名探偵コナン 揺れる警視庁 1200万人の人質

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概要[編集]

揺れる警視庁1200万人の人質は2002年2月18日に発売された単行本36巻[1]と同年4月18日に発売された単行本37巻[2]に掲載されている”帰らざる刑事”から”バイバイ……”のアニメ化時のタイトルであり、2003年1月6日にお年玉2時間スペシャルとして放送され、2004年10月4日にデジタルリマスター版が再放送されている[3]。また、2022年4月14日公開劇場版名探偵コナンハロウィンの花嫁に繋がる内容であるため、同年3月19日~4月9日にデジタルリマスター分割再編集版が放送された[4]。この回で初めて萩原研二松田陣平が登場し、高木佐藤の恋愛模様も描かれている。(この回での萩原研二の登場はアニメ版だけであり、原作では96巻に初めてその容姿が描かれた。[5]

なお、劇中で起こった3度の犯行の日付は原作では11月7日で統一されているが、アニメ版では先述の放送日に合わせて1月6日に統一されている。

ストーリー[編集]

7年前の11月7日、警視庁警備部機動隊爆発物処理班に所属する萩原と松田はそれぞれ別の場所で爆弾解体の任務に当たっていた。松田が担当した爆弾は解体できたが、萩原の方は複雑で困難を極めた。仕方なく犯人の要求を呑み爆弾のタイマーは止められた。その事に安心した萩原は防護服を脱ぎ一服していたが、爆弾のタイマーが復活。爆発に巻き込まれて殉職した。

親友でもあった萩原を失った松田は、爆弾犯確保のため上層部に刑事部特殊犯係への異動願を出していた。しかし、その意図はしっかりと見破られており、”頭を冷やせ”という意味で萩原の死から4年後に同じく刑事部にある強行犯三係に転属となる。萩原を死に追いやった犯人を捕まえたい松田は誰とも馴れ合わず、教育係を指名された佐藤の言うことも聞かない。そして11月7日。爆弾犯からのメッセージが来ると確信していた松田は他の仕事を放棄して、本庁で待機していた。そして松田の予想通り来た爆弾犯からのメッセージは暗号であった。”我は円卓の騎士なり 愚かで狡猾な警察諸君に告ぐ 本日正午と十四時に我が戦友の首を弔う面白い花火を打ち上げる 止めたくば我が元に来い 72番の席を開けて待っている”真っ先にこの暗号を解読した松田は坏土ショッピングモールにある大観覧車72番のゴンドラに乗り込み、爆弾解体を試みる。しかし、”次の爆弾のありかを爆発3秒前に表示する”という犯人からのメッセージを見て解体を中断。佐藤にもう一つの爆弾の場所を教えて殉職した。

松田の死から3年経った今も、佐藤は松田のことを忘れられずにいる。彼女に恋心を寄せている高木は、同じく彼女に恋心を寄せている白鳥からその事実を知らされ項垂れる。爆弾予告が成されていた為に高木と共に捜査をしていた白鳥だが、捜査を終えて戻るために車に乗り込む。しかし、車の天井にはプリントが貼られていて、慌てて出た白鳥は爆弾に巻き込まれて重傷を負う。救急車で搬送される前、白鳥は佐藤に”消せない記憶を吹っ切るチャンスだ”と言い、そのプリントを渡す。プリントには3年前の爆破予告の暗号と酷似したものが印刷されており、佐藤は憎しみを募らせる。

少年探偵団も夜通しで捜査に協力するが、暗号は中々解けない。灰原が東都環状線の内回りだと推理するが、そこにはダミーしか存在しなかった。翌日11月7日、コナンは歩美の何気ない一言で、一つ目の爆弾が東都タワーに仕掛けられていると理解する。高木と共に東都タワーに急ぐが、東都タワーに着く前に小規模な爆発があり、エレベーターの中に子供が取り残されてしまう。このことを高木から聞いた佐藤は3年前のことを思い出し、高木を止めようとするが、高木は佐藤の指示を拒み取り残された子供の救助に向かう。

エレベーターに取り残された少女は警戒して中々出てこない。どのように助け出そうかと悩む高木に、コナンが協力を申し出る。高木は渋るがコナンの懇願に負けたため、コナンの協力を得て少女を助け出す。しかし、少女を助け出した途端にエレベーターが動き出し、高木とコナンは東都タワーのエレベーターに閉じ込められてしまう。レスキュー隊を呼んで脱出しようと考えた高木だが、エレベーターの天井には東都タワーが消滅するほどの威力のある爆弾が設置されていた。爆弾には水銀レバーと盗聴器も仕掛けられており、脱出することは困難となる。佐藤はその報告を聞き、3年前の爆弾犯と同じだと確信する。コナン達に手立てがなくなったと思われたが、コナンが爆弾解体を名乗り出る。

爆弾の解体を進めるコナンだが、解体の途中であることに気が付く。そして、”勇敢なる警察官よ 君の勇気を讃えて褒美を与えよう 試合終了を彩る花火のありかを 表示するのは爆発三秒前 健闘を祈る”というメッセージを見たことで解体を中断した。中断している間、コナンは盗聴器で犯人に聞かれないよう推理したことを高木に話す。

外からその内容を聞いている佐藤は内心穏やかではない。爆発寸前、佐藤には死神の幻覚が見え、叫ぶ。その時、コナンはコードを切って爆弾を止める。無事出てきた高木に佐藤はホッとし、爆弾のありかを突き止められなかったことに高木が落ち込んでいると思い声をかけるが、耳打ちされたことに驚く。

盗聴器で2人の会話を聞いていた爆弾魔は、臆病風に吹かれたと不気味な笑みを浮かべる。数時間後、第2の爆弾設置場所である帝丹高校を歩道橋の上から双眼鏡を用いて観察していた。しかし、爆弾が予定時刻になっても爆発しないことに違和感を持ち、遠隔操作をしようとしたところで目暮警部以下刑事たちに囲まれていることに気づく。

目暮は戸惑っている犯人に対し推理を披露。予告文から第一の設置場所を示す文章を除いて考えると、学校を示す地図記号”文”が現れる。また、コナンが解体した爆弾に表示されたヒントは探偵を意味するDETECTIVEの逆の綴りであること、そしてこの日は休日である中で模試を行っているという帝丹高校を突き止めたと言う。窮地に追い詰められた爆弾魔は歩道橋から飛び降りて路地裏に逃げる。佐藤は爆弾犯の後を追い、行き止まりに追い詰める。感情的に暴走した佐藤は犯人に向かって発砲するが、高木に止められ叱責される。松田を忘れさせてほしいと泣き叫ぶ佐藤に高木は”人は死んだら思い出の中でしか生きられない”と宥める。その後、感情のままキスしそうな雰囲気になる二人だが、目暮警部の登場で先送りとなる。

博士の車・ビートルで帰る途中、博士はコナンの咄嗟の判断を褒めるが、コナンは”もともとヒントの途中でコードを切るつもりだった”と言う。それをからかった灰原に対しては心の中で”ずっとそこじゃなきゃいいと思っていた”と蘭の顔を思い浮かべた。

犯人を無事逮捕でき本庁に戻った佐藤は、松田から送られた最後のメールを消し、前に進む覚悟を決める。

登場人物[編集]

名探偵コナンの登場人物」も参照

江戸川 コナン(えどがわ コナン)
- 高山みなみ
黒の組織が開発した毒薬「APTX4869」を飲まされて幼児化した高校生探偵・工藤新一。東都タワー内に高木刑事と共に閉じ込められ、爆弾解体を担う。
高木 渉(たかぎ わたる)
声 - 高木渉
警視庁捜査一課の刑事で巡査部長。コナンと共に東都タワーのエレベーターに閉じ込められる。
佐藤 美和子(さとう みわこ)
声 - 湯屋敦子
警視庁捜査一課の刑事で警部補格闘技に長けていて洞察力も鋭く、射撃の腕も一流。松田のことを忘れられずにいる。
目暮 十三(めぐれ じゅうぞう)
声 - 茶風林
警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係の警部
白鳥 任三郎(しらとり にんざぶろう)
声 - 井上和彦
警視庁捜査一課の警部。高木に佐藤が松田のことを忘れない限り、自分たちに勝ち目はないと言う。佐藤の同期でもある。
松本 清長(まつもと きよなが)
声 - 加藤精三
警視庁の警視正。爆弾を探し出すために、多くの警官に指示を出した。
阿笠博士(あがさ ひろし)
声 - 緒方賢一
コナンの正体を新一と知る数少ない人物の1人で、発明家。夜通しの捜査に関わると決めた少年探偵団のため、彼等の親へのごまかしを行った。TVでコナンの姿を見て驚いた。
灰原 哀(はいばら あい)
声 - 林原めぐみ
元黒の組織の一員かつAPTX4869の開発者で、コナンの正体を新一と知る数少ない人物の1人。少年探偵団の一人として捜査に参加、予告文から東都環状線内回りと推理した。
吉田 歩美(よしだ あゆみ)、小嶋 元太(こじま げんた)、円谷 光彦(つぶらや みつひこ)
声 - 岩居由希子(歩美)、高木渉(元太)、大谷育江(光彦)
少年探偵団の3人。捜査に参加し、特に歩美の一言でコナンは第一の設置場所に気づくことになった。
宮本 由美(みやもと ゆみ)
声 - 杉本ゆう
警視庁交通部交通執行課の婦警で警部補。少年探偵団に佐藤と松田の関係を教えた。佐藤とは同期であり親友でもある。
松田 陣平(まつだ じんぺい)
声 - 神奈延年
元警視庁捜査一課の刑事で、故人。風貌が高木刑事に似ており、かつて佐藤刑事とは両想いだった。萩原の親友で、彼と共に警視庁警備部機動隊爆発物処理班に所属していたが、萩原の死後に捜査一課へ異動。3年前の11月7日、杯戸ショッピングモール大観覧車に設置された爆弾解体中に殉職
萩原 研二(はぎわら けんじ)
声 - 三木眞一郎
元警視庁警備部機動隊所属で、故人。松田の親友だった。7年前の11月7日、マンションに設置された爆弾解体中に殉職。
毛利 蘭(もうり らん)
声 - 山崎和佳奈
新一の幼馴染。関東大会で優勝するほどの空手の達人。模試を受けている最中、嫌な予感がしていた。
鈴木園子(すずき そのこ)
声 - 松井菜桜子
蘭の同級生で親友。模試中に不安げな蘭を気にしていた。
毛利 小五郎(もうり こごろう)
声 - 神谷明
蘭の父親で「眠りの小五郎」の異名で有名な私立探偵。コナンの保護者。元警視庁捜査一課強行犯係の刑事。ふとTVを付けた時、コナンが映っていたため、驚いた。
爆弾犯の男
声 - 中田譲治
過去2度に渡って爆弾事件を企て、その爆破で萩原研二と松田陣平を殉職させている。

引用[編集]

  1. 小学館:コミック”. web.archive.org (2015年8月17日). 2022年9月3日確認。
  2. 小学館:コミック 『名探偵コナン 37』 (archive.org)
  3. 名探偵コナンFile304 揺れる警視庁 1200万人の人質”. conan.aga-search.com. 2022年9月3日確認。
  4. 事件ファイル|名探偵コナン | 読売テレビ” (日本語). www.ytv.co.jp. 2022年9月3日確認。
  5. Inc, Shogakukan. “コナン編纂室エピソード一覧 | 少年サンデー”. websunday.net. 2022年9月4日確認。