呉服の間(ごふくのま)とは、江戸城大奥における征夷大将軍の正室(御台所)のための裁縫室のことである。この部屋では専従の女中が常時、御台所の式服や平服などの縫製に従事していた。なお、身分は余り高いわけではないのだが、その際に使用された生地などはよく余る場合があり、その場合は女中の物になるケースが多く、すなわち余剰分が非常に多くて女中にとっては羨望の的であった。数年この職を務めた女中はかなりの衣装持ちになることも可能だったといわれるほどである。