幼女
幼女(ようじょ)は、幼い女の子(『広辞苑』による[1])である。『日本国語大辞典』および『大辞泉』も同様の定義を採用する[2][3]。『類語大辞典』によると文章語であるというが、少女との区別は明確ではない[4]。
幼女を「幼児期にある女の子」と解釈すると、いくつかの文献により年齢による定義が可能である。一例として『日本大百科事典』では、幼児期を「一般に満一歳から就学前」としている。これに従うと幼女とは満一歳から就学前の女の子となる[5]。幼児教育の用語としては満一歳から満七歳を幼児期とする。このうち満四歳までを幼児前期、満七歳までを幼児後期とする。この定義に従うと幼児の年齢の上限は満八歳になる日の前日までである[6]。同様の定義は他にもみられる[7]。
歴史的には異なる定義が採用されていたこともある。ロバート・オウエンがスコットランドのニュー・ラナーク紡績工場村に性格形成学校を開設した際、歩き始めたころから5歳までを幼児学校に、10歳までを初級学校に通わせた。その後は工場で働きながら成人学校に通わせた。ここでは幼女とは5歳以下の女の子である[8]。折から産業革命期にあった当時の英国では、下級国民?の子供の保護と教育のために幼児学校は急速に普及した。1820年、Samuel Wilderspinがイースト・ロンドンのスピタルフィールドの幼児学校に教師として招聘されるが、この時は2・3歳から7歳までの子供に教育を行った[9]。
次に、現代日本における法令上の位置づけを見てみよう。少年法2条では、20歳に満たないものを少年と定義しているが、幼児の定義はない[10]。 児童虐待の防止等に関する法律2条でも18歳に満たないものを児童と定義しているが、こちらにも幼児の定義はない[11]。学校教育法26条の定める幼稚園の入学資格は満三歳から就学前である。幼女の年齢の下限を満三歳になる日とするのはそれなりの根拠がある[12]。
出典[編集]
- ↑ 広辞苑 2018, p. 3014.
- ↑ 日本国語大辞典 2002, p. 521.
- ↑ 大辞泉 2012, p. 3723.
- ↑ 類語大辞典 2002, p. 1298.
- ↑ 日本大百科事典 1988, p. 519.
- ↑ 日本大百科事典 1988, p. 520.
- ↑ 一藝社 2004, p. 407.
- ↑ 第一法規出版 1980, p. 24.
- ↑ 第一法規出版 1980, p. 25.
- ↑ 有斐閣 2022a, p. 2829.
- ↑ 有斐閣 2022b, p. 4752.
- ↑ 有斐閣 2022a, p. 2534.
参考文献[編集]
- 『日本大百科事典』23、小学館、1988年9月1日。ISBN 4-09-526023-8。
- 『広辞苑第七版 机上版 た―ん』 新村出、岩波書店、2018年1月12日。ISBN 978-4-00-080132-4。
- 『日本国語大辞典 第二版』第十三巻、小学館、2002年1月10日。ISBN 4-09-521013-3。
- 『大辞泉【第二版】下巻 せ―ん』 小学館大辞泉編集部、松村明(監修)、小学館、2012年11月7日。ISBN 978-4-09-501213-1。
- 『類語大辞典』 柴田武, 山田進、講談社、2002年12月25日。ISBN 4-06-123290-8。
- 『保育基本用語事典』 岡田正幸, 森上史朗、第一法規出版、1980年10月15日。
- 『図解 子ども事典』 林邦男(監修)、一藝社、2004年1月30日。ISBN 4-901253-38-7。
- 『現代日本法律百科大辞典』7、伊藤正己, 園部逸夫et al.、ぎょうせい、2000年3月25日。
- 『六法全書 令和4年版 Ⅰ』 佐伯仁志, 大村敦志et al.、有斐閣。ISBN 978-4-641-10482-2。
- 『六法全書 令和4年版 Ⅱ』 佐伯仁志, 大村敦志et al.、有斐閣。ISBN 978-4-641-10482-2。