ライセンスロンダリング
ライセンスロンダリングとは、画像やソースコードに与えられているライセンスではないライセンスを第三者が与えて再配布することで本来のライセンスや著作権者を偽装してしまう行為である。
概要[編集]
資金の出所を隠すために行われるマネーロンダリングになぞらえて命名された概念である。真の著作権者が特定のライセンスを付与して公開した画像に対し、それを第三者が画像共有サイトに異なるライセンスを付与して公開し、そのライセンスを真のライセンスであるとしてさらに別のサイトに移入する行為を指す。例を挙げれば、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスでいうところのCC BY-NC(非営利に限る)でライセンスされた画像を著作権者以外が無断でCC BY-SA(営利目的も許可)やパブリックドメインで再アップロードし、さらに別のサイトにCC BY-SAで移入する、というものである。当然真の著作権者の権利は侵害されるほか、CC BY-SAで配布されていると信じた第三者が営利目的で使用し、真の著作権者から権利侵害であるとして訴えられる可能性もないわけではない。
近年、生成AIに使われるデータセットがライセンスロンダリングの一種であるとして非難されている。これは大学などの教育目的であったり、非営利団体におけるデータセットの生成はアメリカのフェアユースに該当するためライセンス上問題がないものの、そのデータセットを利用してさらに学習したデータセットを利用し、商用利用する企業が相次いだことによる。また、AIの生成物に著作権がないとした場合、著作権によって守られたソースコードをAIに再生成させることで元の著作権が消滅する可能性も示唆されており、ライセンスロンダリングが簡単になってしまうという指摘もある。
対策[編集]
ウィキメディアコモンズの当該ページによれば、移入しようとする画像をGoogleレンズなどの画像検索でオリジナルファイルやそれに関連するファイルや企業のWebサイトを見つかるかどうか検索することが有効とされている。移入しようとする画像より高画質なものがあればオリジナルはそちらであると推測することも可能であるほか、真の著作権者が誰であるか判明する手がかりも見つかる可能性がある。また、誤ったライセンスが付与される可能性のあるサイトからの移入をしないというのも有効である。Flickrについては「Flickerロンダリング」とまで記述されており、こういったサイトからの移入には特に注意が必要である。