盈虚
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- 月の満ち欠けのこと。詳細 ⇒ 月
- 転じて、栄華盛衰のたとえ。
- 中島敦の小説。
本項目では3.について解説する。
『盈虚』(えいきょ)とは、作家・中島敦の短編小説。「古俗」と題された作品群のうちの一つ。
概要[編集]
製作年代不明。『政界往来』1942年7月号に発表された。発表当時のタイトルは「或る古代人の半生」で、『牛人』と合わせて「古俗」と総題されていた。のち、単行本『南島譚』に収録され、このときに現在のタイトルへ改題された、と推測される。
話の素材は『春秋左氏伝』の定公十四年、哀公十五年、哀公十六年、から取られている。
空費された青春時代を取替えそうと憔悴する主人公が、結果身を滅ぼす、という点に於いて、氏の代表作『山月記』と似た構成をもつ。
登場人物[編集]
- 蒯聵(かいがい)
- 古代中国・衛の太子。主人公。
- 不埒な母を誅しようとするも失敗、国外逃亡を余儀なくされる。衛に戻れるようになるまで16年以上かかり、不遇な青春時代を送ることとなる。
- 途中からは「荘公」と表記される。
- 霊公(れいこう)
- 蒯聵の父。衛国の王。
- 南子(なんし)
- 霊公夫人。ただし蒯聵の生みの親ではない。
- 宋国から公子朝という人物を呼寄せ、浮気を働いている。
- 輒(ちょう)
- 蒯聵の子。霊公の死後、即位する。
- 疾(しつ)
- 蒯聵の子。輒の異腹の弟。
- 蒯聵の国外逃亡時、共に暮らし、蒯聵の心の支えとなる。しかし後には刻薄な性情を見せるようになる。
- 伯姫(はくき)
- 蒯聵の姉。やがて政権を握る。
- 渾良夫(こんりょうふ)
- 伯姫の情夫。彼のおかげで蒯聵は衛国に戻れるようになり、臣下として厚遇する。
- しかし後には疾のために誅殺されてしまう。
- 戯陽速(ぎようそく)
- 蒯聵が南子謀殺を依頼した側臣。しかし実際には実行しなかった。
- 趙簡子(ちょうかんし)
- 晋国の実力者。逃亡してきた蒯聵を厚遇した。
関連項目[編集]
- 牛人 - 「古俗」のもう一篇。
外部リンク[編集]
- 青空文庫 - 本文を無料で読むことが出来る。