絶滅犬種
絶滅犬種(ぜつめつけんしゅ、英:Extinct Dogs)は、現在純血種が全て死に絶え、この世から姿を消してしまった犬種のことである。
概念[編集]
世界中にはおよそ5000種の犬種が存在している。これらは様々な役割を担い、様々な場所で飼育されている。
然し、人と有史以前から長く付き合ってきた経歴があるため、中には仕事を失ったり、飼ってきた部族が死に絶えるなどして滅びていった犬種も非常に多く存在している。それらの現在存在していない犬種のことを絶滅犬種と呼ぶ。絶滅犬種は今まで何犬種も存在したが、その総数は一万種以上にも上るとされている。
絶滅犬種は日本にも多数存在する。有名なのはかつて柴犬などとともに天然記念物として指定されていた越の犬であるが、この他にも地域限定の地犬(津軽犬、高安犬など)の多くが絶滅している。絶滅した日本犬種は確立したものだけでも、30種以上にも上るといわれている。
絶滅の認定は畜犬団体(ケネルクラブ)などによって行われる。FCI公認種の場合は仔犬が誕生した際に行われる登録が数年行われなくなった場合に純血犬の頭数調査が行われ、繁殖できる犬が全く存在しない、若しくは純血の犬が全く存在しない場合に会議が行われる。このときにもう純血種としての生存が不可能であるとみなされた場合、FCIの公認登録が抹消され、絶滅の判定が下される。FCIに公認登録が抹消されるということは、国際的にその犬種が絶滅したということを認可したということを表している。FCI公認種でない場合、その犬種を公認している各国のケネルクラブや愛犬団体などが絶滅判定を行う。
尚、絶滅判定が下された後、偶然純血の繁殖可能な犬が複数発見されて公認抹消が撤回された犬種も数種存在する。ただし、これはかなりまれなケースである。
絶滅の要因[編集]
犬種の絶滅には、様々な要因がある。ここではその要因と、それにより絶滅していった種の一例を挙げる。
- 他地域から持ち込まれた犬種との交雑によって純血種がいなくなった:犬種が絶滅する一番の理由になっている。
- 狩猟のスタイルや流行の変化によって需要の減少 :イングリッシュ・スタッグハウンド、カーランド・ハウンドなど
- その他の担っていた使役そのものが無くなった:ターンスピット、キューバン・キャトル・ドッグなど
- 闘犬の廃止:オールド・イングリッシュ・ブルドッグ、コルドバ・ドッグなど
- 複数の犬種に分裂、若しくは影響を与え、そのものは絶滅:チズム、縄文犬、弥生犬、ローマン・モロサスなど
- 飼育していた部族の消滅:パタゴニアン・ドッグなど
- 食用として食べ尽くされた:テチチ、コリマ・ドッグ(異説あり)など
- 愛玩犬の流行の変化:ミニチュア・ブルドッグ、トイ・ブル・テリア、ブレヴィピリスなど
- 改良されて他犬種に変化:ブル・アンド・テリア、ウェイビーコーテッド・レトリーバーなど
- 体格などが健康的に非常に問題があった:デリーテッド・フィールド・スパニエル、チワックス、マールド・コリーなど
- 飼育者の人種迫害などに巻き込まれた:グジャエ犬、へナム犬など
- 統括により、犬種として消滅:ルビー・スパニエル、グレディン・スパニエル、ブラック・パグなど
- 作出初期、若しくは完成後すぐに放棄された:ミスリル、マールド・コリー(健康問題と重複)など
絶滅犬種の復元・復刻[編集]
絶滅した犬種にも愛好家は存在し、魅力を伝えたり復元を試みようとする者もいる。絶滅した犬種を蘇らせる活動が近年活発に行われており、そのもっとも著名なものはオールド・イングリッシュ・ブルドッグを復元する目的で多数作出されているオールディ・イングリッシュ・ブルドックなどである。このようにかつて存在した犬種を復元・復刻した犬種のことをオールドタイプ犬種という。
絶滅犬種の復元・復刻にはその血を引いた犬若しくは犬種を交配させて戻し交配などを行うが、その犬も存在していない場合は、絶滅犬種の作出の際に使われた犬種を交配させて再構築を行う。