チューニング (自動車)

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チューニング(tuning)とは、市販車に対して行われる改造行為の類型の一つである。チューニングを施された車を指してチューニングカーチューンドカーという。

概要[編集]

市販車の出力アップなど、走行性能を向上させる目的で行われることを目的として行われる改造のことを指す。一方でスタイルを重視して行われる改造はドレスアップなどと呼ばれ、区別されるのが一般的である。空力の追究により装着されるエアロパーツをドレスアップ目的で装着する場合もあり、同じパーツの装着でも目的によって呼び方が変化することに注意が必要である。 なお、自動車の改造をチューニングと呼ぶのは日本国内のみであり、英語圏では「モディファイ」などが一般的。

チューニングする人物を指して「チューナー」といい、チューニングを施工するショップはチューニングショップと呼ぶ。

初めからサーキット走行を前提として製作される車両はレーシングカーといわれ、チューンドカーと区別される。また、ラリー競技に参加するために改造された車はラリーカーと呼ばれ、こちらも同様に区別される。

セッティング[編集]

チューニングとセッティングの明確な定義はなく、それなりの「雰囲気」で使い分けられているところもある。一般的な傾向としては、パーツの設置や取り外し、パーツ単位での調整を「セッティング」、ほかのパーツとの組み合わせによる調整や車両全体の調整などを「チューニング」とすることが多い。また、セッティングを「過程」、チューニングを「結果」とすることもある。

規制緩和[編集]

かつてはサスペンションの交換などは構造等変更検査などを受ける必要があり、無申請の交換は車検不適合とされ摘発されるケースもあった。それが1995年の日米包括経済協議の影響で事実上の規制緩和となり、様々なチューニングが合法となった。なお、ドアミラーやリアフォグもかつては違法改造とみなされていたものである。一方で触媒無しマフラーや爆音マフラーなどは当然過去も現在も違法改造となっている。

チューニングの種類[編集]

チューニングの内容やジャンルにより、「○○チューン」という呼び名がつけられることがある。以下に主なチューニングを示す。

ジャンルによるもの
ストリートチューン
などのワインディング向けのチューニング。ドリフト目的のチューニングに似通る場合もある。
最高速チューン
谷田部高速周回路[注 1]などで最高速を記録するためのチューニング。エンジン本体の改造からボディメイクまで莫大な費用が掛かる。
チューニングの内容によるもの
ライトチューン
吸排気系パーツの交換、エアクリーナーマフラーなどの交換、より良いドライビングポジションのためのシートやステアリングの交換など、快適性を犠牲にせず車検も通過できるようなチューニングがメイン。
ROM(ロム)チューン
かつて主流であったチューニングであり、ECU[注 2]内部のROMチップを書き換えることでエンジン特性のセッティングを行っていた。リミッターカットも含まれることがある。現在ではECU書き換えやサブコン増設・フルコン交換などが行われている。
メカチューン
エンジンの出力向上としてターボチャージャーを使用せず、ポート加工やフリクションロスの低減加工、可変バルブ機構のキャンセルなどの手法でパワーを絞り出す手法。
ターボチューン
既存のタービンの置き換えやNAにターボチャージャーやスーパーチャージャーを新設(ボルトオンターボ)するなど、ターボチャージャーを装着するチューニングのこと。費用対効果は大きいものの、過給圧のかけすぎによるエンジンブローの危険性もある。なお、フルチューンとして極限まで出力を発揮しようとした場合は上記のメカチューンと同じようなエンジン加工と併せて行う場合がある。
純正でターボチャージャーが装着されている場合はブーストコントローラーを追加してブースト圧を上昇させることも行われており、かつてのスカイラインGT-Rはブーストアップだけで500馬力まで到達するとの噂があった[注 3]
フルチューン
ハードチューンとも呼ばれ、エンジンや補機類、ECUのセッティングや足回りのパーツの交換調整、余分な座席(リアシートや内張など)の除去、空力を意識したボディパーツや剛性確保のための補強などを行う。
ビンボーチューン
資金不足による苦肉の策とされるチューニングの類型。ボンネットを固定するボルトを長くし、ワッシャーを何枚か挟んでボンネットを浮かしたり(冷却効率向上を期待されていた)、ツーリングカーのようにワイパーを一本だけにするなどの工夫が見られていた。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 既に閉鎖されており、現在は城里テストセンターが代替となっている
  2. ここでいうECUはエンジンコントロールユニットとしてのECUであり、正式名称はECMが正しい。一方でエレクトリカルコントロールユニットもECUであり、本来ECUといえばこちらである。しかし、慣例的にECMを指してECUと呼ばれているため、本稿でも同様に記載する。
  3. R32~R34においては実際のところ400馬力が安全圏であったとされている。ブロー覚悟の一発勝負であれば500馬力もありえたとされているが、そこまでするならECUのリセッティングを含めたトータルバランスで600馬力以上を狙ったほうがお得である