ゲノム

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ゲノム: Genome)は、時代とともに意味が変遷し、現在も過渡期にある用語である。 現在、生命科学の主流である分子生物学および分子遺伝学の分野における操作的定義(operational definition)では、個体形成維持に必要な設計図となりうる遺伝情報を含む遺伝物質を指し、その担体はDNA(一部のウイルスのみRNA)とされる。

遺伝情報は遺伝多様性の基盤を包含し、これを研究する学問を遺伝学と呼ぶ。遺伝情報にはいわゆる遺伝子とそれ以外の機能部分、および無機能とされる部分が含まれるが、遺伝情報の発現過程が完全に解明されていないため、DNA上でこの3者の区分は必ずしも明確ではなく、とりあえず遺伝するもの一式がゲノムである。

「曖昧な定義」という先天的な問題[編集]

Wikipedia(英語版)では、ゲノム=DNA と定義されるが正しくない。DNAはデオキシリボ核酸を単量体とする重合体化合物であり、ゲノム構成成分となりうるものの、全てのDNAがゲノムという訳ではないからである。いいかえると、DNAのほんの一部(1%にも遠く及ばない)がゲノムになりうるのであって、その種類のほとんどは生物学的意味をもちえない化合物に過ぎない。

様々な証拠から、生命誕生からしばらく(おそらく数億年)の間、ゲノムはDNAでなくRNAで構成されていたと考えられており、この概念はRNAワールド仮説として体系的にまとめられ、広く受け入れられている。ウイルスの一部がRNAゲノムをもつのも、RNAワールドの名残と考えられている。

当初ゲノムは生命活動に必要な染色体一式の単位というゆるい定義で、著名な遺伝学者の木原均もこれを元に精力的なゲノム解析を行い、功績をのこしている。しかし時代が下るにつれ、生物の種類によって染色体の形態が多様なことが明らかになり、また技術進歩にあわせて意味の拡張を行った結果、現在の技術で扱いやすい操作的定義が提示されることとなっている。このため、現在の定義は以下の節に述べる謎を含むこととなった。

ゲノムの謎[編集]

ゲノム: Genome)は、現代の分子生物学および分子遺伝学において生物の遺伝物質とされ、DNA (RNAウイルスの場合はRNA)からできている。ゲノムは遺伝子とそれ以外の部分を含む(Wikipeia英語版(2016-03-17T09:53:40 (UTC))の冒頭を口語訳)。

ここで、DNAは遺伝物質であり、遺伝子はDNAの一部分とされているので、上の定義は次のように解釈できる。

ゲノムはDNAであり、DNAでできており、DNAの一部分とそうでない部分から成る。

専門家の考えることは不可解だ。

一方DNAの説明(超訳)はこうなっている。

知られている全ての生物と多くのウイルスにおいて、デオキシリボ核酸(DNA)は、個体発生、遺伝子機能、生殖に使われる遺伝学的手順(情報)の大半を載せた分子である。

このDNAをゲノムに変え、遺伝学的(genetic)が遺伝(heredity)と多様性(variation)の両方の意味を含むことを考慮して、ちょこっと書き換えると、

ゲノムは、個体発生、遺伝子機能、生殖に関する遺伝と多様性を司る、情報(設計図)である。

この定義じゃダメなのか。専門家の考えることは不可解だ。

遺伝について[編集]

親が受けたストレスの影響は子供に遺伝するようで、特に2世代以上に及んで受けたストレスは、ストレスの原因が取り除かれた後も何世代にも渡って遺伝する可能性がある模様[1]

脚注[編集]

  1. 親が受けたストレスの影響が子供に遺伝するメカニズムが解明される”. Gigazine (2011年6月24日). 2020年11月1日確認。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]