満洲国臨時政府
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満州国臨時政府(まんしゅうこくりんじせいふ、英: Manchukuo Temporary Government)とは、2004年に香港に設立されたということになっている組織[1] 。満州国臨時政府のウェブサイトでは、一部の国の承認を受けて1932年から1945年に中国東北部を支配していた日本の傀儡国家である満州国の亡命政府であると主張している。 満州国を復活させ、中華人民共和国から満州を分離しようとしている[2]。ジャーナリストやインターネットユーザーは、その正当性と目的について疑問を呈している[1]。
国家機構と象徴[編集]
ウェブサイトの概要説明によると、満州国臨時政府は、皇帝、皇族、首相、内閣などから構成される。満州国の旧国歌と満州国の国旗を引き続き使っている[1] 。満州国臨時政府のウェブサイトでは、国の地域と国の民俗の歴史について説明している。その説明の中には、満州民族がイスラエルの失われた10支族の1つであるという主張も含まれている。満州国における日本の実効支配についてはうまく説明できていないが、中国政策研究所のジェームズ・ライポルドは、その主張を「反共産主義者の皮肉の権化」と描写している[3]。
満州国臨時政府は国際君主制主義者連盟(International Monarchist League)のメンバーである[4]。満州国臨時政府は、代表なき国家民族機構への参加を目指している[1]。満州国臨時政府は、ブラジル、イタリア、日本、台湾、アメリカ合衆国に海外支部を有していると主張している[5]。
満州国臨時政府の政治指導部は、皇帝と首相を選出することによって形作られる。 皇帝には、2008年の選挙で、香港の歴史学部の学生であるとされる"Aisin Gioro Xiaojie" (愛新覺羅‧孝傑),が選ばれた。彼の世代名"Xiao" (孝) が実際の一族の世代名に一致しないため、本来の皇室・愛新覺羅氏と実際に関係があるかは怪しい[1] 。けれども、この皇帝は満州国臨時政府との関わりがなくなってしまい、2010年4月にもう一度選挙が行われ、"Aisin Gioro Chongji"(爱新觉罗‧崇基)が皇帝に選ばれた[6]。この人は、このとき、ニューヨーク大学の学生であって、合衆国に拠点を置く北朝鮮のフロント集団である先軍政治研究グループ( Songun Politics Study Group)の議長でもあった[7]。
財務活動[編集]
旧満州中央銀行の後継であるということになっている満州国臨時政府の「中央銀行」は、旧満州国圓が合衆国ドルに対して0.8となる割合の固定為替レートを当てると宣言しており、郵便で両替サービスを提供している[8]。2007年には早くも、身分証明書を3合衆国ドル、架空のパスポートを8合衆国ドルで発行し、PayPalで支払いを受けていた[8]。満州国臨時政府のウェブサイトは、満州国臨時政府の郵便切手を売っていると主張していたが、明報網站(Ming Pao)のコラムニストが「本当に買えるの?」とサイトに問い合わせると、満州国臨時政府の報道官は「切手は売り切れです」と述べた[6] 。また「ロイヤリティ・ボンド」("loyalty bonds")というものも発行した。満州国臨時政府の活動について、2008年2月、香港証券先物取引委員会、ギリシャのヘレニック資本市場委員会、スペインの国家証券市場委員会(ComisiónNacional del Mercado de Valore)は、満州国臨時政府は投資サービス提供の許可が与えられた機関ではないという注意喚起をした[9][10]。
受け取られ方[編集]
満州国臨時政府は、2009年の選挙前後の台湾政治との関わりでときどきメディアの注目を集めた。というのは、そのメンバーは国民党の幹部や満州民族の皇族の遠縁の親戚かもしれなかったからだ。冗談で、皇族自身がスパイの一人かもしれないなどと言われた[1][11]。一部のインターネットユーザーは、「金銭を手に入れる目的で作られた詐欺用のウェブサイトなんじゃないか?」と疑っていた[1]。 中国のナショナリズムとインターネットの専門家である香港の政治学者、サイモン・シェン(Simon Shen)も、満州国の復興を満州民族に代わって行う運動だと主張するウェブサイトに疑いを持った。シェンは、満州国臨時政府と関わっていることが確かな人は、中国人や満州人ではなく、日本人であることを指摘した[6] 。もう1人のニュース・コメンテーターは、同様に、日本の国粋主義者が満州国臨時政府のサイトを背後から操っていることを示唆している[2]。 だが、一方で、シェンは、ウェブサイト全体が単なるインターネットでのジョーク(釣り)なんじゃないかと言っている[12]。
満州国臨時政府はまた、いくつかの地域から怒りの反応を引き起こした。 2011年5月、台湾の独立などなどの議論が続くなかで、NOWnews のコラムニストは、満州国家臨時政府を「中国東北地方の民族の恥部」と呼んだ[5]。ダライ・ラマとチベット独立運動を支援することや北京での2008年夏季オリンピックを混乱させることなどを表明した満州国臨時政府は、中国本土のインターネットユーザーを怒らせた[1] 。あるときには、満州国臨時政府の首相の川島志明 (スパイ・川島芳子の甥だという)が、陳水扁の工作員として、パプアニューギニアで現地の中国本土人に対する暴動を扇動する秘密工作に従事していると、中国本土のインターネットユーザーたちのなかでは、まことしやかに語られていた[13]。
歴代皇帝[編集]
称号 | 姓名 | 年号 | 期間 | 備考 |
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皇帝 | 愛新覚羅溥儀 | 宣統 | 2006年-2008年3月 | 2006年、満州国臨時政府が皇帝号を追尊。宣統の年号を復活。 |
皇帝 | 愛新覺羅·孝傑(金孝傑) | 復光 | 2008年3月-2010年3月 | |
皇帝 | 愛新覺羅·崇基(羅崇基) | 昊德 | 2010年4月-2011年5月 | |
皇帝 | 李志栓 | 西暦を採用。 | 2011年5月-2015年8月 | 唐の昭宗の末裔を自称。 |
皇帝 | 愛新覺羅·獨立 | 2015年8月- | 今上皇帝 |
脚注[編集]
- ↑ a b c d e f g h “滿洲國復辟? 金溥聰有個族人自封是皇帝 [Manchukuo restored? King Pu-tsung has a clansman who proclaimed himself emperor]” (2009年12月10日). 2011年9月26日確認。
- ↑ a b 孫亨利 [Henry Sun] (2009年9月16日). “滿洲國要復活了! [Manchukuo revived!]”. 2011年9月26日確認。
- ↑ Leipold, James (2016年5月19日). “Ethnicity and the Chinese Internet: Escape from Reality?”. China Policy Institute Analysis 2017年6月28日閲覧。
- ↑ “愛新覺羅的國仇家恨!” (2009年12月15日). 2011年9月26日確認。
- ↑ a b 阿修伯 (2011年5月25日). “聲討賤性台獨、賤性滿獨”. 2011年9月26日確認。
- ↑ a b c 沈旭暉 [Shen Xuhui] (2010年5月9日). “從互聯網「滿洲國皇帝全民直選」談起”. 2011年9月26日確認。
- ↑ “White Power and apocalyptic cults: Pro-DPRK Americans revealed; American homegrown terrorist groups are the chosen favorites of Pyongyang”. NKNews. (2013年5月6日) 2017年6月28日閲覧。
- ↑ a b “騎呢滿洲國護照 8美元一本 [Funny Manchukuo passports, US$8 each]” (2007年7月3日). 2011年9月26日確認。
- ↑ “Εταιρειεσ μη εχουσεσ αδεια παροχησ επενδυτικων υπηρεσιων βασει σχετικων προειδοποιησεων (public warnings) ξενων εποπτικων αρχων”. Hellenic Capital Market Commission. 2012年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年9月26日確認。
- ↑ “CNMV advierte tres compañías Hong Kong podrían dar servicios sin autorización” (2008年3月6日). 2011年9月26日確認。
- ↑ “金溥聰是超極震撼彈 [King Pu-tsung's a real shocker]” (2009年12月17日). 2011年9月26日確認。
- ↑ 沈旭暉 [Shen Xuhui] (2010年5月16日). “「太平洋滿洲獨立基地」——網絡稻草人的故事 ['Pacific Manchuria Independence Base' an internet scarecrow story]”. 2011年9月26日確認。
- ↑ 沈旭暉 [Shen Xuhui] (2010年5月14日). “「滿洲國」參與巴布亞新畿內亞排華? ["Manchukuo" joined anti-Chinese activities in Papua New Guinea?]”. 2011年9月26日確認。