完全犯罪

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ここでは、小栗虫太郎の小説作品について解説している。

  • 犯罪については犯罪を参照

完全犯罪』(かんぜんはんざい)は、小栗虫太郎の推理小説。『新青年』(昭和8年(1933年)7月号)上に発表され、氏の出世作となった。処女作として紹介されることも時折あるが、実際には昭和2年(1927年)に織田清七名義で発表した『或る検事の遺書』のほうが古い。

相変わらずの衒学趣味は、本作でも遺憾なく発揮されている。戦前戦中の支那を物語の舞台としており、登場人物たちの織り成す異様な雰囲気は、トリックの異常性・不可能性を補ってあまりある。

後に同様のシチュエーションを用いた『女人果』という作品も発表している。

登場人物[編集]

ワシリー・ザロフ
苗族共産軍の若い指揮官。
大学卒業後は非常委員会(チェカ)に身を投じ、たちまちGPUの脳髄と呼ばれるまでになった逸才である。そのときに政治警察附帯の殺人事件などを何度か捜査した経験がある。
自管轄下で変死が起きたため、やむなく真相解明に努めることとなった。いわば「探偵役」の人物である。
ヘッダ・ミユヘレッツエ
軍の娼婦。変死した。妖艶だが低脳で、賎姓ミユヘレッツエ家の最後の人物とされる。
鵬 輝林
政治部長。
ピョートル・ヤンシン
軍医。死体鑑定および解剖を務めた。
汪 済沢
航空司令。事件の夜、ヘッダと一夜を共にするはずだったが、彼女が泥酔していたため、やむなく諦めた。
葉 稚博
砲兵司令。
鄭 大均
事件当日、ヘッダの居る部屋の外で、見張りをしていた歩哨。
エリザベス・ローレル
幼い頃から父の言いつけを守り、八仙塞に住み続ける謎めいた婦人。一切、外の地に出たことがなく、また30代でありながら未だ処女を保っている。
オックスフォードの人類学者たるヒュー・ローレルを父に持ち、自身も洋医である。
事件当日は、地下で下婢にオルガンを教えていた。
ヒュー・ローレル
エリザベスの父。既に故人。
一流大学に匹敵するほどの研究設備を、八仙塞に残していった。死に際に謎の遺言を残している。

関連項目[編集]