ナメクジ

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ナメクジとは軟体動物有肺類に属する陸貝。有肺類に属する陸貝のうち、目立つ貝殻を持たないものをナメクジと称する。また、ナメクジ科の一種 Meghimatium bilineatumに「ナメクジ」の和名が付けられている。種を指していることを明確にするため、フタスジナメクジの和名が用いられることもある。

生態[編集]

ナメクジというくくりが多系統であるゆえ、その生態も様々である。ナメクジ、チャコウラナメクジなどのよく見られる種の多くがおもに植物を食べるが、たとえばイボイボナメクジは他の陸貝類を襲って食べることが知られている[1]。すべての種が有肺類で肺呼吸を行うため、水が多すぎると溺れて死ぬらしい[2]。卵生で、直達発生をする。オスとメスの両方の生殖器官をもつ雌雄同体であり、ほかの個体と交尾を行って精子を交換する[3]。その様子はキモ美しいとして(?)ネットで時々話題になる[4]

系統[編集]

真有肺上目 Eupulmonataに属する。収眼目、柄眼目の両方に該当する種がおり、また柄眼目内でも系統のさまざまな場所から貝殻を失う進化が起こっている。すなわち、ナメクジという名称は系統学的に言えば多系統群であるといえる。以下に、日本産ナメクジ類の系統を簡単に示す。

  • 収眼目 Systellommatophora
    • アシヒダナメクジ科 Veronicellidae
      • アシヒダナメクジ Laevicaulis alte
    • ホソアシヒダナメクジ科 Rathouisiidae
      • イボイボナメクジ Granulilimax fuscicornis
  • 柄眼目
    • コウラナメクジ科 Limacidae
      • コウラナメクジ(キイロナメクジ) - Limax maximus - 外来種[5][6]
      • マダラコウラナメクジ Limax maximus - 外来種
      • チャコウラナメクジ Ambigolimax valentianus - 外来種
      • ニヨリチャコウラナメクジ Ambigolimax nyctelius - 外来種
      • ノナメクジ Deroceras varians
      • ノハラナメクジ Deroceras reticulatum - 外来種[7] Deroceras laeveと紹介される場合もあり [8]
      • ヤマコウラナメクジ Nipponolimax monticola - 環境省準絶滅危惧種[9]
    • ニワコウラナメクジ科 Milacidae
      • ニワコウラナメクジ Milax gagates - 外来種
    • オオコウラナメクジ科 Arionidae
      • オオコウラナメクジ Nipponarion carinatus - 環境省準絶滅危惧種[10]
    • ナメクジ科 Philomycidae
      • ナメクジ Meghimatium bilineatum

ナメクジ類以外で一番近い生物は、貝殻を持つカタツムリ、次いでウミウシ、アメフラシ、クリオネなど海生の生物である。

人間との関係[編集]

農作物を食害したり、人家の周りに現れて不快感を与えたりするため、不快害虫、また農業害虫として扱われている[11]。また他の陸貝類と同様、広東住血線虫の中間宿主となる[12]。いっぽう、利用法はとくにない。寄生虫の危険はあるわ、ぬめりを取るのが大変すぎるわ、身は縮んで食べがいはないわで積極的に食べるものでもなそう[13]

罵倒語として[編集]

ジメジメしている人間のことを「ナメクジ野郎」ということがある。英語の"slug"は、人に対して使うとのろまを表す。またフランス語でナメクジを意味する"limace"も同じように「のろま」と罵倒するときに使われる[14]。ナメクジがかわいそうだ。

ナメクジの退治方法[編集]

ナメクジはを掛けると溶ける。正確には、浸透圧の変化によって体から水分が抜けて縮む。その際、組織に深刻なダメージを受けて死ぬ。塩害を防ぐため、育てている植物がある場所では使ってはいけない。

さらに液体洗剤を薄めずに掛けると簡単に退治することができる。これは塩よりも強力である。

また、熱湯をかければ湯だって死ぬ。塩が使えないところで便利だが、火傷に注意。

また、アース製薬フマキラーなどから防除剤が販売されている。

脚注[編集]

  1. 多田, 昭 (2010), “イボイボナメクジ Granulilimax fuscicornis Minato, 1989の分類・生態的特徴”, 近畿大学農学部紀要 51: 70-74 
  2. 身近なのに謎だらけ! ナメクジの研究は不人気ゆえに面白い!?”. ほとんど0円大学. 2022年6月26日確認。
  3. 宇高, 寛子 (2018), “ナメクジ捜査網:オープンサイエンスとナメクジ”, 生物学史研究 97: 78-80 
  4. 官能的なナメクジの交尾ムービーの真相”. GIGAZINE. 2022年6月26日確認。
  5. 澤畠, 拓夫; 瀬口, 翔太; 黒住, 耐二 (2018), “奈良公園で発見された外来種キイロナメクジについて”, 近畿大学農学部紀要 51: 70-74 
  6. 山口, 昇; 波部, 忠重 (1955), “日本産ナメクジ類の研究(1)”, 貝類学雑誌 18 (4): 234-240 
  7. 山口, 昇; 波部, 忠重 (1955), “日本産ナメクジ類の研究(1)”, 貝類学雑誌 18 (4): 234-240 
  8. 病害虫図鑑 ナメクジ類(野菜共通)”. 愛知県. 2022年6月26日確認。
  9. ヤマコウラナメクジ”. 京都府レッドデータブック. 2022年6月26日確認。
  10. オオコウラナメクジ”. 京都府レッドデータブック. 2022年6月26日確認。
  11. 病害虫ナビ ナメクジ”. 住友化学園芸. 2022年6月26日確認。
  12. 広東住血線虫”. 愛知県衛生研究所 生物学部 医動物研究室. 2022年6月26日確認。
  13. ナメクジは腹壊すという一部の説を考えながら食べる”. ざざむし。. 2022年6月26日確認。
  14. limace”. コトバンク. 2022年6月26日確認。

関連項目[編集]