全貌社

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株式会社全貌社(ぜんぼうしゃ)は、日本の出版社。1950年代から1990年代にわたって、おもに日本共産党共産主義科学的社会主義を批判する雑誌・書籍を出版してきた。

概要[編集]

1952年、水島毅東京永田町に創設した。月刊誌『全貌』(主筆水島毅、後に『ゼンボウ』に改題)を発刊。共産主義批判・共産党情報の雑誌として著名になる[1]。1998年5月、590号をもって『ゼンボウ』は刊行を終了。1998年~1999年、『雑誌全貌復刻版』全8巻および総目次を発行した。

1968年~1996年、水島の著した書籍十数点を出版[2]、1999年までに、水島以外の著者による日本近現代史などの書籍70点以上を出版している。2017年10月21日時点で国立国会図書館サイトで蔵書検索した結果、2000年以降の刊行物は存在しない。 『ゼンボウ』や水島毅の情報源について、もっぱら公安情報である、日本共産党内に潜入している公安関係のスパイによる情報である、日本共産党関係者による内部情報・内部告発が含まれている、などの見方が存在する。

本社所在地は東京都千代田区麹町[3]、のち東京都新宿区神楽坂[4]

青法協攻撃[編集]

1967年、最高裁判所が『全貌』1967年10月号(特集「裁判所の共産党員」)を170部購入して地裁などに配布していたことが衆院法務委で判明した。同号は1969年の長沼ナイキ訴訟平賀書簡問題後に活発化した自民党や保守系ジャーナリズムによる青年法律家協会(青法協)攻撃のさきがけとなった。全貌社は1969年11月に青法協への批判と会員名簿を収録した『恐るべき裁判 付表・左翼裁判官、弁護士、法学者一覧』(思想運動研究所編)を出版した。同書を読んだ長沼ナイキ訴訟第一審裁判長福島重雄は日記に「やや八ツ当り的感あり」と記している[5]

脚注[編集]

  1. 猪野健治編著『右翼民族派・総覧 平成3年』二十一世紀書院、1990年、305頁
  2. 水島は1987年・1989年に世界日報社からも著書を出している。
  3. 水島毅『宮本顕治倒るる日――そのとき共産党に何が起こるか』全貌社、1985年
  4. 水島毅『宮本共産党を裁く――汚れた党史のはらわたを抉る!』全貌社、1996年
  5. 「(新聞と9条:245)長沼裁判:17」『朝日新聞』2016年4月27日付夕刊10面(夕刊憲法)