メトロイドヴァニア

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メトロイドヴァニア(Metroidvania)は、コンピューターゲームのジャンルのうちアクションゲームのサブジャンルのひとつ。
任天堂のアクションアドベンチャー「メトロイド」と、コナミのアクション「悪魔城ドラキュラ」の海外名「Castlevania」の合成語。
メトロイドヴァニアというジャンルについて、どこかの団体が定めた定義といったものは存在せず、メトロイド或いはドラキュラに見られるいくつかの特徴を備えたタイトルについて、制作側が自ら名乗ったり、或いはゲームをプレイしたファンがタグ付け分類したりする。

一般に認知されているメトロイドヴァニアの特徴[編集]

  • 横から見たサイドビューのアクションであること。上空から見たトップビューまたは3Dビューは一般にはメトロイドヴァニアとは呼ばれない。「ゼルダの伝説」シリーズは「リンクの冒険」を除き、この点においてメトロイドヴァニアとは見なされない。
  • サイドビューのアクションというシステムゆえに、ほとんどのものは重力に引っ張られて画面下方へ落下する。普通のジャンプではとても超えられない壁を絡めたギミック、および2段ジャンプできる靴または壁をよじ登る爪は、メトロイドヴァニアでよく見かける要素。
  • 「スーパーマリオブラザーズ」のような純粋なアクションゲームに多い「面クリア型」は「後戻り」が出来ないゲームデザインが多いが、メトロイドヴァニアは広大なマップを、時には後戻りしつつあちこち探索し、ストーリー上の行く手を阻む「中ボス」を討伐しながらゲームを進めるマップデザイン。アクションアドベンチャー或いはアクションRPGのサブジャンルとも見なせる。
  • 同じく純粋なアクションゲームに多い「残機制」ではなく、多くのアクションRPGが採用する「ライフ制」。ライフがゼロになり倒れてしまうと、何らかのペナルティ(所持金の半額を没収される、或いはこれまで集めたソウルを全て落としてしまう等)を受けて少し前のマップへ戻されるものの、再挑戦の回数には制限がなく、何回でも何十回でも何百回でもコンティニュー可能。むしろ何回でも何十回でも何百回でも4ねと言わんばかりの高難易度タイトルも。
  • 敵を倒す・クエストをこなす等で経験値を稼いでレベルアップ、或いは探索で最大HPアップ等の強化アイテムを取得して成長、このうちいずれか、或いは双方の組み合わせを採用。
  • ゲーム全体を通して「探索」を重視したデザイン。強力な装備、上記HPアップ等の貴重なアイテム、倒さなくても本編クリアできる隠しボスやイベント等など。仮に大したものが置いてない部屋であっても「マップ踏破率」に関わったり。
  • 前半は射程距離が短くて遠くのスイッチが押せない、高い壁が登れない、水中へ進入すると溺れてしまう等、行動に様々な制限があり、広大なマップのほんの一部分しか立ち入れない。本編を進めていくうちに弓矢などの飛び道具を手に入れて遠くのスイッチを押せるようになったり、二段ジャンプ可能な靴を手に入れて高い壁を昇れるようになったりすることで行動範囲が広がり、それに伴ってこれまで行けなかったマップの探索が可能になる。
  • これは必須条件ではないが「少なくとも序盤は攻撃手段が近接攻撃のみ」というタイトルは多い。最初は剣1本だけで頑張り、お金をためて買う、或いはギミックを解くことで弓矢を手に入れ、遠くのスイッチを押せるようになる等。メトロイドシリーズ、ロックマンゼロシリーズ等、当てはまらないタイトルも少なくない。

メトロイドヴァニアの近況[編集]

  • フル3Dゲームがデファクトスタンダードな現代においてなお、2Dドット絵の美やキャラクターの細かな動きが追及され続けるジャンルのひとつ。広大な世界を表現する背景画、絶望的に恐ろしく巨大なボス。一方でドットではなく緻密にモデリングされた3Dグラフィックによるタイトルもあり(或いは2Dと3Dの融合など)。メトロイドヴァニアに限った話ではないが、音楽や効果音にも拘ったタイトルも多い。
  • 大手メーカーでない中小メーカー、或いはアマチュア同人ゲームから多数のタイトルが発表されており、東方シリーズ世界観のタイトルがコミケを賑わせたり、それまで全く無名だった小規模スタジオが世界中に名を轟かせたり。
  • フル3Dタイトルほど大規模でないメトロイドヴァニアはそれほど大きくないコストで開発できるようで、SteamEpic Games、およびDLSite一般向けサイトには中小規模メーカーや同人サークルによるタイトルが日々生まれ出てきている。その中でも高い評価を得たタイトルには資金を持つパブリッシャーがバックアップにつき、Play Station 4Nintendo Switchへの移植を成し遂げ、その名を世界へ轟かせる。ちなみに少数ながら成人向けメトロイドヴァニアもあります。
  • 一方でフル3Dの大型タイトルが商品の主力となり、世界を相手にする必要に迫られている大手メーカーにとって、今更の2Dドットのゲーム開発体制維持は却ってコストがかさみ、大手からのメトロイドヴァニアタイトルはなかなか出ない状況。コナミ在籍時にGBA向け悪魔城ドラキュラを複数手がけた五十嵐孝司氏が同社を退職したのも、もはや同社に在籍していてもドラキュラをはじめとするメトロイドヴァニアは作れないという理由があったのだとか。
  • ただし大手から全く新作が出ないわけではなく、任天堂は最近でも(2Dドットではなく3Dグラフィックながらも)2Dメトロイドの新作(メトロイド ドレッド)を出している。コナミも新作ではないにせよGBA向け悪魔城ドラキュラを現行機種へ移植しており、少なくともオワコン扱いしてはいないように見える。

様々なメトロイドヴァニア[編集]

  • メトロイドシリーズ(「プライム」等3Dシステムのタイトルを除く)
  • 悪魔城ドラキュラシリーズのうち、概ね「月下の夜想曲」以降の3Dシステム以外のタイトル。ゲームボーイアドバンスニンテンドーDSニンテンドー3DS向けタイトルが多い。
  • 前述の五十嵐孝司氏はファンから親しみを込めて「IGA」と呼ばれ(手掛けた悪魔城ドラキュラのエンディング・スタッフロールの名義が「IGA」だった)、「ミスターメトロイドヴァニア」と崇められている。コナミから独立した後に「ブラッドステインド」シリーズを制作。
  • カプコンの「ロックマンゼロ」「ロックマンZX」「ストライダー飛竜」など、主要タイトルのスピンオフ的なタイトルもいくつか。ロックマンゼロ・ロックマンZXはそもそもロックマンシリーズを手掛けた元スタッフが中心となって設立されたインティ・クリエイツによる開発。
  • 前述の通り、大手でない中小メーカーから日々新作が発表されている。「HOLLOW KNIGHT」「ORI」「シャンティー」「ENDER LILIES」「幻日のヨハネ」「ロードス島戦記」「フェノトピア」「ロスト・ルーインズ」…キリがないのでSteam等の「メトロイドヴァニア」タグを「探索」すべし。神ゲーからクソゲーまで実にピンキリ。「アフターイメージ」はグラフィックすごい綺麗だけど理不尽だったなぁ…。

外部リンク[編集]