紅白梅図屏風

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紅白梅図屏風

紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)は、江戸時代(18世紀)の画家・尾形光琳による晩年の傑作。流麗な水流、梅樹と紅梅、白梅が描かれている。津軽家に伝来し、現在はMOA美術館が収蔵し、国宝に指定されている。

国宝の燕子花図屏風とともに尾形光琳の代表作の1つである。二曲一双の金地を背景に白梅と紅梅を対比させ、図案化した梅花や水流を配し、装飾的な画面となっている。日本美術で最も著名な作品の1つである。紙本金地著色・二曲一双。大きさは156.0×172.2㎝。右隻に「青々光琳」、左隻に「法橋光琳」と落款がある。木の幹は、琳派の絵師たちに受け継がれる「たらし込み」の技法で描かれている。

なお、『紅白梅図』屏風の金地(金色の背景)について、2003年から翌年にかけての東京文化財研究所の蛍光X線による調査の結果、金箔を貼ったものではなく、金泥(金粉を膠で溶いた絵具)を使って描き、金箔の継ぎ目(箔足)を描き出している可能性が指摘されていた。 しかし、2011年(平成23年)のデジタル顕微鏡、ポータブル蛍光X線分析装置、ポータブル粉末X線解析計による科学調査により、屏風全体を占める金地に金箔が用いられていることが確認された。 中央の川の流水文の制作方法は、明治以来,謎とされていたが、銀箔地に流水文をマスキングして描き、周囲の銀を黒色に硫化変色して描いていることが判明している[1]。白梅の大部分は画面外に隠されれている。

注・参考文献[編集]

  1. 野口康(2016)「金碧の真実 光琳の紅白梅図」海洋科学研究 第29巻第 2 号,海洋化学研究所