製作委員会方式

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製作委員会方式とは、各制作会社が出資をし、二次利用で利益を得る手法。ここではアニメ制作を中心に書いてゆく。

概要[編集]

製作委員会方式が普及する前の広告収入方式は、視聴率が重視され、尚且つ玩具共に連動した形でアニメ放送を行っていた。90年代まではその方式を採用していたが、少子化の影響により、視聴率が低下したり、視聴率競争により打ち切りになったり、会社の倒産により、打ち切りになる、長期クールに渡るアニメスタッフの疲弊などの問題点も浮き彫りになっていた。その課題を解決するために作られた制度が今回解説する製作委員会方式である。

アニメ制作の流れとビジネスモデル[編集]

1.企画

これは広告収入方式と同様にどの層にアニメ制作を行うか、企画を行う。

2.委員会出資

制作委員会方式では、複数の委員会が出資をし制作資金を出し合う。

3.放送枠の買い取り

多くの深夜アニメでは、放送局に枠を買い取り、放送権を取得する。民放では、委員会出資がその番組スポンサーとなる。

4.円盤売上やグッズ売上で制作費用の回収

深夜アニメでは、円盤売上やグッズ化の二次利用にて収益を図り、費用の回収をして、続編の制作に充てる。

メリット[編集]

1.視聴率を気にしないアニメ作り

広告収入方式では視聴率を気にしながらアニメ制作を行っていたが、深夜枠などの製作委員会方式を採用しているアニメ作品は視聴率は関係ないため、それらを気にせずに放送できるメリットがある。

2.売上不振の際のリスク分散

従来のアニメ制作は、玩具との売上も関連していたが、製作委員会方式ではほぼDVD・ブルーレイの円盤売上が主な収益となる。出資している会社が多ければ多いほど、売れなかった分のリスクを分散できる。

3.分割クールによるスタッフの疲労軽減と質

3つ目は、分割クールによる疲労軽減である。これは、従来の朝枠・夕方枠の長期クールの制作方式ではスタッフの疲労も溜まり、手抜き作画や、作画崩壊、アニメオリジナルストーリーの導入などのデメリットが多々あった。そこで、深夜枠に放送を移り、1クールごとに放送することにより、制作負担の軽減を図り、アニメクオリティーアップを図ることで、安定したアニメが制作できる。

4.委員会出資がスポンサー

4つ目は、委員会出資がスポンサーであること。朝枠・夕方枠アニメ作品は企業スポンサー料金で得た分の製作費となるが、深夜枠はその枠を委員会が買っているため、その出資した会社がそのアニメのスポンサーとなる。そのため、作中に変化が生じない[1]

5.オリジナルアニメ制作において自由度が高い

これは製作委員会方式での最大のメリットでもある。広告収入方式では、スポンサーから口出しをし、中々自由に制作が出来なかったが、製作委員会方式では、自由にアニメ制作を行うことが出来る。近年ではポプテピピックやチェンソーマンが代表する様に1社提供の方が、より自由度が高いというのも登場している反面、売れなかった分のリスクが大きいというデメリットが存在する。

6.事前に放送枠を買っているため、打ち切りになる心配がない

従来の広告収入方式では、玩具企業がスポンサーであり、4クール前提の放送であったため、途中でスポンサーが降板し打ち切りになる作品が度々あったが、制作委員会方式では、放送枠を買っているため打ち切りの心配がない。

デメリット[編集]

1.アニメ作品の著作権がテレビ局には入らない

広告収入方式ではアニメ作品にはテレビ局に著作権が入るが、製作委員会方式ではその委員会に著作権が与えられる。これはアニメ界隈でも度々議論となっていた。近年ではポプテピピックやチェンソーマンなど1社100%出資提供方式の作品もあるが、限定的に留まっている。

2.円盤売上が全て

製作委員会方式では子供向け作品を除き、円盤売上が全てである。配信も行っているが『買い切り』であり、その利益は微々たる物だという。そのため、続編ラインである2000枚(配信が主流となる以前の2010年代までは5000枚)を下回ると赤字となる。しかし、リスクを分散できるため、1社100%出資型方式ではない限りは続編は製作できる。

その他[編集]

2020年代には、動画配信サービスの普及により、課金サブスク形式の『動画配信方式』が新に登場し、注目を集めている。

関連項目[編集]

  1. 例えば、車の会社がスポンサーの場合、「ここのシーンは、我が社ブランドの車を入れる様に」や「事故を起こさない様に」と指示が入るが、出資型の場合はそういった指示は入らない。