埼玉県美里町強盗殺人事件
埼玉県美里町強盗殺人事件(さいたまけんみさとまちごうとうさつじんじけん)は、埼玉県美里町阿那志の民家で女性が殺害されて、現金を盗まれた事件。
概要[編集]
2012年10月19日午後1時半頃、埼玉県美里町阿那志の女性が自宅の押し入れで死亡しているのを警察官が発見。首には絞められたような痕が発見され、窓ガラスの一部が割れていた。現金数万円が入った財布なくなっており、警察は強盗殺人事件として捜査。2012年10月16日から17日頃に殺害されたとされた。
2012年11月16日、県警児玉署捜査本部は事件前に借金をYに申し込んだが断られたとみられる男Mを死体遺棄容疑で全国に指名手配。2012年11月18日に群馬県内の列車に乗っていたところを乗客が発見して通報。駆け付けた警察官が死体遺棄容疑で男性Mを逮捕した。2012年12月7日に男性Mを強盗殺人容疑で再逮捕した。男性Mは容疑を否認したが、検察は強盗殺人容疑で起訴した。
裁判経過[編集]
裁判では有罪を主張する検察側と無罪を主張する弁護側が対立。双方、次のような主張をした。
- 検察側
- 被害者の女性Yの遺体をくるんでいた毛布から男性Mと一致するDNA型が検出された。
- 借金を抱えていたMが、事件後にホテルを利用していたなど金回りが良くなっていた。また、Mは事件の四日前に金の無心をしにY宅を訪問している。
- 以上から、M以外の犯人は考えられない。
- 弁護側
- 男性Mの靴と同型の足跡がY宅に残されているのは、室内に立ち入った証拠にはなるが、殺害した証拠にはならない。
- 室内に立ち寄ったのは、Y宅を通りかかったMが壊れている窓を不審に思い室内の様子を見ていたため。
- 暴れるMともみあってはいるが、殺害した犯人ではない。
- 借金は消滅時効しているため、MがYを殺す動機にはならない。
2014年4月22日、検察側は無期懲役を求刑した[1]。2014年4月30日、さいたま地裁(片山隆夫裁判長)は求刑通りの無期懲役の判決を言い渡した[2]。女性Yの爪から検出されたDNAが男性Mと一致したことや男性Mの靴とY宅に残された足跡が一致したことからMが犯行を行ったとした。弁護側の「Y宅を通りかかったMが壊れている窓を不審に思い室内の様子を見ていた」として第三者の犯行の可能性の主張は、死亡時に女性が身に付けていた衣服から女性Yと男性MのDNA以外は検出されなかったとして「第三者の関与の可能性は低い」と退けた。その上で「犯行は凶暴で非道。公判では虚偽の弁解に終始した」として、無期懲役とした。