クラッチスタートシステム
クラッチスタートシステムとは、マニュアルトランスミッション搭載の自動車において、クラッチペダルを踏まないとエンジンを始動することができないという安全装置の一種である。なお、オートバイにおいても同様のシステムがあり、クラッチレバーを握りこまないとエンジンの始動ができないようになっている。
概要[編集]
クラッチスタートシステムはキーシリンダーのイグニッションスイッチ(もしくはプッシュスタートスイッチ)とセルモーターの間に機械式のスイッチを割り込ませ、クラッチを踏むことでその回路が構成されセルモーターに通電されるような仕組みになっている。
本来MT車はギアがニュートラル位置にあることとサイドブレーキが引かれていることを確認した後にエンジンを始動するものである。一方、当時のオートマチックトランスミッション車はPかNレンジでなければエンジンがかからなかったため、窓から手だけ入れてキーを回すなんてこともよくあったものである(夏場などはよく見られる光景であった)。しかし、これをMT車で行った場合、入っているギアによっては車が飛び出すこともあり、事故につながりかねない行為であったため、それを抑制するためのものである。
また、現在のリモコン式エンジンスターターはAT車(CVT車含む)のみとなっているが、かつてはMT車向けの物もあった。万が一ギアが入ったままエンジンスターターにより遠隔で始動させた場合、車が飛び出してほかの車や人に衝突する危険性もあり大変危険であった。
キャンセル[編集]
クラッチスタートシステムは誤発進防止に有効であるものの、かつてMT車の最終手段と呼ばれたセルモーターによる脱出が出来なくなるほか、プッシュスタート式の自動車においてはブレーキペダルとクラッチペダルの両方を踏まないとエンジンが始動しない車種もある。また、クランクシャフトを支えているスラストベアリングが傷みやすくなるという構造上の問題も抱えており、クラッチを切ることでクランクシャフトに不必要な力が加わったままセルモーターによりクランクシャフトが回されるためであるとされている。
このような都合からクラッチスタートシステムをキャンセルするオーナーもおり、中には隠しスイッチにすることでエンジンの始動をできないようにするという簡易的な防犯システムとして転用する例もみられた。
なお、クラッチスタートシステムをキャンセルしたとしても車検上問題はない(2023年現在)。一方でクラッチのON-OFFを監視(ECU)しているという「噂」もある。その場合は自動戻り式のスイッチを使用するか始動後にOFFにすれば実用上問題はない。