夜よりほかに聴くものもなし

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夜よりほかに聴くものもなし』とは、山田風太郎の連作短編集。初出は雑誌『1962年1月号~10月号。

概要[編集]

中年刑事の八坂[1]が、意外な動機による犯人を逮捕してゆく短編集。社会派・心情派の内容であり、推理過程には重きがおかれていない。犯行はほぼ全ての例においてトリックを使っておらず、解決も犯人の自白に頼るものが多い。あくまで動機がメインのストーリーである。

タイトルは、ポール・ヴェルレーヌの詩の一節「からす麦、しげった中の立ちばなし、夜よりほかに聴くものもなし」[2]から取られている。この詩は、4年前の1958年に発表された『誰にもできる殺人』の中にも引用されており、山田の愛着がうかがえる。

タイトルリスト[編集]

  • 第一話 証言
  • 第二話 精神安定剤
  • 第三話 法の番人 
  • 第四話 必要悪
  • 第五話 無関係
  • 第六話 黒幕
  • 第七話 一枚の木の葉
  • 第八話 ある組織
  • 第九話 敵討ち
  • 第十話 安楽死

脚注[編集]

  1. 正確な年齢は書かれていないが、第十話に 「・・・、刑事は、こんこんと眠っている弟の顔を見つめていた。五十ちかいその顔は、やせて、・・・」 という記述があるため、五十すこし前~五十代後半ていどと推理される。
  2. 『わびしい対話』永井荷風・訳。

関連項目[編集]