フォーミュラ1
フォーミュラ1とは、モータースポーツのカテゴリの一つであり、このカテゴリで使用される車両を指す言葉でもある。F1(エフワン)とも呼ばれ、このカテゴリで行われるF1世界選手権を指すことも多い。F1はモータースポーツの最高峰といわれており、エアレースを空のF1と比喩される例がある。[注 1]。
概要[編集]
世界各国を転戦し、その年の王者を競う世界選手権である。年間成績でチームとレーサーそれぞれのチャンピオンを決める。ドライバーのテクニックだけで勝敗が決することは少なく、チームの車両開発力、メカニックの技術など、チーム全体の総合力が肝要になるレースである。特にピット作業などは注目されることも多く、ピットインからホイールの脱着、ピットアウトまで2秒という記録もある。
日本におけるF1[編集]
日本ではバブル期に人気が高まり、好景気も相まって日本の各企業がF1のスポンサーになるなど、熱狂的なブームとなっていた。日本人のF1ドライバーである中嶋悟の参戦や伝説的な人気を誇ったアイルトン・セナやホンダがエンジンを供給していたウィリアムズのドライバーであったナイジェル・マンセル[注 2]などの活躍もあり、ブーム絶頂の1991年の日本GPの視聴率は20%を超えたという。また、他国で開催される中継は深夜帯になることも多かったものの、10%程度の視聴率を維持していたという。フジテレビのF1グランプリ中継T-SQUAREのTRUTHをテーマ曲とし、当時は珍しかった3Dモデルを駆使したOPは後年でも評価の高いものである。しかし、1992年以降はブームも下火になり、1994年のサンマリノグランプリにおけるアイルトン・セナの事故死やバブル経済の崩壊も相まってブームは鎮火した。一方でフジテレビも細々ではあるがF1中継を続けていたこと、2006年から始まっていた日本GPの来場者減少が2018年には好転するなど、F1人気が完全に失われたわけではない。
車両[編集]
フォーミュラカーは車輪とドライバーが露出しているという規格[注 3]で、それに則り製作されたレーシングカーである。フォーミュラカーはフォーミュラ1(F1)からフォーミュラ4(F4)、フォーミュラEやインディカー、SUPERフォーミュラなどが存在している。その中でもF1カーは他のフォーミュラカーと異なり、チームがレギュレーションに沿ったマシンを独自に製作することが挙げられる。パーツやシステム単位では同一のパーツが供給される場合やエンジンの供給を受ける場合があるものの、チームごとに組み合わせ方やセッティングが異なるため別物のマシンと考えて差し支えない。そのため、シーズン途中でとあるチームが別のチームに対し、「あのパーツはレギュレーション違反だ」と訴えることは珍しくない。
レギュレーションは幾度となく更新されており、時代ごとに特徴のあるマシンが生まれる要因ともなっている。今でこそ当たり前の大きなウイングは当初のF1にはなく、ウイング付きのマシンがF1に参戦したのは1968年からである。このウイングの登場によりダウンフォースの重要性を再認識したメーカーはこぞって大きなダウンフォースを得ようとし、地面効果を最大限に生かそうとするグラウンド・エフェクト・カーと呼ばれるマシンの開発につながった。この変化はウイングの有無だけでなく車体形状にも大きな影響を及ぼし、かつては葉巻のような形状で、前方投影面積を減らすことを目的とした設計が行われていたのに対し、ボディ全体でダウンフォースを得ようという車体形状への変化にもつながっている。
エンジンの出力も乗用車用エンジンの比ではなく、1980年代に使用されていたエンジンには1.5Lの排気量とターボによる加給で1,500馬力を発揮するエンジンも存在していた。排気量だけで見ればコンパクトカー用のエンジンであるにもかかわらず、極端な高出力エンジンとなっていた。1989年からはターボが禁止され、高出力化には歯止めがかけられた。独特の甲高い音はショートストロークな多気筒のエンジンで、かなりの高回転まで回るエンジンだからこそ発揮できる音である。そのため、現在のように気筒数を減らされている状態[注 4]ではかつての爆音を聴くことは難しくなっている。
競技中、トラブルなどが原因でレーサーがステアリングを地面にたたきつけたり拳で叩く光景が見られるが、現代のステアリングは様々な機能を集約しており、2020年ころのステアリングで約600万円ほどすると見積もられている[注 5]。