党連合「新人民連合環境・社会」(NUPES)を構築し、NUPESは151議席を獲得、LFIはその内の75議席を獲得した。その内の21名は左翼党所属。
出典[編集]
- ↑ a b 吉田徹「第1章 フランス(PDF)」、谷口将紀、水島治郎編著『経済・社会文化・グローバリゼーション――2020年の各国政党政治』NIRA総合研究開発機構、2021年
- ↑ a b 日本共産党と左翼第1党「服従しないフランス」が会談 しんぶん赤旗、2022年11月10日
- ↑ フランスの極右ルペン政党、与党に賛成で高まる存在感 左派は「反対野党」イメージ定着で足並み揃わず 東京新聞、2022年8月11日
- ↑ パリで反ユダヤ主義に抗議する大規模デモ 仏政界の極右と極左に大きな変化 BBCニュース、2023年11月13日
- ↑ いま「左派のポピュリズム」に注目すべき理由 GLOBE+、2019年3月28日