三審制
三審制(さんしんせい)とは第一審,第二審,第三審の三つの審級の裁判所を定めていることである。基本的人権を守るために、慎重で公正な判断をするための制度である。
三審制の理由[編集]
刑事事件では、冤罪の場合もあるので、より慎重な裁判が求められる。別々の裁判官で3回審理することにより、ミスの確率を減らすことである。
三審制の手続[編集]
第一審の裁判所の判決に不服のある当事者は、第二審の裁判所に控訴をすることができる[注 1]。第二審の裁判所の判決にも不服のある当事者は、更に第三審の裁判所に不服申立て(上告)をすることができる。その当該事件に関しては、上級裁判所の判断が下級裁判所の判断より優先した結論となり、下級裁判所を拘束する。簡易裁判所で第一審を行った場合は、控訴審は地方裁判所で行われ、家庭裁判所・地方裁判所で第一審を行った場合や行政機関の審決取消訴訟は高等裁判所が第二審裁判所になる。
戦前の日本は次のシステムであった。三審制の基礎はフランスの制度の影響を受けている。
- 大審院-控訴院(当初は控訴裁判所)-地方裁判所[注 2]-区裁判所 ※ドイツ系の名称となっている。
最高裁判所の違憲立法審査権、家庭裁判所の設置はアメリカの影響である。
最高裁の上告[編集]
しかし、最高裁判所への上告審は法律問題に関する審理(法律審)を行い、上告審の裁判所は。原則として原判決で認定された事実に拘束される。上告審の裁判所が最高裁判所である場合は、原判決に、
- 1.憲法解釈の誤りがあること
- 2.法律に定められた重大な訴訟手続の違反事由があること
- 3.最高裁の判例とは異なる判断が下されたこと
のみが上告の理由にできる。事実認定の誤りや事実の評価は理由にできず、高裁への差戻審がないかぎり事実認定の是非を争えない。
実態[編集]
日本では、事実上三審制になっておらず、実質1.3審制だと言われる。何故なら、控訴・上告しても、原判決に誤りが無いとして、控訴・上告が棄却されるケースの方が多数だからである。控訴は、7割が棄却されると言われている。上告に至っては、憲法解釈に誤りがある場合など極めて限られた条件でしか受理されず、ほぼ全てが棄却され、第三審が行われるケースは極めて少数となっている。
海外[編集]
- 米国:連邦の裁判組織は基本的に三審制となっている[1]。
- ドイツ:日本と同じく基本的には三審制[2]で終審裁判所であるドイツ連邦裁判所は日本と同じく法律審のみを行う。
- フランス:行政裁判以外は破毀院を頂点とする三審制。行政裁判は国務院が頂点である。
脚注[編集]
- 注
- 出典、参考文献