国立大学学費値上げデマ問題

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国立大学学費値上げデマ問題(こくりつだいがくがくひねあげでまもんだい)とは、日本共産党が、日本の国立大学の授業料に関して「安倍政権が史上最悪学費値上げ」という事実と反する内容のチラシ宣伝を行って学生らの不安をあおったことに対して、国会で問題となり、訂正を余儀なくされた問題である[1]

経緯[編集]

2015年5月27日、財務制度審議会分科会において、国立大学の授業料を年間約100万円弱にまで値上げについて検討することが示唆された[2]ことを受けて、2015年6月5日、文部科学省が、「財政制度等審議会の「財政健全化計画等に関する建議」に対する文部科学省としての考え方」を公表し、国立大学の授業料値上げは「意欲と能力のある学生等が経済的理由で進学等を断念することのないよう、安心して学ぶことのできる環境を整備することは極めて重要」であり、「そのため、文部科学省としては、基本的には学生等に対してできるだけ教育費負担をかけないようにしていくことが重要であり、まず、国立大学の授業料値上げありきという考え方は適当でない」として財務省の方針に真っ向から反対する資料を公表した[3][4]

2015年10月26日、財政制度審議会分科会の配布資料に以下の記述が掲載された[5]

  • 厳しい財政状況、少子化の中でも国立大学法人が安定的な経営を行っていくことを可能とするため、例えば、今後15年間(平成43年度まで)に、運営費交付金に依存する割合と自己収入割合を 同じ割合とすることを目標として設定[5]
  • そのためには、運営費交付金依存度を毎年0.5%低下させなければならない[5]。現在の教育・研究 規模を維持しつつ、これを実現するためには、運営費交付金を毎年▲1%減少させ、自己収入を 毎年+1.6%増加させることが必要[5]

2015年11月24日 財政制度審議会の「平成28年度予算の編成等に関する建議」では、上記内容は具体的に盛り込まれなかった[6]。「国立大学の自己収入構造を考える際、こうした 授業料の引上げについても一定の議論が必要である」とはしたものの、引き上げそのものを求めなかった[6]。さらに、引き上げを議論する際には「その際、家計負担に十分配慮することが重要であり、全体の引上げと併せて、意欲と能力がありながらも低所得で就学困難な学生に対する授業 料免除の拡大(あるいは特に卓越した学生に対する授業料免除)、 奨学金制度の充実拡充や所得連動返済型の奨学金の導入 、多様な教育サービスの提供とそれに応じた多様な授業料の設定 など単なる引上げのみを行うのではなく、学生の納得感を醸成しながら、必要な措置を併せて検討していく必要がある」と付け加えた。これらは、与党などが運営交付金の充実確保を求めていたことなどを受けた対応だった[6]

2015年12月1日 衆院文部科学委で日本共産党に畑野君枝氏が、建議に盛り込まれなかった配布資料の「今後15年間に運営費交付金に依存する割合と自己収入割合を同じ割合にして、運営費交付金依存度を毎年0.5%、運営費交付金を毎年一%減少させ、自己収入を毎年1.6%増加させる」との内容をあえて持ち出し、「仮にこのように進めるとしたら、授業料は15年間で幾らの値上がりになると試算されますか」と聞いた[7]。 これに対し、文部科学省は、「財政制度分科会の配付資料のとおり、自己収入を平成43年度時点で2437億円増加をさせるということのためには、仮にこれを全て授業料収入で賄うとした場合におきましては、平成27年度の学生数をもとに試算を行いますと、授業料は約93万円となりまして、現在と比べて約40万円の増加が必要となるということでございます。これを来年度から毎年均等に引き上げるということにいたしますと、年間約25000円の値上げが必要ということになろうかと思ってございます。」と答えた[8]

2015年末以降 日本共産党は、建議で採用されなかった前提に基づく仮定の試算結果を示した上記答弁を根拠に、「安倍政権が学費値上げ 史上最悪」と断定し、“安倍政権が国立大学の学費を毎年値上げし、16年後に現在の年間53万円から93万円に40万円値上げする”との内容のチラシを作成し、全国的に運動を展開した[1]

国会での審議[編集]

財務省の審議会の提案は、財政審の建議(意見書)から学費値上げの数字は消え、安倍政権は例年通り、交付金を削らないことを決め、2016年度予算で学費免除者の枠を拡充しているため、日本共産党の論拠が崩れた形となった。

2016年2月3日の衆院予算委員会で、公明党の石田祝稔議員が「青年を惑わすものだ。全く事実と違う」「『たら』『れば』の世界のことを事実のように書いて、若い人に配っている。けしからん」と指摘したのに対し、安倍晋三首相がチラシに対して「全くのデマ」「直ちに公党としては責任を持って訂正してほしい」「値上げは決まっていない。全くのデマゴーグだ。選挙を前に極めて有権者を惑わせる」と答弁した[9][10]

国会審議後の対応[編集]

2016年2月3日の衆院予算委員会後、日本共産党の穀田恵二国対委員長は記者会見で、「(値上げ反対の)運動があったからこそ今年度の学費値上げはなくなった[1][11][12] 。非常に効果があったと自負している」と主張し、安倍晋三首相、石田祝稔衆議院議員を批判した[1][12]。さらに、日本共産党はホームページ上のチラシについて、「安倍政権が」の部分を「安倍政権のもとで狙われる」などと変更を加えた[1]。 

脚註[編集]

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 共産党「国立大学費値上げ」批判チラシを一部修正産経ニュース(2016.2.3)
  2. 高騰する学費で破産?大学授業料が払えない 奨学金なしに大学に行けない世帯が半数以上 (AERA2016年1月18日号(東洋経済オンライン2016年1月13日配信) 配信日に閲覧)
  3. 財政制度等審議会の「財政健全化計画等に関する建議」に対する文部科学省としての考え方文部科学省 2015年6月5日公開 2017年1月28日確認)
  4. 国立大学の学費の値上げが「地方の劣化」招くことになる理由 ニュースポストセブン 2015年12月5日16:00配信 配信日に閲覧
  5. 5.0 5.1 5.2 5.3 財政制度分科会(平成27年10月26日開催) (参考資料1) 文教・科学技術(参考資料) 財務省 2017年1月28日確認)
  6. 6.0 6.1 6.2 平成28年度予算の編成等に関する建議財務省 2015年11月24日公表 2016年1月5日閲覧)
  7. 国会会議録
  8. 国会会議録
  9. 学費値上げのウソ公明新聞:2016年2月22日(月)付
  10. 安倍首相がきれた! 共産党は「デマゴーグ」産経新聞=2016年2月4日(木)付
  11. 安倍首相、共産ビラは「デマゴーグ」=国立大学費めぐり、穀田氏は反論”. 時事通信 (2016年2月3日). 2017年1月29日確認。
  12. 12.0 12.1 公明・石田議員が共産党攻撃質問 穀田国対委員長 「ルール違反の誹謗中傷」”. 赤旗 (2016年2月4日). 2017年1月29日確認。

関連項目[編集]