平成30年台風第21号による関西国際空港の被害

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本項では、平成30年台風第21号による関西国際空港の被害状況をまとめる。

関西国際空港は、2018年9月4日に接近した台風21号により、安全のため正午から閉鎖していた。しかし、敷地内の浸水、連絡橋の損壊など、多くの被害が確認され、運航再開まではかなりの時間を要した。

沖合の埋立地に建設され、陸地との連絡を連絡橋のみに頼っている島型空港の、弱点がむき出しになる形となった。

当日は関西国際空港開港より24年となる記念日でもあった。

被害[編集]

下に述べるように、関西国際空港は空港としてのほぼ全機能を一時喪失した。経済的な損失は何兆円にもおよぶ。

浸水[編集]

A滑走路が最大50cm、第一旅客ターミナルビルと駐機場などが浸水し、使用不能となった。駐機していた航空機に被害は及ばなかったものの、貨物運搬車両などが浸水した。

連絡橋の損壊[編集]

関空付近に停泊していたタンカーが走錨、風に煽られて航行し、関西国際空港と陸地とを繋ぐ唯一の連絡橋に衝突した。連絡橋は、鉄道線路を高速道路で挟む形になっていたが、片方の道路が大きく被害を受け、鉄道線路にも歪みが心配された。

孤立[編集]

連絡橋の使用不能を受け、陸地との交通が寸断された。台風通過を待ち午後7時の再開を目指していた関西国際空港には旅客3,000人が待機しており、職員含む8,000人近くが孤立した。コンビニの食料は尽き、非常食が配られ、一部では停電し空調が効かず、トイレも使えない状態であった。

復旧[編集]

空港としての機能復旧には、地上との交通経路確保が喫緊の課題であった。流入した海水の排水とともに、交通手段確保が優先的に進められた。

孤立の解消[編集]

9月5日に、神戸行きの高速船、および泉佐野駅行きの連絡バスを運行した。

浸水[編集]

浸水被害の及ばなかった第二旅客ターミナルビルおよびB滑走路は、早期に安全が確認された。9月7日より、ピーチアビエーションの運航する便が再開された。

浸水被害から復旧した第一旅客ターミナルの南側およびA滑走路は、9月14日に運用を再開、再開当日は68便が運航した。北側の国際線15スポットは、9月21日に運用を再開し、旅客便全体で99%、貨物便で86%が従来通り運航している。

連絡橋[編集]

連絡橋は、タンカーの衝突によって大きなダメージを受けたため、安全を確認していた。関空から陸地に向かう上り線のうち、1車線のみ安全を確認できたとして、5日には緊急車両と作業車両を、時間別の相互通行で通行可能とした。

7日からは上り3車線の安全が確認されたため、相互通行を解除し、緊急車両とバスのみ対面通行で通行可能とした。21日からはタクシーの通行も許可され、関空方面は2車線となった。10月6日には、マイカー規制が解除となり、全車が通行可能となったが、混雑時間帯の交通集中対策が課題となった。

12日より、破損した下り線を撤去する作業を開始。クレーン船により被害の大きな部分を取り除いた。2019年2月12日からは新しい橋梁の設置工事が行われ、4月8日、事故前と同じ6車線供用再開に至った。

鉄道はJRは日根野駅りんくうタウン駅、南海は泉佐野駅・りんくうタウン駅までの運転とし、シャトルバスにて関空に向かうよう案内していたが、18日より連絡橋の安全が確認されたため連絡橋を含め運転が再開された。

対策[編集]

10月3日、被害と対策を検証する第三者委員会「台風21号越波等検証委員会」の初会合が開かれ、防災対策等について検討されることとなった。しかし、実際に就航し航空機を運航する航空会社との話し合いの場が設けられていないことから、批判の声もある。

また10月2日には、国土交通省の主催する「全国主要空港における大規模自然災害対策に関する検討委員会」初会合が関西国際空港にて開かれ、今後同様の空港施設被害に対する対策について話し合われた。

9月30日に関西国際空港に接近した台風24号対策では、最接近7時間前から翌日朝までの19時間に渡り空港を閉鎖することを決定した。当日の再開をせず、運航再開を待つ人が空港内に取り残されないための対応であり、浸水が想定される地下や、復旧が容易でないボーディングブリッジには、土嚢やラップで対策がなされた。