鎌倉殿の身代わり娘

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『鎌倉殿の身代わり娘』は、久保田すこしによる小説作品。2021年2月28日から同年4月7日までウェブサイトカクヨム上に掲載されたオンライン小説。 

概要[編集]

鎌倉にある、旧家の執事を名乗る謎の女に拉致されて、屋敷の当主であるお嬢様の身代わりになれ、と言われたアラサー女性の、悪戦苦闘の日々。新しい出会いを通じて、再び夢に歩みだすまでの、再起の物語り。

あらすじ[編集]

駅前広場でナンパしてきた男に、食事をおごらせて逃げようとした北条祥子は、月ヶ谷家の執事を名乗る宇都宮美夜から、源頼朝の子孫である主人、 月ヶ谷鞠華の身代わりになって、「見合いをしろ」と命じられる。つらい修行と、鞠華になりすましてのデートやパーティー。ついには、鞠華を狙う謎の影まであらわれる。彼女は、最後まで無事に、身代わりを演じることができるのか。

登場人物[編集]

北条 祥子 (ほうじょう しょうこ)
駅前商店街のコンビニで、バイトをする主人公のアラサー(三十一歳)の独身女性。体が目的でナンパしてきた男に食事をおごらせ、食べ終わったら姿を消す行為をくり返していた。社会的に地位があり、チャラくて不誠実そうな男に対しては、罪悪感が少なくてすむのが理由。同僚たちから「あばずれ、ビッチ、エロ女」と陰口を叩かれ、本人もそれを知っている。少女時代からの絵本作家になる夢がやぶれ、希望を失ったことで、トラウマや自己嫌悪を抱えている。悪いうわさのせいで、いずれクビになると予感していたころ、拉致された。
宇都宮美夜 (うつのみや みや)
鎌倉のお屋敷、月ヶ谷家の執事兼メイド長。 祥子に、主人の身代わりを依頼。当主の鞠華として、ふさわしいふるまいを身につけるよう、鍛えあげる。冷静な口調と、淡々とした態度が特徴だが、本当はアニメおたく。脱走しようとした祥子に、アニメ観賞を目撃される。
月ヶ谷鞠華 (つきがや まりか)
鎌倉に古い屋敷をかまえる、月ヶ谷家の当主で、第四十四代鎌倉殿。祥子が、「鏡に映った自分」と思うほど、そっくりな顔をしている。お菓子作りが特技で、プロのパティシエ並み。
二階堂行文 (にかいどう ゆきふみ)
月ヶ谷家を支える、旧御家人十三家衆の末裔のひとり。初めてでたパーティーで、酔っ払った祥子と出会う。鞠華の幼なじみだが、身代わりと気づかず声をかけてくる。実は出席者リストに名前がなく、美夜に追い払われた。京都の大学に進学したため、高校卒業と同時に鞠華と離れ離れになり、その後は関西の会社に就職したので、連絡も取れず、ずっと身を案じていた。実は鞠華(祥子)には秘密で、ある肩書きをもっている。
母田持貴典(ぼたもち たかのり)
鞠華の見合いの相手。気品や内面の美しさよりも、見栄えを重要視する、俗物的な人物。月ヶ谷家の弱みにつけ込み、家宝入りの木箱を取引き材料に、鞠華との結婚を要求する。
三浦(みうら)
名前は不明で、恰幅の良い紳士。三浦家も、月ヶ谷家を支える、旧御家人十三家衆の末裔のひとつ。最大の支援者で、いくつもの大会社を経営。月ヶ谷家と同じ谷に住み、屋敷の周辺警備も担当。鞠華になりすました祥子が、最初に二階堂とデートをした日、不審な人物がうろついていた、との情報をもたらす。
九里 (くざと)
名前は不明。 日焼けして、頭髪を七三分けにした外見をした、母田持家の配下。祥子と二階堂の二度目のデート(実は囮作戦)で、二人を尾行してきた黒スーツ三人組のリーダー。母田持家が骨董市で手に入れた、月ヶ谷家の実在と、家宝と伝わる家紋入りの木箱の中身を尋問するが、二階堂の奮戦で阻まれ、警察に捕まった。
大江 広史 (おおえ ひろし)
宮内庁の幹部で、月ヶ谷家を守護する、旧御家人十三家のひとつ。 月ヶ谷家の権威を疑う母田持を、宮様御用邸でのダンスパーティーに招く。母田持を、不埒な成り上がり者と不快感をもっていて、会場への入場を、しばらくの間許さなかった。
宮様 (みやさま)
祥子が忘れたため、姓名不詳。御用邸のダンスパーティーを主宰。子供のころ、鞠華にクマのぬいぐるみを壊されていらい仲が悪かったが、最敬礼で挨拶をした鞠華(祥子)を無視できず、声をかけて一応は和解した。
藤原定博 (ふじわら さだひろ)
国立考古学研究所の考古学者。二階堂との二度のデートに、姿を見せていた不審者。グレーのよれよれスーツに、ポマード頭が特徴。鎌倉殿とその末裔、月ヶ谷家の研究をしており、月ヶ谷家の木箱の行方を探していた。代々の鎌倉殿がある儀式をおこない、木箱にはその道具が収められていたが、幕末の混乱で失われていたという。その秘密を問いただすために、鞠華の身代わりの祥子を拉致、監禁する。

外部リンク[編集]