ブートレグ
ブートレグ(Bootleg)とは、アーティストや権利者に許可を得ないままに販売されるライヴ、スタジオ音源、音盤のこと。ブートレッグ、ブート、コレクターズ・アイテムなどとも呼ぶ。
概要[編集]
日本の西新宿はブートレグ王国として知られている。一般に海賊版というと安く作られた正規品のコピー品などをさすが、ブートレグは主にオフィシャルリリースがなされない人気バンド、アーティストのライヴ音源やスタジオ音源をCDやLP、DVDにパッケージングしてマニア向けに販売するものである。1969年頃にボブ・ディランのスタジオ・アウトテイクを収録したLPがカリフォルニアに出回り、ビートルズやローリング・ストーンズの音源などがアンダーグランドに流通し始めた。主に音源はライヴ会場で観客が録音したオーディエンス録音や、ラジオのエアチェック、TV録画、出所不明のサウンドボード録音、関係者が流出させたような音源などマニアが興味を示しそうなものならばありとあらゆるものをソースとする。
名盤ブートレグ[編集]
ブートレグは歴史上時にオフィシャルを揺るがすほどに売れたこともある。またアーティスト側も仕返しとして出回った音源や同日のより良い音源を正規版としてパッケージングするオフィシャル・ブートレグという文化を生んだ。
- The Great White Wonder (ボブ・ディラン) - 個人間のテープ・トレードという枠を超えて販売された初のブートレグとされる。
- Liver Than You'll Ever Be (ローリング・ストーンズ) - 1969年11月9日のオークランド公演を収録。この売れ行きを受けて正規盤『Get Yer Ya-Ya's Out!』が発表された。
- KUM BACK (ビートルズ) - 未発表に終わったアルバム「Get Back」を収録しており、ベストセラーになった。
- Live on Blueberry Hill (レッド・ツェッペリン) - 彼らの全盛期1970年のLAフォーラム公演を生々しくとらえている。
- British Winter Tour 74 (ピンク・フロイド) - 1974年のツアーで次作に収録するはずだった未発表の三曲が演奏されており、それを収録した当盤が15万枚の売り上げを記録してしまったため彼らはアルバムの収録曲の変更を余儀なくされ、未発表曲をライヴで演奏しなくなってしまった。
- Listen To This Eddie (レッド・ツェッペリン) - 1977年のLA初日公演という超名演を名テーパーマイク・ミラードが録音した伝説の一枚。タイトルは当時Zepのライブアルバムをエンジニアリングしたエディ・クレイマーに向けた皮肉らしい。
人気のジャンル[編集]
世界的な人気を博したアーティストや、ライヴごとによって演奏に差異が大きい、スタジオ版を超える演奏をするアーティストは解散後何十年経過しても新音源発掘のたびに発売される。
- ビートルズのスタジオ・アウトテイク、無論ライヴも。
- レッド・ツェッペリンのライヴ。鉄板の人気である。
- ボブ・ディランやエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ザ・ローリング・ストーンズなどは新しい公演が行われるたびにパッケージングされ、安定した売り上げを誇る。
- クイーンはオフィシャルのリリースが少ない1970年代のライヴ音源が注目の的。
- プログレファンもマニア気質が多いためキング・クリムゾン、イエス、ピンク・フロイドなどライヴ音源が人気。
コレクター[編集]
海賊盤コレクターの有名人も多く存在し、ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン)やロバート・フリップ(キング・クリムゾン)、ランディ・ジョンソン(野球選手)などは海外盤コレクターとして有名である。ミュージシャン本人が自身のバンドの海賊盤を購入する事例があったり、海賊盤が販売されることによって、一種のステータス性が現れたりする。