懐中時計

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懐中時計

懐中時計(かいちゅうどけい)は、主にポケットの中に入れて持ち歩く携帯用の時計のことである。英語ではpocket watchなどと呼ばれている。

概要[編集]

振り子時計は揺れには弱いため、大航海時代に「揺れても大丈夫な時計」としてクロノグラフが生まれた。そこから「点鐘」が生まれたが、夕刻の点鐘は五点鐘ではなく一点鐘に戻り、三点鐘からいきなり八点鐘になる。これが不自由であるため、「携帯できるクロノグラフ」として生まれたのが懐中時計であると謂われる。
懐中時計の始まりの説では、1625年頃の製作で、イングランドの政治家のオリバー・クロムウェルが使用した懐中時計というのが挙げられている。腕時計が普及し始めた現代においてはあまり普及している印象を受けないが、腕時計が登場するまでの長い間は広い範囲に亘って利用されていた。また、時計としてだけではなく、装飾品としても好まれ、貴族達に愛用されるまでに普及していた。旧帝大では主席卒業者には「恩賜の金時計」が授与されるなどの慣習があったが、戦後にはこれが嫌われるようになって、廃れつつある。
時計の形状はアナログ式の文字盤に、ポケットなどとつなぐフックがついた鎖が竜頭部分つけられた形が一般的である。


ちなみに、多くのジーンズのポケットには、更に一回り小さいポケットが附けられている。これは現在「コインポケット」などと呼ばれ、小銭を入れることに用いられるが、本来は「ウォッチポケット」と呼ばれ、懐中時計を入れるために開発されたものであった。19世紀後半のアメリカで、炭鉱夫用に製作されたという。腕時計が開発・普及される20世紀前半ごろまで、同様の使われ方をしていた。

現代の利用用途[編集]

主に腕時計をつけることに何らかの不具合を生じる職業に就く場合、代わりに懐中時計を用いることがある。例えばメイドや看護師や料理人のように手洗いを必要とする職業は、手首を洗う際に腕時計が邪魔になるという不具合が生じる。特に看護師は腕時計に何かが引っかかったりするという事があることから、後述のナースウォッチという懐中時計を用いることがある。また、化学実験などにおいて万が一事故が発生した場合に腕時計を着用することが危ないことから、科学者の間で懐中時計を使用するケースも見られる。
現在ではスマホで機能的には用が足りるが、スマホをONにしておくと、こちらの都合を無視してのべつ電話などのメッセージが届いて非常に邪魔である。「だからメールで送ってくれよ」と思うのだが、作文に疎い人は長文(文章)を書きたがらず、音声情報やLINEによる短文に頼りがちである。
これを考えると、「『年月日・時刻・月齢』の表示とストップウォッチ的な機能を持ったアラームつきの懐中時計というのは需要がありそうに思う。このとき、文字盤以外にディジタル表示板が裏面にあったり、Bluetooth(ブルートゥース)で設定ができたり、ワイヤレス充電ができたりするとありがたい。

懐中時計の種類[編集]

ナースウォッチ
ハンターケース
文字盤の部分に傷をつけないよう、蓋をつけて保護しているタイプの懐中時計。
オープンフェイス
蓋のついていない懐中時計。
ナースウォッチ
看護師が脈の測定などを行う時に時間を計る時計。

チェーンの種類[編集]

ピンタイプ/バータイプ
上着に繋げるようになっているタイプ。
背広のボタンの穴や内ポケットのループに取りつけて、内ポケットに懐中時計を収納する事が出来る。
クリップタイプ
内ポケットやベルトに取りつけて、内ポケットの中に収納するタイプ。
大体のズボンやポケットに対応出来るように作られてはいるが、クリップの挟める厚みによってはポケットなどにうまく取り付けることが出来ないこともある。
引き輪タイプ
上着にもズボンにも取り付けれるタイプ。チェーンの駒に引き輪を通す事で長さを調整することが出来る。
ベルトを通す部分に取りつけてズボンのポケットに懐中時計を収納することが多い。上着の場合はジャケットの内ポケットのループに掛けて内ポケットに懐中時計を収納することが出来る。

関連項目[編集]